パリに新名所、誕生!「イヴ・サンローラン美術館」にさっそく行ってみた!
フランス

10月3日、パリにMusée Yves Saint Laurent Paris イヴ・サンローラン美術館がオープンしたのに続いて19日に、モロッコのマラケシュにも同名の美術館がオープンと聞いて、びっくり。

まるで、彼の伝記映画2作品(こちらこちら)がほぼ同じ時期に公開されたときみたい、でしょう? でも、こちらは競作というわけではなくて、どちらも、財団によるもの。

フランスが誇るファッションデザイナーのイヴ・サンローラン氏が、天才ならではのヴァリエーションに富んだ作品を次々生み出していた一方で、それゆえの苦悩やスランプも乗り越えなくてはいけなかったのは、映画や伝記でも知られるとおりだそう。

マラケッシュは彼にとって大切なエネルギーチャージとインスピレーションを引き出す場所だったそうで、それぞれの空間作りも作品も、特長あるセレクト、別々の魅力を持っているようです。

オープニングからは10日ほど遅れてしまいましたが、急ぎ、パリの美術館の様子を見てきたので、ご紹介しますね。

パリ16区のメゾン


30年間作品が生み出されてきたパリ16区のメゾンは、セーヌ川のほど近く。メトロを出て、カフェテラスのさざめきの脇を通り抜けてすぐです。

チケットは、一般が10ユーロ。10歳から18歳、または、学生や教諭は7ユーロ。入場時間ごとに区切られているインターネットでの前売りチケットを購入しておくと、着いてからそのために並ぶ必要はなくなるので便利なものの、1ユーロ増しとなります。(事前購入はこちらから)

ちなみに、写真上で、入り口右側に並んでいるのは、事前購入したチケットを持っている人たち。持っていなかった人たちは、向かって左側に建物沿いに3倍ぐらいの長さでした。


昔ながらの建物の多いパリ。このあたりも、19世紀の建物も多く残っているせいもあって、なんだかモノクロームでもしっくりくると思いませんか?

それでは、中へ。ご一緒に。

各部屋で、展示してあるマネキンたちの前、足元にあるモニターで、それぞれの年代ごとのショーのときの様子の映像が観られます。館内で上映されている映像は、カラー中心。とはいえ、旧いものは画像が粗いのでひと目でわかります。

入ってすぐ、受付向かって左側の部屋。この奥にロッカーの部屋が続いていて、そこに荷物を預けて身軽に回ることが出来ます。

反対側に進んで階段を上って行くと、壁面に大きく飾られているポートレートも、特別編集の15分の短編フィルムも、白黒の作品。

この短編フィルムは、横に細長い部屋での上映。スクリーンの前には、200人ほど並んで座れるベンチシートが1列あるだけで、とても臨場感あふれています。

イヴ・サンローラン氏と、彼を公私共に支えたピエール・ベルジェ氏がそれぞれ画面に映し出され、リレー式に進行していく作りになっています。両氏の実写記録を繋げて製作されているので、とても臨場感にあふれていて、そのパートナーの存在感をより立体的にしている印象です。

同性同士のカップルはそう珍しくもないフランスとはいえ、時代背景的には必ずしもカンタンではなかったことも多いはずなのに、とても自然体で、何の違和感もありません。すでに、映画で紹介されているせいかもしれませんけど。

ショーの最後を飾るウエディングドレスのマヌカンを送り出した後、絶妙のタイミングでのデザイナーの登場を促していたのもピエール・ベルジェ氏。ショーの進行を陰で心配りしていたのも、そう。

美術館なのに、妙に居心地のいい空間。

今にも階段を上って戻ってきそうな気配さえ感じるアトリエ。

さらに上の階に進むと、人の息遣いさえ感じるような、そのままに再現された仕事部屋(アトリエ)がそのまま再現されていて、モチロン机や棚に近づいてはいけないんですが、ふっと入り込んでいってしまって注意され、ハッと我に帰る人も。


こちらです。デザインを描き、素材を吟味し、顧客の採寸をしていた、そのままのスペース。

スワロフスキーのサンプルもズラリ。

たった今までここで仕事をしていて、ちょっと席を外しているだけのような空間。鏡面になっている奥の壁部分では、このアトリエで仕事をしていたときのサンローラン氏の様子が映し出されていて、なんだかタイムスリップしたみたいな錯覚を覚えさせられるからかも。

目もくらむオートクチュールの数々


オートクチュールは芸術品。間近で目にする贅沢時間、その素材や細工の見事さに圧倒されます。そして、年代ごとの作品の数々……

何より……何といっても圧巻だったのは、こちら。画家たちへのオマージュ、の作品たち。

ひと目でわかりますよね! これは、ゴッホへのオマージュ。

そして、こちらは、向かって左から、マチス、ピカソ、そして、モディリアーニへのオマージュ作品。

ほかにも、デッサンや、記事見本付きのデザイン画、大切にしていたイメージオブジェなど、小さいながらもぎっしり詰まった美術館です。今、モードの勉強中だったり、そうした関連の仕事をされている(としか思えない)お洒落な人たちもいっぱい。独特の甘く凛とした雰囲気です。

そんなわけで、名残惜しいけれど、今日はこの辺で。

Musée Yves Saint Laurent Paris
5, Avenue Marceau 75116 Paris
[営業時間] 11時~18時(土・日・火・水・木) 11時~20時(金)
公式HPはこちら

haute couture オートクチュール

スシやカキやシイタケがそのままフランス語になっている一方で、フランス語がそのまま日本語になっているものもずいぶんあって、このhaute couture オートクチュールも、そのひとつですよね。

既製品で同じデザインがいくつも並ぶプレタポルテに対して、採寸して、オリジナルで仕立ててもらうもののことを全部そういうのかと思って、晴れ着のことをそう表現したら、haute couture オートクチュールというのはそのメゾン(仕立て屋さん)のクオリティのことも指すそうで、必ずしもそうは呼べないそう。確かに、お母さんの手作りのオートクチュールというのもきかないですし、ね。

それにしても、圧巻でした。ファッションショーで順番に出てくるのとは、また違う凄味というのか、重みを感じさせられる芸術品です。画家たちへのオマージュ作品ははじめて知ったんですけど、本当に見事です。日本の美術館にも巡回展示してくれたらいいのに……1人でも多くのひとと共有したい感動です。

この記事を書いた人

ボッティ喜美子

ボッティ喜美子仏日通訳翻訳・ジャーナリスト

フランス在住。東京で長らく広告・PR業に携わり、1998年に渡仏。パリとニースで暮らした後、2000年からパリジャンの夫の転勤で南米ブエノスアイレスへ3年、出産も現地で。パリに戻り、地中海の街マルセイユへ転勤して13年。南仏拠点で時々パリの実家へ、家庭優先で仕事しています。Framatech社主催の仏ビジネスマン対象のセミナー『日本人と仕事をするには?』講師は10年目(年2回)。英語・スペイン語も少々。

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