本場のチーズ屋さんの贅沢な品揃え。フランスのチーズ事情は美味しくて楽しい!
フランス

フランスの家庭の戸棚に必ず(といえるほど)あるのがChocolat(チョコレート)、そして冷蔵庫に欠かせないのがFromage (チーズ)。

ごくごくたまに、チーズ嫌いというフランス人もいますが(友人にも1人います)、フランス人やフランスの食卓にとってのチーズは、日本のお漬物みたいな感覚かも。

さまざまな素材からなる発酵食品ということ、好みはあるにせよ多くの人に愛されているポピュラーなものということ、何より、”食事の締めにはやっぱりこれがないと!” というところが、似ている存在な気がします。

『Fromagerie(チーズ屋さん)』って? どんな感じ?


パリの街のあちこちにはちょっとした商店街があって、パン屋さん、お肉屋さん、ワイン屋さん、そして、チーズ屋さんが並んでいます。

そうでなければ、大きな集合住宅のRC(日本で言う1階部分)に商店が並ぶ造りになっています。例えば、ここはメトロ10号線のMaubert-Mutualité(モベール・ムチュアリテ)駅出口すぐ前。

ソルボンヌ大学やノートルダム・ド・パリからも程近い、人通りの多い一角です。(この建物の左端が交差点になっていて、右に曲がると以前ご紹介したAux Merveilleuxが)

チーズ屋さんには、フランスや世界各地から取り寄せて並べている店と、既製品だけではなく自分のところで発酵させたり、製造加工しているアルチザンと呼ばれる職人さんによる店の2種類があります。

フランスでは各地名産チーズが異なり、その土地ごとの郷土料理やワインと合わせるのが最高のマリアージュといわれています。でも、わざわざ赴けなくても、有名どころのチーズは全国に流通していて、スーパーマーケットでも手に入るぐらいポピュラーです。

一方で、わざわざ出かけないと手に入らない職人さんの店の自家製のものは、賞味期限も翌日までだったりするスイーツみたいな存在。知る人ぞ知るという評判の店は、各地に存在しています。

Laurent DUBOIS氏のチーズ店

チョコレート屋さんのときにも書いた、一生涯ものの最優秀評価の称号はチーズの世界にも存在するんですが、パリのこのお店も、そのひとつ。

フランス1に輝いたチーズ職人Laurent DUBOIS(ローラン・デュボア氏)の店です。本店はエッフェル塔近く(15区)で、カルティエ・ラタンのここ(5区)は2号店。4区のマレ地区に3号店、そして、この1月8日に4号店がオスマン大通りのプランタンデパートのグルメ食料品売り場にオープン!で、より便利に。

それでは、入ってみましょう!ね。

入ってすぐのショーケースに並ぶのは、フランス国内だけでなく近隣国からのもの。でも、ちょっと見てください。すぐその前に、特設の小さな棚が張り出しているでしょう?

日本でも、よく知られるようになっているMont d’Or モンドールです。でも、この店では、旬のトリュフスライスを加えているものも並んでいます。流行の『そのままフォンデュ』を愉しむには、アルミホイルでくるんで、180度のオーブンで10分!だけ。

チーズの保存の仕方って? 冷凍も出来るの?

そんなモンドールは、年の半分、秋冬だけしか市場に出ていないので、シーズン終わりには冷凍庫に保存している家庭も目立ちます。冷蔵庫に移して自然解凍するだけ。

基本的にはチーズは、常温でいただくもの。生チーズは、買って帰るときに温度に気をつけて、すぐに冷蔵庫に入れるようにはしていますが、食事を始める前には、プレートに出して用意しておきます。

乳製品といっても、牛だけでなく山羊のチーズも豊富なフランス

反対側のショーケースには、生チーズがズラリ。ちょうど、地下カーヴから出してきたばかりの山羊のチーズを並べていたところでした。

生チーズは日々発酵が進んでいくのがとても顕著で、見た目も味わいもゼンゼン違ってきます。たとえて言うなら、きゅうりのぬかづけ(と私は感じているんですけど)。浅漬けから古漬けまで、好み色々ですよね。

白くてふわふわした見た目のものが出来たて、日を重ねるごとに、嵩が少し減った感じになって色味がついていきます。

山羊のチーズはすっぱくてちょっとぱさついたイメージだったんですが、それは、出来立ての生チーズしか口にしていなかったせいのよう。ひとくちに山羊のチーズといっても、Chèbre(シェーブル)とBrebis(ブレビ)という2種類があって、牛のチーズと似ている硬くて黄色いチーズもたくさんあります。

チーズの中には、乳アレルギーの方にもOK、妊婦さんにはNG、など色々あります。一般的に、食物アレルギーの反応が出るのは牛の乳で、山羊の乳は大丈夫だからと、(乳・卵白・小麦アレルギーだった)子どもが小さい頃には、我が家ではチーズはすべて山羊のものにしていました。酪農家を直接訪ねたり、チーズ屋さんで色々教わったり。

それで、ずいぶん、全国各地の山羊のチーズを試してきたんですが、モチロン、いまだに食べつくせてはいません。ワインと同じで、のめりこむほどに深い世界です。でも、美味しく楽しい!

きびきびした店員さんが何人もいて、途切れない来客でもほとんど待ち時間なし。

アルチザン(店で直接加工製造している)特徴は、こんな風に、お惣菜風だったりデザート風だったり種類が本当に豊富なこと。

端から試したくなりますね。

『チーズはメインのあと、デザートの前に』がフレンチスタイル。


フランスでは、チーズはメインのお皿のあと、デザートの前にいただきます。

これは、夫の実家でのもの。家族での食卓では、もうすでに一度食卓に並んで切っているものもこんな風に普通に並べたりも。左上が、牛のチーズでよく知られるReblochon(レブロション)。 時計回りに右が山羊のチーズ、その隣とすぐ下が牛のですが、名前は忘れてしまいました(ごめんなさい)。

その隣が、山羊のチーズRoquefort(ロックフォール)、そして、牛のチーズCamembert(カマンベール)。

チーズの名前で産地がわかる?

フランスの農業製品やワインには、AOC(アペラシオン・ドリジン・コントロール=直訳すると、生産地呼称統制)、またはAOP(アペラシオン・ドリジン・プロテージェ)という生産地や製造過程・品質への認証制度があって、同じ名前のチーズでも複数のメーカーや生産者が存在するのはそのせい。

だから、こうした認証マークがついていたら、初めての店でも期待したとおりの味と品質だと、信頼して買えるわけです。

チーズ専用のプレートや、チーズを切るためだけのナイフも、色形デザイン豊富で楽しい。

我が家ではチーズ専用のプレートは買っておらず、細長いお皿いくつかを使っているんですが、ナイフだけは、1人で暮らしていたときから愛用しているものがあります。

美味しいバゲットとワインとチーズだけで食事にしてしまったり、それだけで女友達とひと晩中おしゃべり。そんな愉しい時間をずいぶん過ごしてきているのに、ゼンゼン傷まなくて、ちょっと驚いているぐらい丈夫です。

上は数日前の写真。年末年始に、スーパーマーケットで一般的に並んでいるポピュラーなものです。
左がComté(コンテ)、時計回りにTête de moine(テット・ド・モアン)、Rocamadour(ロカマドール)、Saint-Félicien(サン・フェリシアン)、Reblochon(レブロション)。

サン・フェリシアンだけが山羊のチーズです。Reblochon(レブロション)は、その前のチーズプレートでの写真でも紹介したんですけど、ちょっと比べてみていただけますか? 色がゼンゼン違うでしょう? 発酵具合が違うんです。

上の写真のものは、より日の経ったもので熟成が進んでいて、においはきつくなっているんですけど、味は濃厚になっている一方で、とてもまろやかに。どの段階でテーブルに並べるのかは、好み次第です。(ぬか床から、お漬物を出してくるみたいでしょう?)

そうそう、これは、Tête de moine(テット・ド・モアン)を削るためだけのカッター。

削った状態でのパック入りも売られているんですけど、塊を削りだす方が本格的……というのは、鰹節みたいで、和洋口にするものは異なっても、愉しみ方には共通するところがある気がしませんか?

デザートを兼ねてしまう、スイーツタイプの新スタイルも。

さて、下の写真は、一番好きなデザートチーズ。カルヴァドス(りんごのブランデー)入りのりんごを挟んだカマンベール。
上のお店での写真でも入っていますが、これをカルヴァドスと一緒にデザート代わりにいただいたりも楽しいです。1個丸まるで並んでいるんですが、バゲットみたいに半分だけでも売ってくれます。

今回は、これと、Yuzu(ゆず)という名のついている、出来立て山羊のチーズにゆずコンフィを載せているもの、そして、イチジクとアーモンド入りのパンを買ってきました。メインのお料理のあと、チーズでまだまだおしゃべりは続きます……。

フランスでは、ナイフは贈りものにしない(人が多い)。

フランスの食卓で大活躍のバターやチーズなので、バターナイフもチーズナイフもデザイン色形豊富。日本へのお土産にと買っていたら、夫が顔を曇らせました。

フランス人は縁起を担ぐ……と言うより、迷信で悪いと言われていることは避ける傾向(の人が多い)なので、いくつも「してはいけない」が存在します。ナイフ、つまり、切るもの切れるものを贈り物にすると、その人との縁も切れてしまうと言われてて、たとえバターやチーズのためのものでも、やめたほうがいいよ、と。

信じる信じないは、人それぞれ。私も、実は信じられるものばかりでもないんですけど、一緒にいる人、受け取る人が嫌な思いをするかもと、ちょっと気をつけています。

この記事を書いた人

ボッティ喜美子

ボッティ喜美子仏日通訳翻訳・ジャーナリスト

フランス在住。東京で長らく広告・PR業に携わり、1998年に渡仏。パリとニースで暮らした後、2000年からパリジャンの夫の転勤で南米ブエノスアイレスへ3年、出産も現地で。パリに戻り、地中海の街マルセイユへ転勤して13年。南仏拠点で時々パリの実家へ、家庭優先で仕事しています。Framatech社主催の仏ビジネスマン対象のセミナー『日本人と仕事をするには?』講師は10年目(年2回)。英語・スペイン語も少々。

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