いまやマルセイユのシンボル「MuCEM(ミュセム)欧州地中海文明博物館」
フランス

なんとも幻想的な建物でしょう? アールヌーヴォーの曲線ともいえるけれど、素材も外観もとことんモダン。

マルセイユ&南仏プロヴァンスが欧州文化首都を務めた2013年、マルセイユではいくつかの美術館がオープンしたりリニューアルされたりしたんですが、最も注目されていたのが、同年6月にオープンしたこのMuCEM博物館。

地中海を臨むこのMuCEM ミュセム。正式名称は、 Le Musee des Civilisations de l’Europe et de la Mediterranee 欧州地中海文明博物館。テーマ自体も欧州で初めての存在なら、設計のスタイルも独特のもの。

場所や予算もさることながら、展示内容のコンセプトが、欧州と地中海文明の交差と変遷を紐解いていくもので、今まで世界のどこにもなかったものだから注目されました。

古くから存在していたFort Saint-Jeanサン・ジャン要塞や旧市街と空中回廊で繋げたり、公共交通のシャトル船を設けたり、と、多方面からのアクセスを切り開いて、瞬く間にすっかりマルセイユのシンボルになっています。

地中海を一望できる”深呼吸スポット”(私にとっては)


この絶景は、古くから存在していたFort Saint-Jeanサン・ジャン要塞からMuCEMに繋がっている空中回廊からのもの。写真右下の鉄のレース細工みたいなものが張りめぐらされた角ばった建物がMuCEMミュセム美術館(日本語訳名だととても長いので、私はいつもこう表現しています)。

上の写真は最近のものなんですが、2013年のプレミアの日と景色も空気も同じ。でも、アングルが広角になっているのは、それだけ身を乗り出せるようになったからで……最初の頃は、通るだけでも、さすがに緊張したんです。なんだか鉄の吊橋という感じでしょう?

こちらが、その回廊を(建物の外で)下から見上げたもの。幅は意外と狭くて、双方向に進む同士がすれ違える程度。正面、港の対岸に聳えて見えるのがPalais du Pharoファロ宮で、あちら側からMuCEMミュセム美術館を臨んだのが、下の写真。

こちらは2月の夕暮れの写真なので、ちょっと霞んで空や雲の色形も違うけれど、写真はオリジナルのまま(何の加工もしていません)。こんな感じなんです。

新生マルセイユのランドマークのひとつ、MuCEM

さて、そんなMuCEMミュセム美術館

有料なのは期間限定で入れ替わる特別展示企画だけ。セキュリティチェックなどはあるものの、館内に入るのも、ヴューポー港側に隣接しているFort Saint-Jeanサン・ジャン要塞やPanierパニエと呼ばれる旧市街地区側から通りぬけるのも(逆に美術館からそちら側に抜けるコースでも)無料!

光溢れるの回廊部分はガラス張り。そして、繊細なデザインを施された鉄枠越しに地中海を一望できるので、本当に気持ちいい!空間。陽光浴とでも呼びたい感じなんです。

この光が織りなす影も大好き! 公園や舗道で、木漏れ日が作り出すシルエット眺めながら歩くのが好きな人なら、同じかそれ以上に心地いいはずの空間です。

4階の屋上テラスには椅子やベンチもあって、続く館内の売店で買ったばかりのものを広げたり、ひと休みしているビジネスマンの姿も見かけます(デッキチェアで昼寝、も)。テラス好きな人の多い、フランスならではの光景ですね。

この階の建物の中はガラス張りの飲食スペースになっていて、レストラン・カジュアルレストラン・スナック売店の3種類。どれも同じミシュランの三ッ星シェフPassedat氏のプロデュースによるもので、味もサービスも心地いいもの。

だから、のんびり海を眺めたければ、朝1番に目指します。ちょっとした移動の合間に深呼吸に寄るだけで、エネルギーチャージできる感じ。そう、観光スポットなだけでなく、この街で暮す人々にとっても、何度でも足を運びたい空間として、愛されているんです。

そして、下に降りてりてみましょう。J4と名づけられているこの埠頭は、ここ10年で一気に再開発の進んだ港湾地区の一番港寄り。

イヴェントの場所としてよく利用されているのがこの正面脇の広場(写真左手前)で、そういう夜のMuCEMは宝石みたいにひときわ見事に輝きを見せます。傍らには船も係留できるようになっていて、たとえば研究船の壮行イヴェントなども、広場にケータリングが設えられたり……

対面する旧い建物たちも、外の作りはそのままに、内装をすっかりモダンに設え直して、ブティックやバーレストランなどになっています。以前ご紹介したチョコレートのお店・レスペランティン マルセイユもそのひとつ。

歴史とモダンが共存する街

さて、下の写真の空中回廊は、MuCEMミュセム美術館からFort Saint-Jeanサン・ジャン要塞に抜けたあと、その先に続く別の回廊。Pinierパニエ地区(向かって左上)の展望台に繋がっています。

向こうの丘の上に見えるのは、昔ながらのマルセイユのランドタワー、Notre-Dame de la Gardeノートルダム・ド・ラ・ガルド

いつでも、街のどこからでも(昔は)見上げることの出来たこの寺院は、船と街の人々の守護神として親しまれてきたもので、不思議なことに、宗教心を持たない私なのに、この姿が見えるとほんわりとした想いに包まれます。

MuCEMの屋上から要塞越しに眺めると、少々タイムトリップ気分。フランスならでは、の愉しみですね。

MuCEM(ミュセム) 欧州地中海文明博物館
7 Promenade Robert Laffont, 13002 Marseille
公式HPはこちら

Lumière ベル・エポックの絵みたいな風景

ベル・エポックの多くの画家たちが南仏を目指したのは、"その光に魅せられて""陽光を求めて"というエピソードはよく語られている通りで、日々目にする風景・光景は、昼でも夜でも、光に満ち溢れて(あるいは、ひそかに含んで)います。

地中海の群青色と、それに映る光を見るといつも想うのがゴッホ。
どれとそっくりと言うわけではないのに。特に藍と金色の美しさは、なんともいえない空気を醸し出していて、こんなに近代的になっていても、いつか見た絵のように思えるのが、とても不思議。

これも、そんなひとつ。
Lumière ベル・エポックの絵みたいな風景

この記事を書いた人

ボッティ喜美子

ボッティ喜美子仏日通訳翻訳・ジャーナリスト

フランス在住。東京で長らく広告・PR業に携わり、1998年に渡仏。パリとニースで暮らした後、2000年からパリジャンの夫の転勤で南米ブエノスアイレスへ3年、出産も現地で。パリに戻り、地中海の街マルセイユへ転勤して13年。南仏拠点で時々パリの実家へ、家庭優先で仕事しています。Framatech社主催の仏ビジネスマン対象のセミナー『日本人と仕事をするには?』講師は10年目(年2回)。英語・スペイン語も少々。

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