強烈な匂いのするフランス名物ソーセージを日本に持って帰る方法

ヨーロッパ

これ、何だと思いますか?

ソースィッソン(Saucisson)といいます。ドライ・ソーセージなんですが、とてもとても美味しいんです。

この頃では、ヴィーガンの団体がお肉屋さんを襲撃したりというニュースもあるフランスですが、シャルキュトリー(Charculterie)と呼ばれる(主に豚)肉加工品は、フランスのお惣菜ともいえるくらい昔ながらの身近な存在で、Sソースィッソン(Saucisson)もその品目のひとつ。

フランス人なら誰でも知っている、素朴だけど奥深い食べ物なのに、まだまだ国外ではそう知られていない美味しいもの。日本でなら、魚の干物みたいな存在でしょうか?

上の写真のものは直径4cmほど。厚さ2~3ミリほどの輪切りにして並べられるスタンダードなタイプです。

我が家でも、常備食材のひとつ。

なかなかこちらに来てもらえる友人知人は限られているので、一時帰国の折に持ち帰って届けることにしました。その経緯と一緒にご紹介させていただきますね!

ソーシッス(Saucisse)とソースィッソン(Saucisson)

豚肉加工品の中でも腸詰めといえば、日本でもお馴染みですよね。

加熱調理するウインナータイプと、そのまま口に出来るサラミタイプ。

フランスでも、大きく分けて2種類なのは同じなんですが、それぞれ呼び名が違って、加熱調理する生のウインナータイプがソーシッス(Saucisse)、半生でそのまま口に出来るタイプが ソースィッソン(Saucisson)。

それぞれの分類の中で、素材の配合や風味、大きさなどなど、かなりの種類があるのが特徴で、地方や生産者によっても、また違ってくるので、旅の楽しみにもなります。

さすが美食の国と思わされるのは、チーズやワイン同様に、好みのタイプを訊かれることで、たとえば硬さの具合、風味、脂っこさなどなど。試食させてくれることもしばしば。

大きさや味のスタンダードなタイプごとに、名前がついていたりもします。たとえば、リヨン風、とか。

これは、冷蔵ケースの中に入っている商品なので、スライスしてもらって計り売りをするタイプ。

よく店頭に吊るしてあったり、ショーケースの上に並べられているタイプは、(形は様々ですが)1本ごとに一律いくらという根付けになっています。

マルシェなどでは、いろんな風味を組み合わせ自由で3本10ユーロ(デパ地下や物産展よりどり3個で1,000円みたいな感覚ですよね)で並んでいたりする一方で、量り売りで数枚というものもあります。

ここは、マルセイユのオーシャン・グルマン(Auchan Gourmand)というグルメ食品館の一角。

オーシャンというスーパーマーケットチェーンの通常製品とパンや肉・魚・チーズ・ワインなどの特選コーナーが、新しく出来て半年ほどのプラドショッピングプラザ( Centre Commercial Prado)の地下フロアーに広がっています。

TRAITEUR(直訳するとケータリング)と表示されているのは、横並びにお惣菜、肉各種、と続いているからです。

6月末にオープニングレセプションがあったときには、全品が試食できるように用意されていました。

その時にひとつひとつ説明してくれたのが、この方たち。

「日本に送りたいけど、暑いから無理ね。日本には、クール宅急便っていうのがあるのよ」とか、「日本の配達は確実に届くのよ」という話でひとしきり驚いてもらい(フランスでは、遅延紛失も多々あるし、小包が勝手に庭に投げ込まれていくことも)大笑いしたあとで、「どうして、自分で持っていかないんですか?」と質問されました。

「だって匂い(チーズとはまた別の独特の強烈な匂い)がすごいから、手荷物で持ち込んだら機内中広がるだろうし、スーツケースに入れたら着替えの服がすごいことになってしまう。真空パック加工して貰えたらいいんだけど。」

すると、「ありますよ!」と一言。

こちらが、その真空パック加工機

さて、カウンターの向こう側、シンクなどが連なる端にこんな機械がありました。

ふたを開けて、ドライソーセージを置きます。

まずはパンパンに空気を入れて、

余分な空気を抜いた後は、この通り。

あっという間に、10本ほど仕上げてくれました。

使い捨てのビニール手袋で、袋に入れてくれます。

この女性は偶然居合わせたお客さん。

ソーセージをがさごそ包んでいるのを見て、「これ、美味しいんですか?」と聞いてきました。

そう、フランス暮らしで楽しいのは、食材・食品を前にすると、知らない人同士が100年来の知人みたいに話し出すところ。

こっちが美味しいとか、この方がお得だとか、レシピはこうだとか、実に能弁になるんです。

すかさず、「このマダム、日本に10本もって行くってほどの気に入りぶりなんです」と店の人が言うのを受けて、私も「これは大人も子どもも気に入る味」と返します。

「じゃあ2本。いえ、3本頂戴!」と、このマダムは買って行ったんですが、フランスの1番の広告は口コミだと、つくづく感じています。

輪切りにすると、こんな感じ。脂っこそうに見えますが、口溶けよくてしつこくありません。

世界はどんどん近くなっている。

そんなやり取りの後、真空パック機の傍らで写真をとる私に、年配ムッシューが、「ここは、立ち入り禁止ですよ」と現れました。

ソーセージを包んでくれた人が事情を話してくれると、いきなり「こんにちは!」と陽気なごあいさつが。

「え? 日本語、話せるんですか?」と返すと、「Chotto Dake~(ちょっとだけ)」と答えてくれました。

なんと、石垣島で2年間働いていたそうです。

「日本はパラダイスだった。また戻りたい。なんで、あなたはここにいるんですか?」

……最近日本通が増えてきて、1番答えるのが難しい質問がこれですね。