フランスから特別取材!素材にこだわったチョコレート「レスペランティン マルセイユ」の魅力
フランス

フランスだけでなく欧州で知る人ぞ知る、日本未上陸のチョコレート屋さん、レスペランティン マルセイユ( L’Espérantine Marseille)。食いしん坊な(Gourmand(e))マルセイユっ子(Marseillais(e))なら誰もが知っているこのチョコレート屋さんは、フランス国内はもちろん、世界各主要都市でのサロン・ドュ・ショコラに出展しています。
ポリシーを持ち取材も基本受けていないお店ですが、今までのご縁があり特別に取材をすることが可能となりました。日本にはまだ知られていない、乳製品・卵白・グルテンを使わず、カラダにやさしいチョコレートをご紹介いたします。

ショコラティエの勲章・コルドンブルー最優秀賞受章

創業されたのは、マルセイユの街が生誕2600年を祝った1999年。なんとその翌年の2000年に、パリで開催された国際製菓博覧会でコルドン・ブルー最優秀ショコラティエ・コンフィズリー賞が授与されて、すぐにその名が知れ渡ることになりました。というのも、これはコンクールの賞とは異なるもので、勲章のような位置づけのもの。優れた味と高品質の証なんです。その対象となった作品は、こちら。
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オリーヴの葉をかたどったチョコレートの中には、エキストラ・ヴァージン・オリーヴオイルをたっぷり含んだアーモンドペーストが包み込まれています。なんとも独特でしょう? 甘すぎず、滑らかな口溶け……。
お店の言葉を借りるなら、
『厳選された地中海の恵みたちが創り上げるレスペランティン マルセイユ(L’Espérantine Marseille)の魔法のレシピの中心となるのは、アーモンド・オレンジ・オリーヴオイル。アーモンドパウダーの中にミントとオレンジコンフィのすりおろしを加えて丁寧に練り上げた柔らかな生地を、天然カカオバターたっぷりのビターチョコレートが包み込む、とても繊細なマリアージュ』。

幸せを運ぶオリーブとの出会い

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平和の象徴とされているオリーヴの木は、南仏ではとても馴染み深いもの。幸せを運ぶと言われていることもあって、赤ちゃんが生まれると植樹する習慣が残っています。
我が家では、出産したのが南米で夫の実家もパリなので、この習慣を知ったのもここで暮らし始めてからでした。未だに苗木も持っていないままなんですが、このレスペランティン マルセイユのオリーブとの出会いが、幸せを運んできてくれました。

ひと粒につまった夢

今は13歳になった私の息子に、生後まもなく食物アレルギーがわかったのですが、その対象はなんと、乳・卵白・小麦! そう、フランスで口に出来るものがほとんどない状態でした。
市販のものはほとんど食べられないので、家や幼稚園では代替食材を使い、クレープやケーキに似たものを手作り。パン屋さんや露店でアイスクリームを買い食いするとか、チョコレートなどの、ボンボン菓子というフランスの子どもがごくごく日常的に食べるものを口にすることが出来ませんでした。本人も理解していたので駄々をこねるようなこともなかったのが、親としては余計になんとも切なくて……。
 
そんな中で私が知ったのが、各都市で開催される食品見本市の存在。ここマルセイユでは、年2回SAVIMという大きなイベントがあって、南仏を中心に、フランスや欧州各地からの生産者が、スタンドで宣伝をかねて販売するものです。
8年前の冬、お菓子やジャムや肉加工品やソーセージのスタンドに素材や含有物を聞いて回りました。というのも、フランスの法律では、すべての素材について完璧に表記しなくてもいいので、たとえば、オイルの種類が抜けていたり、パテのつなぎに卵白やピーナッツオイルが入っていても、市販品では知ることが出来ないことがあるんです。
見本市の場合、パッケージに書いていなくてもその場で訊けるし、携わる人自らが傍らにいてくれるのって、ちょっとマルシェみたいな温かみもあるでしょう?
 
そうして、出会ったのが、このお店。
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「大丈夫! うちの製品は、乳も卵白も小麦も使っていないし、材料も全部私が確認しているものですから」と満面の笑顔に迎えられて、試食して……。でも、その場では買わずに、翌日子どもを連れて出直しました。「外で売ってるものが普通に食べられる」という幸せを味わってほしくて。
 
試食を促されて「食べていいの? 痒くならない?」と確認してから、まずひと片。ぱーっと広がる笑顔に、「もうひとつ、どう?」と促されて、もう、どれだけとろけそうな表情になったか! お店の人が喜んで撮ってくれたその時の写真は、我が家の宝物のひとつ。

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小さな子どものおやつというには少し贅沢だけれど、1日ひとつだけ、クリスマスやお誕生日や、お客様の時だけねと少し勿体つけながらの習慣になりました。

試食すればするほど、迷いに迷う品揃え

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そうして年を重ねる中で、店舗数も増えて、本店はマルセイユの新開発地区の埠頭のMuCEM美術館のあるJ4ドックの旧跡を改造した建物の一角に構え直しました。
商品の種類もチョコレートだけでかなりの種類。ペーストやナヴェット(小船型のマルセイユの伝統粉菓子で、乾パンみたいなビスケットが元祖)も扱われるようになって、食べても食べても追いつけないほど。どれも試食させてもらえるので、よけいに迷います。

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お陰さまで、息子の食物アレルギーは徐々に解消されて、今ではほとんど大丈夫になっていますが、我が家の定番は、初めて出会って以来のオリーヴの葉の形のお徳用パック。
そして、タルティーヌ(バゲットにたっぷり塗りつけていただく)にはこのペースト。
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アーモンド入りビターチョコレートとへーゼルナッツ入りミルクチョコレートの2種類。そして、昨年末から新発売になったナヴェットはかなり日持ちするので、買い置きおやつとしてだけでなく、朝食にも重宝しています。
 
そして、ちょっと気が早いけど、秋冬の楽しみはホット・チョコレート(Chocolat Chaud)。濃厚な本格的なココアをその場で用意してもらえます。テイクアウトも出来ますが、店内の大きなテーブルのスツールに腰を下ろして、ゆったりひと息もおすすめです。ガラス扉の向こうは地中海を臨む埠頭。私の好きな場所のひとつなんです。
ぜひ一度味わってみることをおすすめします。

L’Espérantine de Marseille
本店:L’Espérantine aux Voûtes de la Major : Quai de la Tourette ( 100m du MUCEM), 13002 Marseille
営業時間 : 10時-19時
公式HP :こちら

この記事を書いた人

ボッティ喜美子

ボッティ喜美子仏日通訳翻訳・ジャーナリスト

フランス在住。東京で長らく広告・PR業に携わり、1998年に渡仏。パリとニースで暮らした後、2000年からパリジャンの夫の転勤で南米ブエノスアイレスへ3年、出産も現地で。パリに戻り、地中海の街マルセイユへ転勤して13年。南仏拠点で時々パリの実家へ、家庭優先で仕事しています。Framatech社主催の仏ビジネスマン対象のセミナー『日本人と仕事をするには?』講師は10年目(年2回)。英語・スペイン語も少々。

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