ドイツブランドといえば、真っ先に名前が挙がるのが、車のベンツやBMW、あるいはカメラのライカ、スーツケースのリモワ、陶器のマイセンなどでしょうか。
しかしそれらは付加価値の高い高級品で、万人の生活にとって身近な存在であるとはいえません。
「ドイツブランド」として広く認知されているこれら以外にも、「これもドイツブランドだったんだ!」と思うような身近なドイツ発の商品が日本に進出しています。
もちろんこれらはドイツに行けばスーパーやドラッグストアなどで簡単に入るものばかり。ぜひドイツ土産選びの参考にしてみてください。
ハリボー
日本はもちろん、世界各地で見かける「ハリボー(HARIBO)」はドイツ発。90年以上の歴史をもち、グミキャンディーのメーカーとしては世界最大規模を誇ります。
ハリボーの歴史は1920年、ハンス・リーゲルがボンに会社を設立したことにはじまります。ちょっと不思議なこの社名。創業者の氏名「Hans Riegel」と地名「Bonn」の頭文字に由来しているって知っていましたか?
ハリボーグミが硬いわけは、硬いものを食べる習慣がなく、咀嚼力が弱かったヨーロッパの子どもたちの「噛む力」を鍛えるため。
「ハリボーは子どもを幸せにする、そして大人も」がキャッチフレーズ。小説家ケストナーやアインシュタインもお気に入りだったといわれています。
本場ドイツには、日本ではあまり見かけない珍しい種類のハリボーグミがいっぱい。人気キャラクター「スマーフ」をかたどった「DIE SCHLÜMPFE」や、タイヤの形をした「SCHNECKEN」などなど……。
無難に誰にでも受け入れられるものを購入したいという場合は「SAFT GOLDBÄREN」がおすすめ。日本でもよく見かける「GOLDBÄREN」よりもさらにフルーティーな仕上がりです。
ミルカ
チョコレートやビスケットが人気の「ミルカ(Milka)」もドイツを代表する大衆的お菓子ブランド。ドイツのみならずヨーロッパ中のスーパーで見かけるといっても過言ではなく、ヨーロッパで最も有名なチョコレートのひとつです。
その歴史は、もともとスイス人ショコラティエ、フィリップ・スシャールがスイスのヌーシャテルで売り出したチョコレートにはじまります。
その後1901年、ミルクとカカオを合体させた「Milka」というブランド名で、ドイツのベルリンにて特許を取得し。発祥はスイスですが、ドイツで商標登録され、商品の多くがドイツで製造されているミルカは、「ドイツのブランド」と呼んでいいように思います。
ミルカのチョコレートの特徴は、その名の通り濃厚なアルペンミルクがたっぷりと入っていること。「ビターなチョコレートが好き」という人にはあまりおすすめしませんが、甘くこっくりしたミルクチョコレートがお好みなら、きっと気に入るはずです。
リッタースポーツ
ドイツのチョコレートといえば、カラフルな正方形のパッケージが目を引く「リッタースポーツ(Ritter Sport)」も忘れてはなりません。
1912年、アルフレート&クララ・リッター夫妻がドイツ南西部シュトゥットガルト近郊の小さな町、バート・カンシュタットに創業したのがはじまりで、いまや100グラムの板チョコ部門でドイツナンバーワンシェアを誇る、大人気の定番チョコレートです。
リッタースポーツの特徴といえば、なんといてもその形。現在のような正方形になったのは、創業から20年経ってクララ夫人が「どんなスポーツジャケットのポケットにも収まり、かつポケットの中で割れないように」と正方形のチョコレートを提案したのがきっかけでした。
リッタースポーツの魅力は、味やサイズの種類が多いこと。味は「Cappuccino」「Alpenmilch」「Pfefferminz」など常時20種類ほどあり、加えて季節に応じて発売されるものが数種類あります。
形でいえば、スタンダードな100グラムの板チョコから、250グラムのビッグサイズの板チョコ、個包装のミニサイズのチョコレートが入ったパックや箱などもあって、お土産ニーズにもばっちり応えてくれます。
テーカンネ
ドイツは隠れたお茶大国。スーパーに行けば、棚一面にずらりとハーブティーやフルーツティーが並ぶ光景に驚かされることでしょう。日本で売られているハーブティーも、実はドイツで加工されたものが少なくありません。
ドイツを代表する大衆的お茶ブランドが、1882年に設立された「TEEKANNE(テーカンネ)」。日本では「ポンパドール(POMPADOUR)」というブランド名で販売されています。ハーブティー・フルーツティー好きならきっと一度は目にしたことがあるはずです。
テーカンネの人気の理由は、手頃な値段ながらハズレのないおいしさと、ラインナップの豊富さにあります。
フルーツティーやハーブティーのみならず、紅茶、緑茶、白茶、ルイボスティーと、世界の代表的なお茶を網羅した商品ラインナップは100種類以上。季節限定商品も多く、次々に新しい商品が出るので飽きることがありません。
クノール
調味料やレトルト食品でおなじみの「クノール(Knorr)」も、実はドイツ発祥なんです(現在はオランダとイギリスに本拠を置くユニリーバ傘下)。
クノールが生まれたのは1838年のこと。カール・ハインリッヒ・クノールが南西部のハイルブロンに創業し、クノールは世界で初めて乾燥スープを売り出したブランドとなりました。
ドイツでは日常の食事に日本ほど手間をかけないこともあって、スーパーに行けば、クノールの乾燥スープの素や、材料と混ぜて煮込むだけのレトルト調味料が大量に並んでいます。
お土産に特におすすめなのが乾燥スープの素。水と一緒に混ぜるだけでいいので、ドイツ語が読めなくても失敗することはありません。白アスパラガスのスープやじゃがいもスープ、マッシュルームスープ、豆のスープなど、ドイツらしいスープの素を手に入れてはいかがでしょうか。
フロッシュ
かわいらしいカエルがトレードマークの「フロッシュ(Frosch)」は、ドイツ生まれの洗剤ブランドです。
1980年代、チェルノブイリ原子力発電所事故をはじめ、ヨーロッパで大規模な環境災害が発生。「環境への負荷を抑えたい」という思いから、「サステナビリティ(持続可能性)」をコンセプトにしたフロッシュが誕生しました。
カエルがトレードマークになっているのは、環境の変化に敏感で土地の環境指標になるからなのだとか。
ドイツは環境先進国だけあって、環境に配慮したフロッシュブランドの人気は高く、どこのスーパーに行ってもフロッシュ製品を目にします。
かさばる衣料用洗剤を持って帰るのは難しいですが、キュートなオリジナルボトルに入った小さな食器用洗剤はお土産にもおすすめです。
クナイプ
「クナイプ(Kneipp)」は、神父で自然療法士のセバスチャン・クナイプの名を冠して1891年にドイツで生まれたハーバルブランド。
日本ではクナイプのバスソルトをよく目にするので、入浴剤ブランドと思われがちですが、ボディケアやフェイスケア、ハーブティーまで、自然の力で健康をサポートする総合的ヘルスケアブランドです。
誰にでも手が届く大衆的な価格ながら、植物由来成分の使用、パラベン不使用、パラフィン・シリコン・鉱物由不使用にこだわった製品づくりを行っています。
看板商品のバスソルトひとつとっても、ドイツなら日本では手に入らない種類が手に入りますし、バスオイルやフェイスパック、フットクリームなど日本未発売のアイテムもたくさん揃っています。使い切りのバスソルトやミニサイズのオイルなどは、バラマキ土産にもぴったりです。
ニベア
いわずと知れたスキンケアブランドの「ニベア(NIVEA)」もドイツブランドです。
ニベアの代名詞ともいえるのが、レトロな雰囲気の「青缶」。いまや世界的に有名なニベアのこのクリームは、1911年、薬学者であり起業家でもあったオスカー・トロプロヴィッツが、乳化剤オイセリットの可能性に注目したことで生まれました。
できあがったクリームが雪のように白かったので、ラテン語の「nix(雪)」「nivis(雪の)」という単語から、「NIVEA」と名付けたのです。
ニベアのホームであるドイツでは、日本では手に入らない種類の化粧水やクリーム、ミニサイズアイテムなどが揃っています。
なかでも、ベルリンとハンブルクにあるニベアのフラッグシップショップ「ニベアハウス」では、ニベア商品がフルラインナップで手に入るうえ、自分の写真が入った「マイ・オリジナルニベア缶」を作ってもらうこともできます。ニベアファンならぜひお立ち寄りを。
ラベーラ
日本でもオーガニックコスメ専門店などで人気の「ラヴェーラ(lavera)」は、1987年にドイツ北部のハノーバー近郊で創業されたオーガニックコスメブランド。
ラテン語で「真実」を意味する社名の「lavera」には、「すべての人にとって真実のオーガニック化粧品でありたい」という願いが込められています。
高質な材料を使用し、人と自然への優しさにこだわった製品は、すべてナチュラル・オーガニックコスメの国際認証「NATURE」を取得しています。
日本では限られた商品しか手に入りませんが、本国ドイツでは、フェイスケア、リップケア、ボディケア、ヘアケア、メイクアップまで、ラヴェーラの商品がフルラインナップで手に入ります。
リップクリームやハンドクリーム、フェイスパックなどの値段が手ごろでかさばらないアイテムは、お土産に特におすすめです。
スタビロ
洗練されたカラフルなデザインが人気の「スタビロ(STABILO)」は、1865年、南ドイツのニュルンベルクでスタートした筆記具ブランド。
1971年には、世界初の蛍光ペンを発売。現在もスタビロの蛍光ペンは世界トップシェアを誇っています。
余計な装飾がなくすっきりとしているのに、シルエットや配色がスタイリッシュな印象を与えるスタビロ製品はおドイツらしさ満点。ドイツでは、スタビロ商品は百貨店や文房具店はもちろん、ベーシックなアイテムならスーパーでも購入可能です。
蛍光ペン「スタビロ ボス」やペンの正しい持ち方を習得できる「イージーエルゴ」、ファイバーチップの水性ペン「ポイント88」・・・日本では手に入りにくいちょっと変わったデザインのものも出ているので、文房具好きは要チェックです。
お隣のフランスやイタリアは「ファッションの国」として知られていますが、ドイツは実用品に強い国。だからこそ、普段使いの食品や日用品、化粧品などにも安くて良いものが多いのです。
「ブランド」と聞くと高級品を思い浮かべがちですが、ドイツに行ったらぜひ安くても優秀なドイツブランドのなかからお気に入りを見つけてください。