秩父のシンボルともいえる武甲山。昨年、秩父市内を中心に札所巡りをしていたのですが、秩父への行き帰りに必ず武甲山の前を通っていました。
山あいの夕暮れが早くなり始めて、陽射しに照らされた武甲山を眺めていた時、ふと奇妙なモノがあることに気づきました。武甲山の中腹にある「謎の構造物」です。この謎に迫りたいと思います。
武甲山にある謎の構造物をどうやって確かめようか?
気のせいかな?と思いながら月日が経ってしまいました。
今年のGWに羊山公園へ芝桜を見に行った時に、記憶の中で引っかかっていたことが「確信」に変わりました。遠くから眺めれば、武甲山の山容は日本のピラミッドのようです。
更にもっと注目すべきは、いつの間にか山腹に現れた得体の知れない階段状の物体……、なぜこんな場所に? なぜそんなモノがあるのか? 意味の解らないオーパーツかも?
正体不明の物体を確かめるには、武甲山の中腹に登って直接確認すれば良いのですが、構造物は「石灰採掘の爆破作業」が行われているエリアにあると思われます。当然のことながら、一般人は「立ち入り禁止」のうえ、関係者に接触するのは困難です。
謎解きは迷宮入りで諦めるしかないのか……? ココで諦めないのが都市伝説マニア!「謎の構造物」は武甲山の北側斜面にあります。秩父市内を中心に様々な場所から確かめてみることに。
そばの花畑越しの眺望「ちちぶ花見の里」
武甲山の山容を理解するために、最初に訪れたのは西側から望む「ちちぶ花見の里」です。あいにくの天気で、山頂付近には雲が引っかかっています。
出展:秩父市産業観光部観光課
武甲山の西側から4.8km離れていますが、晴れた日には標高1,304mの武甲山北側(写真左側)が削り取られていることが良くわかる場所です。9月下旬ごろから、小さく白い清楚な「そばの花」が一面に咲き誇ります。
なぜ北側だけ削られているかというと、武甲山の地層に関係があります。南側は玄武岩の塊なのに対し、北側の地層はセメントの原料になる石灰岩なんです。
埼玉県秩父市荒川上田野413−3
運がよければ雲海に浮かぶ武甲山が望める秩父ミューズパーク展望台
できるだけ高い場所から確認してみようと思い、武甲山の北西側にある標高約359mの秩父ミューズパーク展望台へ来てみました。
謎の構造物との高低差は縮まって眺めが良いものの、6.3km離れてしまったため、カメラを最大にズームしても謎の構造物が確認できませんでした……残念。
田中健太氏撮影
運が良ければ雲海を見ることができます。
諦めきれず、北に約500m移動して「旅立ちの丘」へ
なかなか頂上の雲がとれません。武甲山から約6.7km離れていますが、石灰を採掘するための発破(爆破)の爆発音が響いて聞こえる場所でもあります。武甲山の手前に見える黄色いオブジェは、先ほどまでいた展望台です。
武甲山の麓にある羊山公園で謎の構造物に迫れるか?
ピラミッドのような謎の構造物を、現状では一番近くに感じられるであろう「芝桜の丘」から望む武甲山です。
ピラミッドのような武甲山の中腹に、まさか別のピラミッドを造ろうとしているのか? 宇宙人の秘密基地でも造っているのでしょうか?
謎の構造物があるエリアでは、石灰を採掘するための発破(爆破)作業が行われていて、立ち入ることができません。武甲山北側斜面には削った痕跡が縞模様にハッキリ見えます。石灰の採掘によって、年々姿が変わってしまう武甲山の姿です。遠くから眺めるしか方法が無いなんて、もどかしく感じます。
「芝桜の丘」は、GW前後に色鮮やかな芝桜と一緒に武甲山が望める、秩父の人気スポットのひとつです。
埼玉県秩父市大宮6314
羊山公園の北の「見晴らしの丘」
「芝桜の丘」のある羊山公園の北に「見晴らしの丘」があります。先ほどまでいた「秩父ミューズパーク展望台」や秩父公園橋など、秩父市街地を望むことができます。アニメ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」の聖地巡礼地になっている場所です。
埼玉県秩父市熊木町41−1
見晴らしの丘の近くにある「武甲山資料館」へ
「謎の構造物」のヒントがみつかもしれません。
石灰の採掘が始まる前の武甲山の写真が展示されていまいた。いくつもの峰が重なったような荒々しい山容に見えます。
武甲山を構成する斜面の地質について解説があります。水色に示されている部分が石灰岩の塊で、もともとの山頂(1,336m)を含めた北側斜面が採掘されていることがわかります。山頂を削り取られた武甲山の標高は、1,304mに訂正されています。
館内の学芸員さんに「謎の構造物」について尋ねてみましたが、納得のいく答えがありませんでした……。
彼岸花に彩られる寺坂棚田越しの武甲山
都内から一番近い棚田として知られる「寺坂棚田」へやってきました。
棚田の上からは、視界が開けているので壮観な武甲山を望むことができます。
8月下旬に訪れた時は、棚田の畦に白い彼岸花が咲いていました。
セメント工場を従えるような存在感のある武甲山。高度成長期の東京をはじめとする都会の建築を支えてきたひとつが秩父のセメントです。東京が大きくなるにつれて武甲山は小さくなりました。近代日本を象徴するような光景なのかもしれません。
2016年、東京都心部のアチコチで地鳴りのような音がするとか、一部SNSを騒がしていた時期がありました。秩父の武甲山の方向から聞こえるとか……、山頂で発光現象があったとか……、デマなのかウワサなのかも判断できないような話を聞いたことがあります。
都市伝説マニアの間では天変地異の前兆とか、UFOの秘密基地があるのではないかとか、不思議な情報が飛び交ったりしている昨今、謎の多い武甲山の探訪はまだまだ続きます。