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    フランスでは国産キャビアが新事業として伸びている!その秘密に迫ってきた
    フランス

    魚卵は苦手という人の目立つフランスなのに、これだけは別モノ……と愛されているのがチョウザメの卵。そう、キャビアです。

    メゾン・ド・キャビアという専門老舗もあるフランス。レストランでいただくお料理でだけでなく、家庭でも、折ある毎に愉しむ食材。とはいえ、10gで何千円にもなる高級食材なのはフランスでも同じ。

    でも、以前よりずいぶん買いやすくなったんです。ピンキリですが、中には、10グラムあたり1,000円のものも。そして、味にも広がりを見せています。

    というのも、グルメなフランスならではの新事業、キャビアの国産が順調に伸びていて、どんどん身近な存在になってきているんです。

    ソクたびソクたび

    キャビアって?

    キャビアは、フォアグラ、トリュフと並んで、世界三大珍味と称される高級食材のひとつ。ただ、他の2つはフランスの名産としても知られていますが、キャビアはフランス料理食材とはいえ、輸入に頼っていました。

    だから、スーパーマーケットに常備されている食材ではなかったし、置いてあっても、ほんの数個程度だったので、クリスマス直前に買いに行ったらすっかり売り切れ! 次の入荷は新年以降で日付はわからない、なんてこともありました。

    でもここ数年、従来よく見かけていたロシア産の青・黄・赤い蓋の平缶の価格がじわじわ値上がりしているのに対して、どんどん買いやすい価格のいろんなデザインの平缶が出回るようになりました。

    それが、国産品の数々。2000年以降、いくつもの会社がキャビアの養殖販売を手がけるようになって、製法も価格もさまざま。用途や予算に合わせて、購入しやすくなっているんです。

    こちらの写真は、普通のスーパーマーケットのデリ・コーナーでのもの。右半分の黒い蓋の瓶詰めと、水色と紺の蓋の真空缶がキャビアです。水色はプリマーと呼ばれる新物、紺色は熟成させたもの。

    (左下はトリュフ瓶詰めと、南仏からすみ。こちらは追ってまた)

    フランス国産の本格的開始は2000年を過ぎてから

    従来の輸入製品が1年半ほどの賞味期限だったのに対して、国産は半年だったり、ひと月程度のものも。それは、味のクオリティを保つため、保存料や塩分を最小量に抑えているから。

    瓶詰め、真空缶、いずれも南西フランス・アーキテヌ地方産なんですが、それぞれ価格に幅があるのは、製法と使用添加物の違い。

    2年前の冬の新物(の写真なので、2015と入っています)。

    新物のさらっとした感じ、熟成させたものは少し濃厚……ヌーヴォーとヴィンテージ、という感覚でしょうか。どちらがいいかは、人それぞれ。

    ひとりひとりの味の好みと、たぶん、何を一緒に飲むかにもよって印象が変わってきます。基本的には、ウォッカやシャンパン。それは、モチロン最高だけれど、キャビアもいろいろ銘柄があって、それぞれに相性のいいワインがあるそう。

    ここ数年、毎年顧客対象に少人数限定で、その年お薦めのキャビアとワインのマリアージュ・レクチャー&試飲試食会をしていると聞いて、参加しててきました。

    でも、その話は最後にすることにして、まずは、フランス産キャビアのうんちくなど……

    2010年以降有名シェフたちが使い始め、あっという間に知れ渡りました。


    最初にフランス産のキャビアの存在を知ったのは、食品見本市で。南西フランス産と書かれたキャビアのスタンドがあって、いろいろ教えていただきました。

    まだ市場にはあまり出回ってないものの、シェフたちなら皆知っているし使っていると、ミシュランの星つきの店の名前をいくつか挙げられて、それから気をつけて見ていたら、品書きの中のキャビアにフランス産とわざわざつけているのを目にする機会が増えました。

    それでも、普通の食材店では見かけることもなかったんですが、数年前、近所に新しく出来たグルメ食材店では、”国産”を前面に出していたので、初めて購入してみました。数ある中から、そのお店が選んでいたのは当時は1社だけ、かなりの限定個数でした。

    というのも、フランス国産は、防腐剤や添加物を極力抑えることで、味の向上に成功した一方で、賞味期限がかなり短くなってしまっているので、在庫をそう抱えるわけにもいかなかったわけです。

    徒歩数分なのに、きっちり保冷パックに入れてくれて、「もしすぐに食べないなら、0℃前後を保ってくださいね」と。それが4年前。今では、よく知られるようになって回転もいいから、何社もの製品が年中置かれてあります。

    ところで、そんなわけで、今では、Bioオーガニックでの自社食材を使用しているミシュラン認定シェフの中には、なんとキャビアも始めているひともいるくらい。連日満席の店ならではの発想ですよね。

    有名シェフたちが選ぶ理由は……

    国産は関税がかからないとは言え、単純に輸入製品よりも安価というわけではないんです。同じフランスの、同じ地方産といっても、味やクオリティにはかなり幅があります。モチロン、価格も。

    ワインのように、キャビアにも何年ものとついているように、保存料や塩分の度合いの違いが味に影響してくるんですが、だからこそ、品質と価格にも幅が出てくるわけです。

    たとえば、Ebeneは限られた店でしか扱われていない逸品で、 一般的な小売価格は約85ユーロ(約11,000円)30g。真空の缶詰ですが、賞味期限が40日。だから、どこででも見られる製品ではありません。

    キャビアと白ワインの賞味レクチャーは、店の鍵を閉めた午後8時過ぎから、カーブの奥でひっそりと愉しく……

    フランスのシャトーだけでなく、ワインの店でも試飲会はあって、生産者が直接来る場合は無料で。そうでなく、製品を識るためにという目的で、高価な製品を口にする場合には有料なことが多いです。

    お店の顧客限定10名、市内3店舗同時開催の賞味レクチャー。毎年来るという年配マダム2人連れもいました。有料ですが、十分お得な構成の【勉強会】です。

    ワインは3種類、キャビアは2種類。ワインの1種は、この店に3本しか入ってこなかったうちの1本を。キャビアも、この店では置いていない1種も……そして、それぞれの製品やブルゴーニュについて、質問したり、顧客同士で歓談したりの2時間。

    この方が同時開催したいくつものワインカーヴのオーナー。実は、日本のウィスキーへの造詣も深くて、かなりのコレクションをされています。

    まずは、王道のシャブリとこちらの組み合わせ。同じデザインで、中央の帯部分の色が異なるものを3種類出しているSTURIAのものですが、これは5、6ヶ月置いたヴィンテージです。30gで75ユーロ、約1万円。

    茶道のお作法で、客人がお菓子をいただいて、その口どけ感を残しながらお抹茶を味わうように、まずはキャビアを口に含んで味わって、それから白ワインをいただきます。

    グラスは、くるくると地面と平行に時計回りに回して、空気を取り込んで味わいをまろやかに。そうしていいる間に、次のワインをデキャンタ(別の器に移しておく)をして10数分……

    赤ワインだけでなく、白ワインも、こうした方がより美味しくいただけるものがあります。

    こちらは、Chassagne-Montrachet Premier Cru Morgeot Blanc。このお店に3本だけ入荷されたうちの1本、約100ユーロ。キャビアは、前述の逸品Ebene。

    一見、そう変わらない……というより、ほぼ同じですよね。でも、口に含んだ瞬間に、もう風味が異なるんです。単純な表現でたとえると、まぐろの中トロと大トロの違い。

    いろんなメーカーの新物、ヴィンテージで比較していくと、地中海まぐろ、インド洋、太平洋、それぞれの中トロ・大トロの違いのようなものがあります。

    こんなに小さくてもきっちり保冷パックへ。


    さて、最初に試食したSTURIAと同じものを買うことにしました。

    オーソドックスなタイプと、新物もあったんですが、濃厚味のヴィンテージに。でもサイズは、1番小さい15g(試食のスプーンは写真では小さく見えますが、コーヒースプーン程度、深みもあります)。

    下の写真が、約5gずつ小分けにした状態。これで、10人分ほどのディップやカナッペが作れます。こんなに小さくてもホームパーティーで十分活躍の量。

    小さなパンケーキ上のブリニ(ス)に生クリームを塗ってキャビアを乗せてというのがオーソドックスですが、たとえば、生クリームと混ぜてしまって野菜やクラッカーのスティックにつけてもいいし、海の幸の上に飾りのように使っても。

    クリームパスタの上に添えて、混ぜても美味しいとお店のオーナーからの提案。

    スプーンですくっても、添え物としてちょっぴりでも。いろんな楽しみ方、まだまだありそうですよね。

    なんと、キャビア風味のマカロン!も。

    フォアグラ風味のマカロンもある!と先日書きましたが、ピエール・エルメでは、なんとキャビア風味のマカロンがでました。

    まだ試していないんですけど、写真の黒いマカロンがそうです。フランスの美味しいものたち。追いかけっこはまだまだ続きます……
    なんと、キャビア風味のマカロン!も。

    この記事を書いた人

    ボッティ喜美子

    ボッティ喜美子仏日通訳翻訳・ジャーナリスト

    フランス在住。東京で長らく広告・PR業に携わり、1998年に渡仏。パリとニースで暮らした後、2000年からパリジャンの夫の転勤で南米ブエノスアイレスへ3年、出産も現地で。パリに戻り、地中海の街マルセイユへ転勤して13年。南仏拠点で時々パリの実家へ、家庭優先で仕事しています。Framatech社主催の仏ビジネスマン対象のセミナー『日本人と仕事をするには?』講師は10年目(年2回)。英語・スペイン語も少々。

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