米や醤油は日本から、魚は地中海。フランス・ニースに夢のような鮨屋がオープン!
フランス

10月、ニースに、本格的なお鮨の店がオープンしました。表には看板もないし、一見、そうとは見えないつくり。でも、長いこと待ち望んでいたグルメなフランス人たちの間では、すでに知る人ぞ知る存在。

何しろ、お米やお醤油・酢などの調味料は、本場・日本から厳選されたものを取り寄せ、鮨ネタの魚介類は目の前の地中海の獲れたてを毎朝仕込むこだわりぶり。フレンチ表現的に言うなら”夢のマリアージュ”。

“隠れ家風”ならではの、シックで落ち着く空間「Sushi-K」へ


さて、それでは、中へ入ってみましょう。

いわゆる”隠れ家風”ならではの、シックで落ち着く空間。限定7席のカウンターも、椅子も、計算されつくした特注・厳選品。食器は、日本で吟味発注された有田焼。

この写真だけ見たら、まるで日本のそれみたいでしょう? でも、よくよく見ていただくと、カウンターの一角には南仏名産のClelentine(クレモンティーヌ:みかん)も。

南仏での幸せのシンボルのひとつです。そう、この店は、日本の伝統×南仏と地中海の山海の幸が、ごくごく自然体で”いいとこ取り”、を。

どの魚を供されるのかは、その日の朝の仕入れ次第。地元の漁師さんが知らせてくれる、目の前の地中海で揚がりたてのいいもの。そして、マルシェに並ぶ旬の魚介を。

でも、お魚堪能の前に、用意されている美味しい数々がこちら。蓋を開けるのも、ちょっとわくわくさせられますよね。だから、これは、行かれる時のお楽しみに!

そして、見たらよけいに行きたくなるはずなのは、こちら。 ごま豆腐のうにソース。うにも地中海名産で、今がシーズン。

フランスでは、海産物の自然体系の保護にとても気が配られていて、法律でいくつかの魚介類に漁獲規制期間が設けられています。うには、春夏の間が禁漁期間。

マグロは、各船ごとに数量頻度の規制があります。すべて番号がつけられていて、釣ったら申告しなければならず、揚がった場所時間も記録がついているのでその場でわかります。

さて、みかんのその隣に並ぶのが、がめ煮。福岡の名産の煮物として知られますが……そう、この店は、当地出身で在ニースの松嶋啓介シェフのプロデュースによるものなんです。店名は、Sushi-K

ここはもともと、15年前にKei’s Passion(今はRue de Franceにある同シェフの店KEISUKE MATSUSHIMAの前身)があった場所です。

松嶋啓介シェフがその店を開いてほどなく、28歳で史上最年少の外国人フレンチシェフとしてミシュランの1ツ星を獲得したのはかなりの話題で、その存在を知ったのもニースのフランス人の友人たちから聞かされて。特に注目されていたお料理のひとつが”牛肉のミルフィーユわさび風味”でした。

フランスにWasabi(わさび)を流行らせたのは、松嶋啓介シェフの生み出したこのお料理がきっかけだと私は感じているんですが(有名無名シェフたちが、ソースや素材としてどんどん取り入れはじめて、瞬く間にあちこちの品書きで見かけるようになりました)、その場所で、今度は日本の伝統が改めて発信されているわけです。

シェフは、福岡出身。松嶋啓介シェフとは高校の同級生で、気心知れる間柄。

さて、そんなSushi-Kのシェフはこんな方!です。

小渕隆雄シェフ。福岡出身の39歳。20歳で和食の世界に飛び込み6年修行、その後は鮨専門店で5年経験を積んで独立したそうです。そして、8年後の今、フランス・ニースへ。

以下、シェフとの一問一答を、そのままご紹介しますね。

どうして、Sushiの世界を選ばれたんですか?
お寿司に魅了されたのは……”至ってシンプルなところ”です。料理の世界では見た目も重要で盛り付けにいろいろな工夫がされてますが、お寿司屋は、料理もお寿司も飾らない。手間ひまがシンプルな逸品から伝わる所です。

福岡の握り鮨は、東京とは少し違った独特のスタイルで、また違う美味さの特徴を持っていますよね? お醤油も甘めでとろりとしていたり。
はい。江戸前寿司はシャリがサッパリ(砂糖無しで少なめ)ですが 、関西から西、特に九州福岡は甘め(砂糖多め)です。 また使われてる醤油も同様です。 ネタにしても 東京はマグロ、アナゴ、などが中心ですが、福岡では白身がメインになります。そして、白身を食べるときも 醤油では無く、塩、ポン酢、などを使用してます。

フランスの伝統食材の新しい使い方もお考えとか?
従来のお寿司の形を崩さずに、 上手に使って行きたいと考えてます。 たとえば、いなり寿司の中にシャリとフォアグラを、巻き寿司の中にネタとトリュフを などなど……


実は、松嶋啓介シェフと小渕シェフは、高校の同級生で部活も同じサッカー部。それだけでなく、なんと誕生日も同じだそうです。

日本の南で共にボールを追っていた2人の瞳が、20数年後の今、フランスの南のコートダジュール、ニースのリベラシオン市場を中心に、国境向こうのヴァンチミリアの市場へもと、一緒に食材の目利きをしているのって、不思議で素敵ですよね。偶然は必然。

この2つのマルシェは、松嶋シェフが自身のフレンチレストランの仕入れで15年来通っている馴染みの場所。多くの高名フレンチシェフたちも仕入れに来ることでも知られる、質のいいもの揃いの場所です。機会があれば、ぜひ覗いてみるのもお薦め。

目の前の地中海で揚がる新鮮なイカ、いわし、鯵、カツオ……そして、まぐろ!


まずは、お刺身で、そして、握りへと続きます。たとえば、こんな感じ。

なんと、こんな新鮮な締めた鯵のにぎり!も。 モチロン、目の前の地中海産です。

カツオも、そう。朝、リベラシオン市場に揚がっていたばかり。

届きたて、大西洋岸のブルターニュ産・ホタテ。フランスでは、ホタテも法律で禁漁期間を設けられているもののひとつ。こうして品質保持されています。

まだまだ続きます……が、これ以上は、写真は割愛しますね。

そして、やっぱり、これ!がないと、の海苔巻きと玉子焼き。ほーっと、嬉しくなりますよね。南仏の太陽の恵みのもと自由に育つ地鶏の卵使用。

そうそう、塩は、南仏・カマルグのもの。見事なマリアージュと最初に表現したのは、こういう理由からです。空気が伝わりますように!

7席だけなので予約は必須。でも、11月からは、[19時半から21時]と[21時から22時半]までの、2回のコース時間にして席に余裕が作られたし、当日予約も可能なよう。貸切も、相談に応じてくれるとのこと。予約は電話、または、FBページからも出来るそうです。

※ ところで、松嶋シェフの”牛肉のミルフィーユ”は今も定番。ニースのお店KEISUKE MATSUSHIMAではモチロン(ランチメニューでもセレクトできるひとつ)ですが、東京のお店KEISUKE MATSUSHIMAでも味わえるので機会あれば、ぜひ(個室もあるし、バリアフリーなので、一時帰国にも重宝です)。

Sushi-K
22 ter rue de France, 06000 Nice, France
Tel : 04 93 92 43 67
営業時間 : 正午~14時 (火曜ー金曜 日替わり盛り合わせ35ユーロ)/ 19時半~22時半[19時半~21時 / 21時~22時半の2回 (月曜ー土曜)日曜定休
おまかせコースは、2種 (50ユーロまたは70ユーロ)
公式FBはこちら

山葵(わさび=Wasabi)もすっかりフランス語。でも、発音は濁ります。

山葵(わさび=Wasabi)も、すっかりフランス語として定着しています。

お鮨を知っている人もそうでなくても……というのも、あちこちのビストロのメニューでも、わさびをお料理に使うのはすっかりポピュラーになっているんです。マカロンやアイスクリームのフレーバーにもあるんですよ。

ただ フランス語でS+母音は濁るので、ローマ字のSaの発音ではなくZaに。つまり、『わ"ざ"び』になります。Sの発音にしたいときには、Sを2つ重ねて。たとえば、SSaでサと読めます。

この記事を書いた人

ボッティ喜美子

ボッティ喜美子仏日通訳翻訳・ジャーナリスト

フランス在住。東京で長らく広告・PR業に携わり、1998年に渡仏。パリとニースで暮らした後、2000年からパリジャンの夫の転勤で南米ブエノスアイレスへ3年、出産も現地で。パリに戻り、地中海の街マルセイユへ転勤して13年。南仏拠点で時々パリの実家へ、家庭優先で仕事しています。Framatech社主催の仏ビジネスマン対象のセミナー『日本人と仕事をするには?』講師は10年目(年2回)。英語・スペイン語も少々。

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