24時間後のマカロンが最高。本場フランスで作り方を習ってみた
フランス

マカロンといえばフランス!のイメージが強いですが、もともとはイタリアから伝わったことは、先日ご紹介したスズランの日の記事の中のエピソード通り。イタリアから王室に嫁いだカトリーヌ・ド・メディシスが運んできました。

当時のマカロンはごつごつした素朴なもので、色も飴色に近い薄茶色。素材は、どちらもアーモンドパウダーにお砂糖たっぷりのメレンゲ。メレンゲの製法や温度によって、色形が変わるんです。

今、あちこちでよく見かけるカラフルなパリスタイルと呼ばれるタイプは、数年前までは専門店や老舗だけに並んでいたのが、マリー・アントワネットの映画が公開されたのがきっかけで一気にポピュラーになりました。

今では街のパン屋さんでも作られるようになっているし、家庭で出来るキットもあちこちで見かけます。

そして、一般向けのアトリエ(レッスン)も。

少人数制の単発アトリエでコツを学ぶ

フランスの毎日の食卓はとてもシンプル。デザートもヨーグルトだったり市販のクリームスイーツぐらいなんですが、週末や誰かをお招きしての機会には、手作りのケーキやタルトが並びます。お招きされた方が、得意のお菓子を持って行くことも。

もちろん、興味のない人は全く作らないんですが、デザートを手作りするのをごくごく普通のこととして捉えている人が目立つフランス。いただいた美味しいものはすぐにレシピを教えてもらったり、行事や人気に合わせての単発のアトリエ(教室)も開かれたり。

カップル社会、週末は家族で、といわれているフランスですが、パートナーとは別々に男同士・女同士で食事に出掛けることもごくごくアタリマエになっているこの頃、週末の習い事や単発のアトリエもポピュラーなんです。

妻でもお母さんでもない時間……フランス人はいくつになっても女であることを忘れない、というのはセクシーさを大切にしているからというよりは、自分の時間を大切にしているからこそ生き生きしていられるんだと思います。

というわけで、マカロンを習いに行って来ました。土曜日の朝10時から3時間。アトリエは、こちら。インテリアのデコやキッチン用品などの揃っているお店の2階にあるオープンキッチンスペース。


誰かの家のキッチンという雰囲気で居心地よさそうでしょう?

習いに来たのは、計7人。妊娠中のプレママン、小学生の女の子とお母さん、あとは平日はお勤めというひとたち。独身もいれば孫のいる人も。

面白いのは、キッチンに向かうのが大好きという人ばかりでもなくて、普段はお料理はご主人任せだけどデザートは自分で愉しみたいのという人や、女友達とおしゃべりついでに連れ立って、とか。

市販のキットも売ってるし、自宅で作る人はどんどん増えているんです。でも、習いに行ってよかった!と思ったのは、メレンゲについて改めて深く知れたこと。

ひとくちにメレンゲといっても、実は3種類

メレンゲと言うのは、卵白にお砂糖を加えて泡立てたものの……と単純に思ってたんですけど、違いました。(スキーみたいに、)隣国同士なのに少しずつ基本スタイルが違うんです。

メレンゲ・フランセ(一般的に知られるタイプ)、メレンゲ・スイス(卵白に60℃に加熱した砂糖水を加える)、そして、メレンゲ・イタリアン。これは、砂糖水が沸点を超えた瞬間に泡立てをはじめて、絶妙のタイミングでさくさくきっちりと混ぜ合わせるのが大切なコツ。マカロンにはメレンゲ・イタリアン!

理科の実験みたいですけど、マカロンの成否の鍵を握るのは、このメレンゲの仕上がりと、湿気のない環境。

ひとりでこなすのに重宝するのは、こちらの器具。フランスでも年々人気上昇中で、売れてます。なくても大丈夫だけれど、あったら便利。なにしろ、勝手に泡立てておいてくれます。そして、アタッチメントを付け替えるだけで、次のステップも簡単。

メレンゲが出来上がったら、すぐに(予め用意しておいた)それぞれのパルファン(色づけ香り付けしておいたアーモンドとお砂糖のペースト)を加えます。

今日は、4種類。向かって右から、ローズ、ミント、オレンジ、ショコラ。

ところで、一般的な家庭用泡だて器しか持っていなくても(というより、この専用機器を持っていると答えた人は、受講者7人中1人だけ)メレンゲは出来るし、そのあとは、こんな風にゴムベラで練って練って練り上げれば作れます。

天気のいい日がマカロン日和。

さて、マカロンにとっての天敵は、湿気。だから、雨の日は、できれば避けた方がいいとのこと。どうしても、という場合にはキッチンの除湿換気に気を配ることが大切だそう。

搾り出し袋に入れるときには、しっかり空気を抜いて。そして、右利きの人は向かって左から、左利きの人は右から。

専用のシリコン製の型シートも売っていますが、どんどん焼くためには何枚も一度に用意できるクッキングペーパーの方が便利。型紙を下に敷いているので、円の大きさに合わせて搾り出すだけ。こんな風に半円型になります。

手前のオレンジ色のシートが、私が終えて交代したもの。意外なほど、あっという間に出来ます。

焼くときにも、途中でオーヴンを1回・数秒間開けて、蒸気を飛ばします。こんな感じ。

第1弾が焼きあがってきました。冷ますのに、電磁調理台の上に置いてしまうリラックスぶり。そのまま家庭で真似できてしまうので、嬉しいです。

フランスでは、年々、電気式キッチンが普及してきていて、中でもアンディクションと呼ばれる、表面が熱くならない(けれど、その代わり専用素材の調理器具が必要な)調理台が普及してきていています。

さて、それぞれのパルファンにクリームやジャムを挟んでいきます。ミントとショコラにはチョコレートガナッシュ、ローズにはバラの風味のミルククリーム、オレンジにはマーマレード。

試食はなし! ……というのには、理由があります。

マカロンは、24時間後からが美味しいんです。だから、その場でいただく代わりに、7人で均等に分けて、ひとり29個ずつ箱詰めして持ち帰らせてもらえました。

写真は、待ちに待った翌日のアフタヌーンティー、で。数が減っているのは、本当に24時間後の方が美味しいのかどうかを確認するため(という名目で)前夜、息子とつまみ食い済みだったせい……

生鮮使いのもの(ガナッシュやクリーム、果物のジュレなど)は、賞味期限3,4日ほど。でも、マーマレードやきっちり加熱されたジャムなどなら3週間ぐらいは(くれぐれも湿気は避けた状態で)美味しくいただけます。

この記事を書いた人

ボッティ喜美子

ボッティ喜美子仏日通訳翻訳・ジャーナリスト

フランス在住。東京で長らく広告・PR業に携わり、1998年に渡仏。パリとニースで暮らした後、2000年からパリジャンの夫の転勤で南米ブエノスアイレスへ3年、出産も現地で。パリに戻り、地中海の街マルセイユへ転勤して13年。南仏拠点で時々パリの実家へ、家庭優先で仕事しています。Framatech社主催の仏ビジネスマン対象のセミナー『日本人と仕事をするには?』講師は10年目(年2回)。英語・スペイン語も少々。

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