現存する世界最古の映画館は、南フランスにある。
フランス

南仏プロヴァンスと言えば、ピーター・メイルの小説以来の、ゆったりのんびり、風光明媚や美味しいものを愉しむ暮らしのイメージ強いですが、史跡・名所、そして文化的なものもいっぱい。

マルセイユを基点に南仏観光自由自在シリーズ。今回は、知る人ぞ知るLa Ciotat(ラ・シオタ)Eden-Théâtre(エデン劇場)をご紹介しますね。

エデン劇場。それは、リュミエール兄弟で知る人ぞ知る南仏の町「ラ・シオタ」で愛され続ける場所。

エデン劇場とは、現存する世界で最古の映画館です。

そう、世界で最初に映画を世に送り出したリュミエール兄弟の作品-L’arrivée d’un train en gare de La Ciotat(シオタ駅への列車の到着)の題材になったのがここLa Ciotat(ラ・シオタ)で、その上映会場となったのがEden-Théâtre(エデン劇場)……実は今でも、現存しているんです。

まずは、この写真をご覧くださいね。19世紀に! ここで上映されたんです。
©Service Communication – Ville de La Ciotat
©Service Communication – Ville de La Ciotat

1番最初に上映会が催されたのは1895年12月末のパリ、そして、その後フランス各地で公開されたそうですが、現存する映画館は、映画の舞台となったここシオタのエデン劇場だけ。

(以前仕事の依頼で調べた時の資料には、パリに先駆けてシオタのエデン劇場が初上映とあり、そう書いてしまったんですが、公式にはやはりパリでの上映が最初です。もし、どこかでその文章をお目にされていた方には、この場をお借りして陳謝いたします。)

2013年の欧州文化首都年にリニューアルされました。

とはいえ、維持するのはやはり厳しく、一旦、1995年に閉館を余儀なくされました。

エデン劇場外観©Service Communication Mairie La Ciotat

歴史ある映写機©Service Communication Mairie La Ciotat

現在の上映室©Service Communication Mairie La Ciotat

長らく閉鎖になっていましたが、2013年、マルセイユと南仏プロヴァンスが、欧州文化首都を務めることになって予算を得ることが叶い、リニューアルオープンできる運びになったわけです。

上映室は二階建て。写真の映写機は、2階に写真そのままに置かれています。

シオタにある、もうひとつの映画館 – Le Lumière ル・リュミエール。

ところで、これは、10年前にブログに載せた写真。この写真を撮った2007年、ここは3つ上映室をもつ普通の映画館として、各新着映画が毎日(内容とタイムスケジュールは日替わりで)上映されていました。

港近くの旧い建物の続く中、外壁に描かれたリュミエール兄弟の姿がひときわ目を引いていて、昔の映画館はこういうスタイルだったのかしら?と単純に思いながら、建物の正面へとまわってみると……

「え? これ?」

それでも、昔の南仏ではこういう建物が文化的施設だったのかと、深くかんがえることもなく見上げてみたら、正面入り口(らしきもの)の屋根の下に、なにやら年譜らしきパネルが。

なんと、もともとは、大きな体育館のような中にスタンドが連なる、屋内マルシェ(と郵便局)として作られたものだったんです。

中に入ってスタッフの方に尋ねたら、こうした大きな建物の中に店が連なる市場のスタイルは、隣国スペインやイタリアでは繁盛している例がずいぶんあるものの、当時のシオタでは残念ながら支持されなくて、すぐに閉鎖になってしまったそう。

たしかに、朝市といえば、外の空気に触れるもの。特に目的がなくてもふらりと歩きながら覗いていったりするもので、太陽燦々の南仏では雨が降ることもめったになく、港の突堤前に連なるスタイルの方が支持されたようですね。今も、マルシェは、そちらで賑わいを見せています。

そうして、私の大きな勘違いは……ここを、エデン劇場と勘違いしてしまっていたこと(弁解になりますが、当時エデン劇場は閉館されていたので)。

2013年に、エデン劇場がリニューアルされたと上で書きましたが、その後、その新しいエデン劇場でのイヴェントに招んでいただいたある夜、車が停められた場所は、違う場所。

怪訝に思って、Office du Tourisme de La Ciotat(シオタ観光協会)の方に確認させていただいたら、こちらは、マルシェの跡地を映画館にしたことには間違いないけれど、壁面はリュミエール兄弟へのオマージュを込めてのもので、その名も、Le Lumière ル・リュミエール。

さて、今回、TRIP’Sトリップスに寄稿するにあたって、シオタ観光協会のご好意で、当時のエデン劇場の写真も探し出して下さり、お貸しいただきました。よかったら、今と昔を見比べてみてください。

そして、足を運ぶ機会あれば、ぜひ、劇場の2階に置かれている映写機も、間近でご覧くださいね!

エデン劇場
25 Boulevard Georges Clemenceau, 13600 La Ciotat, フランス
マルセイユからシオタは、高速バスで行けます。片道5.1ユーロ(約650円)。
公式HPはこちら

新作映画『ライオンは今日死ぬ』の舞台 も、La Ciotatラ・シオタ

2018年1月20日から公開になっている『ライオンは今夜死ぬ』の撮影が行われたのも、La Ciotatラ・シオタ。諏訪敦彦監督は、やはり、この劇場で、レセプションをされたそうです。

なんとも素敵!ですよね。

ちなみに、映画『ライオンは今夜死ぬ』公式サイトはこちら。

この記事を書いた人

ボッティ喜美子

ボッティ喜美子仏日通訳翻訳・ジャーナリスト

フランス在住。東京で長らく広告・PR業に携わり、1998年に渡仏。パリとニースで暮らした後、2000年からパリジャンの夫の転勤で南米ブエノスアイレスへ3年、出産も現地で。パリに戻り、地中海の街マルセイユへ転勤して13年。南仏拠点で時々パリの実家へ、家庭優先で仕事しています。Framatech社主催の仏ビジネスマン対象のセミナー『日本人と仕事をするには?』講師は10年目(年2回)。英語・スペイン語も少々。

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