意外だけど、イギリスで美味しいのはインド料理。
イギリス

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イギリス旅行で食べるべきものとはなんでしょう。フィッシュ・アンド・チップス、それともスコッチエッグ……? 実はインド料理です。

「イギリスでインド料理!?」と思われるかもしれませんが、かつてインドがイギリスの植民地であった歴史的背景から、イギリスにはインド系移民やその子孫が多く、いたるところにインド料理店があります。

移民自身が本場の食文化を持ち込んだわけですから、味のレベルも高いと評判。もはやインド料理はイギリスの食文化の一部になっているといっても過言ではありません。

数・質ともに群を抜くロンドンのインド料理

なかでもロンドンにあるインド料理店の数は群を抜いていて、ロンドンを歩けばインド料理にあたるといってもいいくらいです。

旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」で、ロンドンのインド料理店として掲載されている店舗はなんと1,127軒。トリップアドバイザーに掲載されていないお店もあるはずなので、実数はもっと多いでしょう。

もちろん質も高く、インド料理店としては世界で初めてミシュランの星を獲得したお店「TAMARIND」は、ロンドンにある高級インド料理店。

英語圏では「世界で一番おいしいインド料理はロンドンで食べられる」と思っている人が少なくなく、インド料理を楽しみにしながらロンドンを訪れるアメリカ人も多いといいます。

モダンなインド料理の人気店「DISHOOM」

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ロンドンでは、移民街にある気軽な食堂から、マハラジャの宮殿のような高級店、さらには従来のインド料理店のイメージを覆すようなスタイリッシュなレストランまで、多種多様なインド料理店が勢ぞろい。日本ではなかなかお目にかかれないようなモダンなインド料理にもありつけるといいます。

ロンドンにあるモダンなインド料理店の筆頭に挙がるのが、ロンドン市内に5店舗を展開する「DISHOOM」。垢ぬけた店内で洗練されたおいしいインド料理が食べられることから、若者を中心におしゃれな人々に人気のお店です。

インド料理店に見えない店構え

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今回やってきたのは「DISHOOM Carnaby」店。日本ではインド料理店というと、インドの国旗やヒンドゥー教の神様のポスターなどが掲げられ、エスニックなイメージを押し出しているものがほとんど。

高級店なら宮殿風、大衆的な店なら下町食堂風という違いはありますが、いずれにしても「モダン」というよりは、日本人が思うインドのイメージを再現した、わかりやすい異国情緒漂う店構えが主流です。

ところが、DISHOOMの店構えにはほとんどインドを感じさせる要素がありません。ここがインド料理店だと知らなければ、ヨーロッパ料理のバー・レストランだと思うところでしょう。
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よく見ると外壁に書かれたヒンディー語の文字と、店内に飾られたガネーシャ像の後ろ姿がそこはかとなくインド感を漂わせているくらいです。

レトロモダンな店内

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DISHOOMのコンセプトは「BOMBAY CAFES」。昔ボンベイ(現ムンバイ)にたくさんあったものの、今はほとんど姿を消してしまったというイラン系のカフェを再現しています。

店内に足を踏み入れると、クラシカルな白黒のフロアのバースペースがお出迎え。
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その奥に、ゆったりとくつろげるレストランスペースがあります。
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店内に配置されたアンティーク調の家具や、壁に貼られた古いエア・インディアの広告がとってもレトロ。

とはいえ、単に昔のボンベイにあったカフェを再現したというだけではなく、現代の感覚もミックスさせたレトロモダンな空間は、はっとさせられるほど新鮮でおしゃれです。

少しずつ食べられるのが嬉しい小皿料理

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DISHOOMの人気の理由のひとつが、小皿料理が充実していること。日本のインド料理店では、カレーにナン、チキンティッカなどが定番メニューですが、DISHOOMではサモサやオクラのフライ、エビのフライ、コーンのグリルといったさまざまな小皿料理が豊富に揃っています。

まるでスペイン料理のタパスのように、さまざまな料理を少しずつ食べたいというニーズに応えているのですね。今回注文してみた小皿料理は、「OKRA FRIES」と「PAU BHAJI」。
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「OKRA FRIES」は文字通りオクラのフライで、ピリ辛のスパイスで味付けされたジューシーなオクラがクセになりそう。これは日本でも真似したくなります。

「PAU BHAJI」は、日本では「野菜カレー」と呼ばれそうな見た目ですが、DISHOOMのスタッフいわく、カレーではなくあくまでもマッシュした野菜の煮込みなのだとか。

トマトなどの甘酸っぱい野菜とスパイスのハーモニーが絶妙。PAU BHAJIに付いてくる、表面にバターを塗ったフワフワのパンもまた絶品です。

こんなの初めて! 衝撃のダール

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インドの国民食ともいえるのが「ダール」。日本では「豆カレー」と呼ばれることが多いですが、カレーというよりもスープに近いものもあり、さらには毎食のように食べられることから、ダールはインド人にとっての味噌汁のようなものだともいわれます。

日本のインド料理店ではキーマカレーやバターチキンが主役で、ダールの存在感は薄いですが、DISHOOMではこれが看板メニュー。インド人のソウルフードであるダールを看板商品にするとは、「ホンモノ」の匂いがします。

筆者はこれまでに2度インドを旅行したことがあり、2度目は1ヵ月月ほどの滞在。さらには、東京で評判のインド料理店を食べ歩いたり、マレーシアやスリランカでもインド料理の名店を訪れたりしたことがあり、インド料理の経験値は決して低くはないと自負しています。

もちろん、ダールだって何度も食べてきました。でも、DISHOOMの「HOUSE BLACK DAAL」を口にした瞬間、「こんなダール食べたことない!」と衝撃を受けたのです。そのわけは、まるでビーフシチューのようなコクとまろやかさ。

24時間以上煮込んで作るというその濃厚な味わいには、どこかヨーロッパ料理のようなリッチな風味が感じられます。それまでダールとは良くも悪くも主張しない食べ物だと思っていたのですが、DISHOOMのダールは「看板メニュー」の名に恥じない、主役級のおいしさです。

ヨーロッパにしては辛めの味付け

もうひとつ驚いたのは、ヨーロッパのインド料理店にしてはかなり辛めの味付けであること。

ヨーロッパの伝統料理には辛い料理というのはあまりないので、ヨーロッパで食べるタイ料理やインド料理は、日本で食べるタイ料理やインド料理と比べても、辛さが抑えられていることが多いです。

ところが、DISHOOMの料理はスパイスをふんだんに使った辛めの味付け。筆者がこれまでにヨーロッパで食べた料理のなかで、もっとも辛い料理でした。それだけイギリス人が日ごろから本格的なインド料理を食べ慣れているということなのでしょう。

「DISHOOM」という独自の世界観

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お手洗いがある地下にはオープンキッチンがあり、料理が準備されている様子を見ることができます。調理場を見せられるのも、料理に自信があるからではないでしょうか。

見事な手さばきでインドパンを焼いていたシェフはとってもフレンドリー。「日本からかい?」と声をかけてくれて、写真撮影にも快く応じてくれました。

こんな光景を見ていると、自分が今ロンドンにいるということを忘れてしまいそう……かといって、インドにいるような気がするわけでもなく、あくまでも「DISHOOM」というひとつの独立した世界にいるという感覚なのです。

突き詰めてみれば、単にインテリアがおしゃれというレベルではなく、「DISHOOM」という独自の世界観を確立させたことが、この店の人気の秘密なのでしょう。

ロンドンのインド料理のレベルに脱帽

DISHOOM
ロンドンでは、インド料理はあまりにも身近な存在。今のロンドンが目指しているのは「本格的なインド料理」を通り越して、イギリスの文化をミックスさせることでさらに洗練された「進化形インド料理」なのかもしれません。

正直なところ、筆者は世界で一番おいしい(=日本人好みの)インド料理が食べられるのは東京だと思っていました。

もちろん本国インドにもおいしいレストランはたくさんあるのですが、日本人にとっては油っこく感じられることがしばしばあり、東京のほうが(日本人にとって)当たりはずれが少ないと感じていたのです。

しかし、今回ロンドンでインド料理を食べてみて、その認識を変えなければならないかもしれません。「ロンドンのインド料理が世界一おいしい」かどうかはわかりませんが、世界でもトップクラスのおいしいインド料理が食べられる都市であることは間違いないでしょう。

少なくとも、お店のグレードやインテリアの雰囲気といった、総合的なお店のバリエーションでいえば、東京よりもロンドンに分があるように思います。

DISHOOM Carnaby
22 Kingly St, Carnaby, London W1B 5QB
公式HPはこちら

サービスも素晴らしい

DISHOOMを訪れて、嬉しい驚きだったのがサービスも素晴らしかったこと。丁寧でありながらフレンドリー、適度な距離感と親しみやすさを併せ持った接客は抜群の居心地の良さでした。

筆者は決してDISHOOMの回し者というわけではありませんが、期待以上の味とサービスにすっかりファンになってしまいました。

この記事を書いた人

はるぼぼ

はるぼぼドイツ在住ライター・ブロガー

和歌山出身。東京での会社員時代、旅先の長野で9歳年下のドイツ人夫と出会う。
2015年11月、ドイツ移住を機に、トラベルライター&ブロガーに転向。ドイツを拠点に、各国を飛び回りながら執筆中。特に目がないのが、旧市街など、歴史を感じる街を歩くこと。
これまでの訪問歴は54ヵ国220都市。旅の「ワクワク」をお伝えします。

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