埼玉県飯能市にある能仁寺(のうにんじ)は、西武池袋線飯能駅北口から徒歩20分の、飯能市街地の西端にあります。能仁寺境内のモミジは、奥武蔵の山々の紅葉にも勝るとも劣らない、紅葉狩りスポットとして人気があります。
ユニークな経歴をもつ住職
現在の能仁寺住職は、大学を卒業して報知新聞社運動部に入社しました。
記者として読売巨人軍担当となり、川上哲治氏をはじめ長嶋茂雄氏・王貞治氏らなどと、親交を深めたそうです。
その後報知新聞社を退職し、永平寺に入山したのち、能仁寺の三十一世住職となりました。スポーツに携わった経歴のある住職になってからは、著名なアスリートが住職を慕って参拝するようになり、スポーツ寺として知られるようになりました。
新聞社の記者としてスポーツと関わってきた経歴にピッタリ! マッチョな仁王像です。
紅葉狩りが絶景の能仁寺
山門を入り、石灯籠が続く砂利道では、静寂の中で「サクッサクッ」という歩く人の足音が心地よく響きます。
カメラを持った人が後を絶たない紅葉狩りの人気スポットです。
これまで色んな寺院に参拝していますが、参道に並ぶ石灯籠に見覚えがあります。
風化して文字が読み取り難いですが、やはりこちらも東京芝増上寺から移設されたもののようです。
”通”好み の「竹林とモミジ」
石灯籠を数えてみたところ、22基ありました。横にある竹林が和の雰囲気を盛り上げてくれます。
ついつい、色鮮やかなモミジばかりに目を奪われがちですが、参道の左側にある竹林とモミジを一緒に撮るのが、「能仁寺通」と言われていますよ。
能仁寺を象徴する参道の「モミジ坂」
石灯籠の並ぶ参道を上りきった石段の踊り場です。
鮮やかに赤く移り変わる、多彩なグラデーションのモミジが並んでいます。
カメラを持った人たちがレンズを向けている方向に目を向けると……、能仁寺のモミジ坂を一望する絶景がありました。思わず感動のため息が漏れます。
趣のある「中雀門の塀とモミジ」
石段の踊り場を左手に進むと「中雀門」があります。
境内は清掃が行き届いていることがひと目でわかる、きれいな中雀門の前を通り過ぎて進むと、
不動堂があります。「開運青不動」として、親しまれた不動明王が祀られています。
古都の雰囲気が漂う、趣のある中雀門の塀沿いに、モミジを見上げながら戻り、
中雀門越しに覗くモミジのある光景に、ドキドキしてしまいます。
能仁寺を象徴する「開山堂とモミジ」
中雀門を入ると目に飛び込んでくる光景です。
開山堂の白い壁と、赤いモミジが互いの色を惹きたてており、インパクトを感じます。
開山堂の左横に、境内に併設されている墓地があります。墓地内もいたるところに、モミジが植えられているので、時間があればひと回りしてみるのも、良いかもしれません。
個人的には能仁寺の象徴として加えたい「鐘楼とモミジ」もあります。
無機質な色の鐘や瓦と華やかな色のモミジの組み合わせは、寺社仏閣ならではの紅葉狩りではないでしょうか。
紅葉狩りだけじゃなく、人を惹きつける魅力のある能仁寺
能仁寺の魅力は、紅葉狩りスポットというだけではありません。
住職の報知新聞勤務時代の親交は現在も続いており、読売巨人軍前監督の原辰徳氏や、福岡ソフトバンクホークス会長の王貞治氏などが能仁寺を訪れています。飯能はゴルフ場がたくさんあることでも知られ、プロゴルファーの岡本綾子さんも、訪れているようです。
最近では、住職役の山下智久さん、石原さとみさん、寺田心くんが出演した「私に恋したイケメンすぎるお坊さん」のドラマのロケ地にもなりました。住職の経歴による人脈にとどまらず、人を惹きつける人徳があるように感じます。
南側に高い山や木も無いので、日没まで太陽の光が差し込んでいます。JR池袋駅から、最短70分という手軽さが魅力です。飯能駅からも近いことから、聖地巡礼ファンやハイキングで賑わう能仁寺を、お気に入りの紅葉狩りスポットに加えてみませんか。
編集部注:ご住職は、2016年1月に逝去されたとその後の電話取材にて確認いたしました。ご冥福をお祈りいたします。(2017年9月追記)