パリコレやファッション誌を手がけるパリ在住の写真家に、記念写真を頼めるとしたら?
フランス

フランス在住の日本人は約3万人で、その大半がパリと近郊、だそう。

駐在員やその家族、フランス人と国際結婚をしても日本国籍を選択(日仏どちらかを選ばないといけないので)している人やその子どもたち(22歳でどちらかを選択するまで二重国籍が認められているので)、留学生、アーティストやスポーツ選手、そして、それ以外の専門職を持ち、パリを拠点に仕事を展開している人たち……

今回は、そんな中でも、在パリ生活20数年の日本人写真家・松永学さんをご紹介しますね。

ソクたびソクたび

パリで活躍する日本人たちの先駆者のひとり。でも、普段は黒子に徹している写真家はこんな人。

パリコレなどファッション誌や女性誌で、とくによく知られている写真家・松永学さん。

日本での経歴をそのままに活かしながら、更なる欧州での展開を目指して、拠点を東京からパリに移しての在仏生活も20数年。フランス国内だけでなく、そのフィールドは国境を越えてあちこちにも……欧州経済共同体ならではの守備範囲の広さです。

パリから飛行機に飛び乗れば、1時間半から2時間で、いろんな都市に行けてしまうので。日本国内を東西南北へと同じぐらいの感覚なのかも。

とはいえ、作品はどんどん世に送り出されていても、ご本人は黒子のまま。
以前ご紹介したアーティスト・Mais(マイス)の個展で、久しぶりに(実に8年ぶり)再会できるのがわかった時点で、この記事の提案をしたら快諾。こうして、ご紹介できることになりました。

ただ、とてもシャイなので、写真映りが悪いから撮られるのは苦手というのは本当で、撮るときと撮られるときの表情が全く違うので、ご自身が撮った写真をお借りしました。

パリ・コレの表舞台だけじゃなくバックステージの生き生きした表情や、欧州の街町でのスナップの数々を日本に送ってきました。

先入観なしに、イメージ膨らませながら読んでいただきたいので、プロフィールはこちらで、後ほどどうぞ。
https://www.manabu-matsunaga.com/profile-1/

パリのお住まいは、バスティーユから程近いアパルトマンの最上階。お邪魔して、その見晴らしのよさにびっくり。

そんな街を見下ろすリヴィングの一角が、仕事キャビネ。愛用の機材と、びっしり詰まったファイル棚。扉を挟んで反対側には、編集者でライターの麻衣子さんの大きな机。そう、奥様も日本人。

ミラノコレクションがきっかけという、映画みたいな出会いです。取材のために東京からイタリア入りしていた麻衣子さんと、撮影の仕事でパリから赴いていた学さん。パリと東京との遠距離恋愛の後、彼女も拠点をパリに移すことに。

日本に発信は続けながらも、ライフスタイルはフランス流。子どもを3人持ち、基本的には、料理好きな学さんが腕を振るうそう。出張で不在なことも多いけれど、子ども達は、パパが大好き。そして、子どもを持ったことで、学さんのテーマの守備範囲はさらに広がったんですね。

ずっと写真家であることに変わりはないけれど、パリで暮らすうち、職業『夫』が1つ、『パパ』が3つ、も加わりました。

フランスでは、実によく家族の話をします。

同僚とは、仕事場を出たら付き合わないというのは、職業次第。

私の周りでは、たいてい、ビジネスランチの合間に家族の話は出るものだし、仕事帰りの1杯もありえるし、カップルや家族ぐるみで家に招きあったり、子ども同士の付き合いの中で、いろんな家族とも触れ合うことに。

松永家の場合も、3人の子ども達は、パリで生まれ、フランスの学校に通っているので、子どもを通じて、様々な出身・職業の両親達と接点がどんどん増えてきました。

そんな中でぜひにと依頼されたのが、家族のポートレート写真。

ちなみに、これは数年前の松永家の写真。グリーンサンタという企画のために撮りおろしたもの。すごく評判よかったの、わかりますよね。

そういえば、写真屋さんのスタジオのスクリーンの前で、よそ行きの笑顔も素敵だけれど、普段の暮らしそのままの、大切な一瞬を切り取りにこちらから出掛けて行くのは?……という発想から生まれたのが、ファミリーポートレイト・シリーズ。

そして、子ども部屋の写真。

フランスでは、子ども部屋はとても個性的に設える家庭が多いんですが、小学校入学、中学進学、高校……などを機に、がらりと雰囲気を変えてしまうのも特徴です。だから、部屋は大切な思い出の詰まった成長記録。

たとえば、こんな感じなんです。Manabu Matsunagaのパリの子ども部屋シリーズ。

そうして、それを見た人たちから、堰を切ったようにリクエストされ始めたのが家族や子ども、そして、日々の切り取りのような思い出のポートレイトや記念写真。それで、Manabu Matsunagaの移動写真館も始めました。

滞在日程のタイミングさえ合えば、ポートレイトも引き受けてくださいます。フランスでは、結婚式の前に写真を撮ってアルバムを作る習慣もあって、名所旧跡でカップルの撮影風景をよく見かけるんです。

街自体が博物館か映画のセットみたいなパリなので、確かに、写真館での記念撮影よりずっと生き生きした表情で、個性豊かな1枚になりますよね。

そして、ライフワークの『旅の写真集』。生活拠点がパリだからこそ、英語・フランス語で見るからこその距離感と視点。

ところで、話す言語によって見えてくる景色が違う、って聞いたことありませんか?

ライフワークの旅の写真集も、日仏英語を話す写真家ならではの視点で撮り溜められてきているもので、雑誌やメディアへとはまた別のスタイルでの深みのある作品ばかり。

そして、こちらは、Manabu MatsunagaのCarnets d’Image(12ヶ月・毎月1冊パリの出版社から)

シャンゼリゼ大通りのルイ・ヴィトン本店の書籍コーナーにも並んでいます。

松永学 オフィシャルサイトはこちら

国籍って?

先日のMais(マイス)さんの記事の時にも書きましたが、アートに国境はない!と思っています。

いろいろな国の様々な芸術家の作品が、個人所有になったり戦禍を経て、別の国の人の手や美術館に渡っている例も随分ありますよね。最近では、日本人の所有だったモネの絵が第二次世界大戦で海を越えてしまってしまっていたのが、ようやく日本に戻ったばかりというニュースをみたばかり。

アートや作品は、国籍を越えた存在。言葉は要らない……不思議ですね。

この記事を書いた人

ボッティ喜美子

ボッティ喜美子仏日通訳翻訳・ジャーナリスト

フランス在住。東京で長らく広告・PR業に携わり、1998年に渡仏。パリとニースで暮らした後、2000年からパリジャンの夫の転勤で南米ブエノスアイレスへ3年、出産も現地で。パリに戻り、地中海の街マルセイユへ転勤して13年。南仏拠点で時々パリの実家へ、家庭優先で仕事しています。Framatech社主催の仏ビジネスマン対象のセミナー『日本人と仕事をするには?』講師は10年目(年2回)。英語・スペイン語も少々。

チャンネル

チャンネルをもっと見る