モン・サン・ミッシェルは「湾の裏側」も見てほしい。地元フランス人の過ごし方とは。
フランス

10数年ぶりle Mont Saint Michel (モン・サン・ミッシェル)に行ってきました。フランス人の夫にとっても、その両親にとっても(どうやら前回は夫の子ども時代だったそうなので)、数十年ぶり。そして、14才の息子にとっては、初めて。

フランス暮らしをしているのに意外!と思われる方、多いでしょうね。

でも、案外、フランス人のリピーターって、まず聞かないんです。よく耳にするパターンは、子どもの頃に家族で、そしてカップルで、また家族を持って再訪、という程度。

夫も(私も)これが2度目。ノルマンディーでひと月過ごしたこともあるんですが、夏はいつも混んでいるはずだからと行かずじまい。そのうち、大掛かりな工事が始まって、機会を逃したままでした。

世界遺産Mont Saint-Michel(モン・サン・ミッシェル)って?


こちらが、正面からの写真。夏の午前9時半頃、人もまだ少なく、干潟もこの通り。

中央天辺に聳え立つ塔は修道院のもので、その入り口は、門を入った塀の中すぐに広がっている石畳の坂道、そして、その先にうねうねと続くごつごつしたままの石の階段をひたすら上って行った先にあります。

中にはとても広くて、様々な時代を経る中で、いくつもの様式で継ぎ足すように創り上げられ、中世には要塞として、その後は牢獄として使われていた時代もあったといいます。

でも、こんな素敵な空間も広がっているんですよ。

パリから東に300km程度。英国と海峡を隔てるノルマンディー地方の南部、隣接するブルターニュ地方との境界に近いサン・マロ湾に、浮かぶように存在する小島。

小島ーーという表現になるのは、時間によっては、この干潟部分に一気に水嵩が増すせいで、ぽっかり浮かぶように取り残されてしまうことから。その潮の満ち引きの強さは欧州最大といわれる荒々しさで、昔々は巡礼者がずいぶん命を落としたといいます。

フランスの世界遺産の中で1番の人気で、世界中から訪れる観光客で午前11時には人でいっぱいになるとノルマンディーの観光案内所の人が教えてくれたので、朝イチで出掛けたわけです。

修道院の中に入って、見晴らしのいいところにたどり着いたのは午前10時ごろ。修道院から眺めるとこんな感じです。

写真の橋にも門の近くにも、人はまだまばらでしょう? ここまで上がってくるのにも、すいすい。チケットを買う時だけ、10数分並びました。

2014年に新たに創り直されたこの木製の橋は幅11m、長さは760m。Navettes (無料シャトルバス)もla Maringote(幌馬車:有料)も、少し手前で停められてるの、見えますか?

どちらも、その先、数キロ離れた広い(というよりは広大な)駐車スペースから往復しています。所要時間12分。

自転車で来ている人もそこそこ見かけて、どうするのかと思えば、この通り。手馴れた様子でささっと留めると、干潟に入っていきました。

モン・サン・ミッシェルのリピーターはむしろフットワークいい外国人たち。


さて、これが10時半頃。まだ、修道院の中ほどを見学しているところ。本当に広くて、角を曲がるごと、階段を上り下りするごとに、違う雰囲気。でも、のびのびとした気持ちでいられるのは、この見晴らしのいい光景があるから。

下に目をやると、じわじわと満ちてきています。砂の中からしみ出て沸いてきているようなイメージ。のんびりしていたら、グループの観光客がガイドさんの案内を受けながらどんどん進んできました。英語・イタリア語・スペイン語……そう、ほとんど外国人なんです。

世界遺産のモン・サンミッシェル、パリから日帰り出来ることでも知られていますよね。だから、各国オプショナルツアーもあるし、パリ発のバスツアーも。せっかくフランスに来たからには、の価値ある企画。

でも、フランスに住んでいる家族連れにとっては、1日だけというのは、ちょっともったいない贅沢。泊りがけで行く人が案外目立ちます。

そもそも、パリに行ったことのないまま人生を終える人もずいぶんいるくらい、ライフスタイルもそれぞれ極端に違うフランス人たち。モン・サン・ミッシェルに行くより、スペインやイタリアやドイツといった隣国の方が近く感じるひともいれば、旅自体嫌いというひとも(たまに)います。

そして、北フランス暮らしで、何度も遠くからは眺めるのを愉しんでいるけれど、実際に足を運んで修道院を見学したり散策したことはないままという人が、案外少なくないこと。いつでも行ける距離だから空いている時にと延ばし延ばしだったり。

でも、行ったことがあってもなくても、誰もがその姿を知っていて、実際に目にするとなんともいえない感動を得る存在。お天気がよくても悪くても、見える場所を通る時には楽しみな……そう、ちょっと富士山みたいな存在なんです。

1週間、モン・サン・ミッシェルと過ごしてきました。

有給5週間のフランス人たちのヴァカンスの過ごし方は、倹約にも気配りたっぷりと書きましたが、せっかく時間も高速やガソリン代もかけて出かけるなら、とことん愉しむ!ことが優先事項。

パリの夫の実家で過ごしているタイミングで出掛けることにしたので、彼の両親も誘ったところ、「地方名産や郷土料理も堪能するなら1泊ぐらいしないとね。」「島の中? 島の外?」という話になって、「せっかくだから、ブルターニュの美味しいものも堪能しないとね」

ええ それで、この夏は1週間、ノルマンディーの貸家を借りることに。

まずは、「何をしたい! 食べたい!」。そして、モン・サン・ミッシェルが毎日見られることで、滞在場所選びを。(観光局サイトから検索も出来ます

家族連れならホテルより貸家、というのはヴァカンスの話でも書いた通りで、定員6人の貸家(たとえば、寝室もバスルームも独立で3つずつ)の1週間の滞在費が、同じようなつくりのホテル1室分と同じだったりするフランス。家族同士以外での利用が多いのも、そのせいです。

ハンドルを握ればどこまでも何時間でも苦にならないらしいフランス人たち。でも、”無駄遣い”はしない(し、目いっぱいヴァカンスを愉しむ)んです。

どこまででも、何時間でも運転して行くのがフランス人のヴァカンスの特長で、隣国どころかそのまた先まで行ってしまうのがアタリマエなはずなのに、日帰りでの長時間運転はしない人が多いのは、高速道路の制限速度も高いし、危ない運転の人が多いせいもあるかも。

そういえば、長距離バスの運転は、2時間ごとに休憩するだけでなく、ドライバーもその都度交代するのが法律での決まりなんです。

さて、実は、あまり知られていない絶景ポイントがいくつも。

モン・サン・ミッシェルは、『サン・マロ湾に、浮かぶように存在する小島』と最初に書いたように、つまり、取り囲むように陸地がつづくわけで……幹線沿いに(ところどころは木々や建物で途切れてしまうものの)ずーっと遠目に眺めながら車を走らせていくことも出来るんです。

正面にずーっと近づいてきたかと思うと、隠れて今度はしばらくして右の水上に、という感じ。ノルマンディー地方の南とブルターニュ地方は隣接していて、この2つを結ぶ幹線を車で移動していると、モン・サン・ミッシェルが見えたり隠れたりするんです。

たとえば、入り江沿いに車を走らせていくと、干潟が美しい絶景ポイントの崖も。無料であちこちに置かれているような折りたたみ式の観光地図にも、主な2ヶ所が載っているんですが、これは、その大きいほう。

入り江を完全に反対側に廻った場所です。といっても、目印は……ご覧の通り、まったくないんです。

ひたすら続く牧草地帯、のどかに草を食む牛たち。それはそれで素敵な風景ですけど、やはり、見たいのはモン・サン・ミッシェル! でも、尋ねられる相手は牛か馬たちだけ……と、車が数台とまっている一角が。

スカートにサンダルでしたが、眺めたい一心で、ひと気のない岩場から降りてみました。このあたりは安全とはいえ、地面はぐにゃぐにゃしています。でも、その甲斐ある絶景!をご一緒にどうぞ。

この写真は午後3時半過ぎ。午前中は、もっとうんと干潟になっているので、水面がちょうどキラキラしてくれそうな時間帯を狙って来ました。

実は干潟を歩けるんです。でも、専門のガイドつき!が条件。

ノルマンディーの知人に勧められたのは7kmの徒歩でのツアー。そういえば、フランス人のヴァカンスといえば、徒歩での散策は定番。私たちが聞いた、徒歩でモン・サン・ミッシェルまで渡っていくというそのツアーは、この少し先、写真左側の方から出ているそう。

でも、干潟は危険と隣り合わせ。インディ・ジョーンズに出てくる底なしの砂沼ではないけれど、ずぶずぶと足を取られていってしまうと聞きます。だから、専門のガイドの案内がないと、とても危険。富士山みたいな存在と感じているのは、こんな風に自然と対峙しているところ、も。

現代では、満ち干の時間も速度もわかっているとはいえ、満ち潮はかなりのスピードなんです。(映像で見ただけですけど、かなりの迫力です)。興味のある方は、こちらのサイトも参考になります。日程一覧は、こちら

Mont Saint-Michel(モン・サン・ミッシェル)
公式HPはこちら

富士焼きそばみたいな存在? 名物オムレツ。

ところで、モン・サン・ミッシェルの門を入ってすぐ先のLa Mère Poulardラ・メール・プラール。赤い窓飾りとロゴに、見覚えある方もきっと多いですよね。あちこちのスーパーでも見かけるようになっているビスケットは、どんどん種類も増えて、北西フランスの大きな町にはお菓子の専門ブティックもあります。

モン・サン・ミッシェル名物の巨大オムレツは、もともとは、このホテルの発祥。ふわふわで美味しい逸品と絶賛のコメントを見かける一方で酷評する人も同じぐらい。

ツアーに含まれていることも多いらしく、いつも満員なようですね。私も家族も試したことはないので、お味については知りませんが、こんな風景が通りからそのまま眺められるようにしてくれているのが嬉しいですよね。
富士焼きそばみたいな存在? 名物オムレツ。

この記事を書いた人

ボッティ喜美子

ボッティ喜美子仏日通訳翻訳・ジャーナリスト

フランス在住。東京で長らく広告・PR業に携わり、1998年に渡仏。パリとニースで暮らした後、2000年からパリジャンの夫の転勤で南米ブエノスアイレスへ3年、出産も現地で。パリに戻り、地中海の街マルセイユへ転勤して13年。南仏拠点で時々パリの実家へ、家庭優先で仕事しています。Framatech社主催の仏ビジネスマン対象のセミナー『日本人と仕事をするには?』講師は10年目(年2回)。英語・スペイン語も少々。

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