マンガやアニメで大人気の陰陽師といえば安倍晴明ですね。その晴明を祀った京都の晴明神社は聖地としても有名ですが、実は東京都内にも晴明ゆかりの神社があるのをご存知ですか?
そのむかし晴明が熊野大神を勧請して建立されたのが、下町・葛飾区にある五方山熊野神社です。陰陽師ゆかりの神社ということもあって、境内の形が特徴的。・・・と言うわけで今回は、本来なら注目度大の五方山熊野神社をご紹介します!
なぜ晴明が葛飾に!?

寅さんで有名な柴又にもほど近い東京都葛飾区の青砥駅から、川沿いを歩くこと約10分。子供達の賑やかな声が聞えたら、そこはお目当てのパワースポット。幼稚園が隣接する五方山熊野神社は、1000年以上の歴史を持つ都内でも由緒ある神社です。
ご由緒
時は平安時代―当時天皇から絶大な信頼を得ていた陰陽師・安倍晴明が、東方行脚の際、水害で悩むこの地で結界張りを行ったのが、神社の起源と言われています。
また安倍晴明の晩年は、ちょうど熊野三山信仰がブームで天皇家も相次いで参拝に訪れた時期と重なります。晴明自身も、時の上皇と共に那智熊野で滝行と山ごもりの修行を行ったそうです。そんな背景から晴明がこの地で熊野神社を創建したのも納得がいく話ですね。

ご祭神とご利益
・伊邪那岐大神(イザナギノオオカミ:家内安全・縁結び
・速玉男大神(ハヤタマノオオカミ):厄除け
・事解雄大神(コトサカオノオオカミ):病気平癒
上から見たら境内の形が「五角形」!? その理由は?

安倍晴明が熊野神社を勧請して誕生した五方山熊野神社ですが、なぜ社名に「五方山」とあるのか気になるところですよね。それは晴明がこの地に張った結界の形に由来します。
陰陽五行説(木火土金水)を基にした五芒星(正五角形)の結界が、そのまま熊野神社の境内の形として残されているのです。
地上からはあまりピンとこないかもしれませんが、地図アプリや航空写真を見ると一目瞭然。一切のゆがみのない正五角形だとわかります。
五方山熊野神社へ訪れたら、1000年以上続く晴明による結界の中に身を置けるのですから、ファンにはたまりません。それだけで厄除けと開運ができてしまうのでは!?
ご神木―境内のエネルギー強力スポット

それではここからは境内をご案内しましょう。参道の一の鳥居から神門に入り、手水舎でお清めを済ませて正面の御社殿へ。

境内の中心に位置する社殿付近は、霊験あらたかな雰囲気。というのも、両脇には樹齢370年のご神木が守護神のようにそびえ立っており、このご神木が醸し出す空気がなんとも清らかで心地よいのです。

さらに向かって右側のご神木付近には摂社末社のお社が鎮座しており、聖域のような厳かなオーラに包まれています。

香取社・稲荷社・水神社の三社は小さな祠ですが、筆者は個人的にこの辺りが境内で一番神聖なエネルギーを強く感じました。

学問の神様こと、菅原道真を祀った天満宮は1980年の社殿造営と比較的新しいのですが、東京の天神様として名高い亀戸天満宮から勧請された由緒正しいお社です。

少し小高い石の山を登ったところにある浅間社は、言わずと知れた富士山の神様。安産と健脚のご利益を授けてくださる木花開耶姫命(コノハナサクヤヒメノミコト)が祀られています。
下町の穴場パワースポット

現在でも多方面で大人気の安倍晴明ですが、東京の下町エリアに今もゆかりの地が残っているのが感動的です。しかしなぜか知名度はさほど高くないのがちょっと残念なところ・・・もちろん一概に有名になれば良いというわけではありませんが、五方山熊野神社は安倍晴明が築いた結界を今でも守り続けていること。そして幼稚園や子供の遊び場として地域に開かれた明るいエネルギーを持った神社でもあることから、パワースポットとしてさらに評価されても良いはず。
折しも筆者の参拝時はお祭りが開催中で、地域の子供も大人も晴明の結界の中で楽しそうに過ごしていたのが印象的でした。下町に鎮座する安倍晴明の聖地へ、あなたも足を運んでみませんか?
東京都葛飾区立石8丁目44-31