フランスのサンタさんは、いい子には何個もいっぱいプレゼントを持ってきてくれる。
フランス

サンタクロース、いつまで信じていたか覚えていますか?

フランスでは、ずいぶん大きくなるまで信じている子が目立つんですが、小学校の高学年までには、さすがにほぼ全員が”真実”を知ります。でも、たまに、中学生になっても信じているという子もいて、クリスマスを家族(親族)で過ごす習慣の家庭が多い国ならでは。

今回はそんな、フランスの子供達をとりまくクリスマス事情をお伝えします。

サンタクロースは、宗教を越えて愛されている存在。

モチロン、宗教によってはクリスマスは祝わないで、ふだん通りに過ごすわけですが、サンタクロース(からのプレゼント)はやっぱり存在しています。子どもたちのために。

フランスの公立の教育機関では、宗教を持ち込んではいけないという法律があるんですが、幼稚園では、クリスマスやカーニヴァルのイヴェントをするところはとても多くて、宗教を越えて楽しんでいます。

たとえば、イスラム教の人はこの行事に反目しているように言われてもいますが、私の知っている限りでは、フランスで暮らすことを選んでいるのに、この行事を嫌悪までしているような人にはまず出会っていません。

写真は、ある公立の幼稚園での工作。信仰している宗教はさまざまな園児1人1人が描いて貼ったサンタさんの作品。廊下に飾っています。

そして、12月半ばのバザーでは、園児たちが作ったクリスマスカードも販売されて、園の収益金として、新たな備品の購入に充てられたりしています。クリスマス自体はカトリックの行事とはいえ、そうした宗教色は出さずに、雪だるまだったりもみの木だったり……

厳密には、もみの木(クリスマスツリー)は宗教的意味合いを持つんですけど、この頃では、子ども達のためにクリスマスツリーやネオン飾りをする風潮もある(し、自分もそうしている)と笑う異教徒の友人もいます。食卓に並ぶものこそ違うけれど、子どもたちにとってはやっぱり大切な日、だそう。

だから、モチロン、Pere Noel (ペール・ノエル)”サンタさん”を信じている子ども達のために、いくつもプレゼントを用意するわけです。

え? いくつも? -ええ、”いくつも“なんです。フランスの場合。

サンタさんは、『いい子』にはいっぱいプレゼントをくれる(らしい)。


子育てで楽しみなのは、子どもの成長。とくに、意思疎通ができるようになると、吸い取り紙のように、ひとつひとつの言葉をきっちり受け止めている様子がわかります。だから、ちょうど2歳ぐらいになると話して言い聞かせて、が始まるわけですよね。

七夕の短冊でもなんでも、お願い事はひとり1個……と(習ったわけでもないですが)刷り込まれていた私にとって、気絶しそうになった習慣が、『サンタさんにお願いできるプレゼントの数は無制限』ということ。

サンタさんに「持ってきてください」とお願いできるのはひとつだけ、を基本に、あれもこれも全部とはいかないと「我慢させること」を教え、「ひとつだけ」選ばせる機会をこつこつと重ねはじめたその年の暮れ……

子どもとおもちゃ屋さんにただ見に行くこと数回。やっとひとつ選ばせたのを夫に見せたら、「で、あとは何? これひとつしか選んでないの?」

そうして初めて知ったのが、「いい子のところには、サンタさんはいっぱい抱えきれないほどのプレゼントを持ってきてくれる!」らしいこと。つまり、プレゼントひとつしかもらえない子は、いい子じゃなかったってことになってしまうわけです。

サンタさんからのビデオレターを手配……

カトリックの多いフランスでは、クリスマスはとても大事な行事、イヴのディナーは家族・親族の集まる大切な時間です。家庭によって個性はあるけれど、基本は同じ。ご馳走のテーブルを囲んで、のんびり。一方で、子どもたちは、そわそわ。

昔ながらの言い伝えでは、プレゼントは暖炉の煙突から届くことになっていますが、今はない住まいも多いし、あっても塞いでしまっていたり。

なのでツリーの足元に届くことが一般的になっているので、子どもたちは、サンタさんあてのお礼の手紙や温かい飲み物やビスケットを用意して、自分の部屋へ行きます。翌朝を楽しみに……

子どもたちが何を欲しがっているのかを訊き出すのは、両親、または(もうサンタクロースの秘密を知っている)年長の兄弟の仕事。

何気なく教えてくれる子もいれば、「それは、サンタさんと自分だけの秘密」だとか「サンタさんは言わなくてもわかってくれる」という子もいるのが少々困るところ。でも、今の世の中、とても便利なのは、子どもたちが生まれながらにしてネット社会にいること。

サンタさんあてのメールを送れるサイトや、子どもの名前や写真入りのサンタさんからのメッセージビデオレター(サンタクロースがその子の名前で話しかけてくれます)で、「いい子にしてたらもっていくからね」と欲しいものの確認をしてくれたりする無料サービス(携帯電話会社の提供)もあるんです。

そして、サンタさんは、自宅以外にもプレゼントを届けておいてくれる(らしい)。

その上、サンタさんは、おじいちゃんやおばあちゃん、親戚のおじさん・おばさんのところにも届けてくれたりもするので、クリスマスの朝には、「うちにも届いているよ」の知らせを楽しみにしている子も少なくありません。

初めての子どもや孫だったりすると、子どもを喜ばせようという意気込みはなかなかのもので、我が家の場合も、親族初の孫誕生ということで、それぞれが同じ気持ち。

贈ったものによって反応が違って不公平感を生まないようにと、どれも同じぐらい子どもが喜ぶものをリストにしないといけないわけです。それがリスト・ド・ノエル(クリスマスプレゼントのリスト)。

予算もそれぞれ。ものによっては、12月早々には買っておかないと売切れてしまうことも多いので11月中にはリストにしなければならず、1年で1番大変な仕事でした。

だから、息子に「サンタさんって、ママだったんでしょう?」と言われた日は、青空見上げ直したほど。えも言われぬ開放感!だったんです(大げさでなく)。

リストにした後も大変で、子どものおもちゃやユニフォーム類は、似たようなものがいくつもあるし、ブティックによっては在庫が違うので、パリのどの店で売っているのかも確認して、取り置きしてもらうよう頼んでから買いに行くわけです。

それでも、手違いがあったりするのがフランス。もう、クリスマスが近くなると、大事なイヴェントを抱えているような心境でした。しかも、スポンサーが複数の。

「どうして、ネット注文して配送にしないの?」と、思うでしょう? ……フランスでは遅延・紛失が、恐ろしく日常的なんです。だから、大事なことは自分の足で。……これは、いつかまた改めて。

さて、そんなわけで、誰もが一番喜ばせたいのは同じ。……というわけで、親の私たちが一番いいところをいただきます。自宅に届くものが、一番欲しがっていたもの! これぐらいの役得はしないと。


クリスマスの朝、7時。

そして、親戚周りが始まります。日本のお年始みたいですよね。親族の家にも、この通り。ツリーの下に、”今年1年「いい子」だった親戚の子ども達に渡して”と、それぞれの宛名つきのサンタさんからの贈り物が……

でも、本当は、「もしかしたらいないかも」とずいぶん前から思っている(らしい)。

実は、やっぱり、全く疑念を持たないわけではないようです。それは、そうですよね。大きい兄弟のいる家では、上の子が小さい子達に口を滑らせてしまうこともあるし、それを、今度は自分の友達に話したり。

でも、多くの家庭では、自分の子どもが知った(知らせた)時には、「友達には黙っておくのよ」と約束するようにしているので、案外、子ども同士で「まだ信じてるなんて!」という展開にはならないようですね。

面白かったのは、小学校3年生の時、男子4人が家で遊びながら、「今度のクリスマス、サンタクロースに何頼んだ?」「僕は、これとこれと……」という話を始めたんですが、1人、大きいお兄ちゃんのいる子が、「お前ら、馬鹿だなぁ。あれは、親が置いてるんだよ。俺、見たもん」と。

一瞬の沈黙。そして、次の瞬間残りの3人が、「お前、かわいそうだなぁ。お前はいい子じゃなくて、サンタクロースが来ないから、親が気を遣ってくれてるんだよ、きっと」

大きくなって、その子どもたちにも訊いてみたら、『気づいていたけれど、知らないふりをしておいたほうが、自分の欲しいものをいっぱいもらえるって思ったから』と、とぼけたままで”サンタさんへのお願いリスト”を作っていた子。

『もしかしたら、本当にいるけど、自分が信じないといった瞬間に消えてしまう存在かも』と、なんともロマンチックなことを考えてそうしていたという子たちも(あくまでも、私の周りでの聞き取り調査ですけど)。

信じている子も、もうわかっている子も、やっぱり、皆、サンタさんが大好き。どうしてなんでしょうね。

映画『サンタクロース』で感動した思い出

息子が小さいころ、『サンタクロース』という映画を、ここフランスで観ました。

一番素敵だったシーンは、クリスマスイヴの夜にサンタクロースたちが地球をぐるりと回っていく様子。時差を利用しているので、同時に夜中に行けるというのがなんともつじつまがあっていて面白かったのと、各国ごとに、家への入り方、プレゼントのおき場所が異なっているのが、とてもリアルで印象的でした。

米国製作の映画なので、プレゼントは、どの国の子も1つだけ。日本では、そーっと枕元に置いていました。少し、サンタさんの存在に疑念を抱き始めていた息子だったんですが、「やっぱり本当だね! ちゃんと日本では枕元だったもん」

……いつかまた観たい作品です。

この記事を書いた人

ボッティ喜美子

ボッティ喜美子仏日通訳翻訳・ジャーナリスト

フランス在住。東京で長らく広告・PR業に携わり、1998年に渡仏。パリとニースで暮らした後、2000年からパリジャンの夫の転勤で南米ブエノスアイレスへ3年、出産も現地で。パリに戻り、地中海の街マルセイユへ転勤して13年。南仏拠点で時々パリの実家へ、家庭優先で仕事しています。Framatech社主催の仏ビジネスマン対象のセミナー『日本人と仕事をするには?』講師は10年目(年2回)。英語・スペイン語も少々。

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