フォークロアとロック&ヒッピーのミクスチャースタイルが人気のANNA SUI。驚いたことに、ロンドンでは直営店舗の展開がありません。
そんなロンドンではちょっとレアなANNA SUIのエキシビションが期間限定で開催されました。その舞台は、若いクリエイター達が集まるロンドンのアートスポットBermondsey StreetにあるFashion and Textile Museum!
イギリス初開催、アートとファッションの街ロンドンを魅了したANNA SUIの世界をレポートします。
100点以上の展示で魅せるアナスイワールド
このエキシビジョンでは、彼女の尽きることのないユニークなアイディアが一体どこから来るのか、そのインスピレーションの源を、初期のデザインから最新スタイルまでの展示を通してつぶさに知ることができます。
FAIRY TALE
ANNA SUIの描くフェアリーテイルは、決して甘いだけの夢の世界ではありません。彼女にとって光と影は常に一緒。
どこかダークな面影を感じさせるからこそ、魅力的なお伽噺は生まれるのかもしれません。お姫様、海賊、妖精、そして魔法にかかった動物達。とけない魔法を身に纏って出かけましょう。
NOMAD
頭の中でなら世界の果てまでだって旅できそう。世界中のカルチャーからインスピレーションを得たANNA SUIが特に注目したのがノマドスタイル。
歴史的・地理的特徴を損なわず、彼女自身のイマジネーションと融合させたこのスタイルは、どこまでも自由で、今すぐにでもトランク片手に旅へ出たくなるものばかり!
VICTORIAN
10代のANNA SUIが熱中した、ヴィクトリア時代のイギリスで活躍したイラストレーターAubrey Beardsley。
サロメの挿絵で有名なBeardsleyを始め、ヴィクトリア時代の耽美主義的なアールヌーボーの世界観はANNA SUIの作風に大きな影響を与えました。
退廃的で、官能的で、装飾的なこの時代のアート特性は、見事に彼女の中で昇華されて、グラマラスなANNA SUIの世界を構築しています。
MOD
1960年代に流行したモッズスタイルの発祥はロンドン。ANNA SUIは、この反抗的とも言えるストリートスタイルとハイファッションとを絶妙な加減でミックスさせています。
PUNK
モッズスタイルに続き、音楽的要素を取り入れたパンクスタイルもお手の物。
GRUNGE
ギターの歪んだ音を体現したようなグランジスタイル。アメリカで生まれ育ったANNA SUIのファッションは、音楽とは切っても切れない関係です。
ANDROGYNY
ANNA SUIのコレクションの特徴の1つである両性具有性。音楽で言えばNirvanaのような性別の不明化は、彼女が生み出すファッションにミステリアスな魅力を与えています。
AMERICANA
最も重要なルーツの1つ、それは彼女がアメリカ生まれのデザイナーである、ということです。
カウボーイ、ネイティブアメリカン、パイオニアといったアメリカンストーリーやポップカルチャーを再構成したANNA SUIの世界は、まるでカラフルで前向きなパワーに溢れたアメリカンドリームそのもの。
SCHOOL GIRL
特にアジアのファンに人気のスクールガールコレクション。
SURFER
1960年代のビーチムービーから着想を得たビーチコレクション。今回の展示では、こうしたアートワークも一挙に見ることができ、ANNA SUIの世界により深く触れることができます。
ROCKSTAR & HIPPIE
ANNA SUIのファッションは、いつもロックンロールの情熱をベースにしています。
RETRO
初期の頃から、ANNA SUIのアイディアには歴史的なファッションへのインスパイアを見ることができます。
詳細なリサーチに基づき彼女が生み出すファッションは、歴史を反映していながらも最新のスタイリングを兼ね備えているのです。
まとめ
常に斬新でありながらも芯のぶれないデザインの源は、純粋な好奇心とその徹底した調査に基づいていたんですね。ファッションの枠にとどまらない、カルチャーやアート、ミュージックとの親和性の高さはまさに唯一無二。
豊かな感受性を大切にしながらも、歴史や文化への深い愛情と尊敬を忘れないリサーチがあるからこそ、ANNA SUIの紡ぎ出す世界はこんなにも多くの人々に愛され続けているのでしょう。