大ヒット映画「ナイトミュージアム エジプト王の秘密」の舞台となった大英博物館をはじめ、ロンドン市内の多くの博物館や美術館では、「フライデーナイト」を開催しています。
膨大なアートコレクションを所蔵する、The National Gallery(ナショナル・ギャラリー)ももちろんリアルナイトミュージアム開館中! 金曜日の夜は、21時までたっぷりとギャラリーを堪能できちゃうんです。
夜の美術館という響きだけでもわくわくしてしまいますが、フライデーナイトに付随して様々なイベントやワークショップも開催されます。そんなスペシャルなフライデーイベントの中から、予約なし・参加費無料で気軽に楽しめるアートワークショップをご紹介します。
Talk and draw
無料ワークショップ”Talk and draw”は、ギャラリーに展示してある絵画1点に対し、前半がレクチャー、後半がワークショップという構成の約1時間の大人向けのアート体験です。
対象となる絵画は都度変わるので、何回参加しても楽しめますよ。また、ワークショップの内容は、「絵を描く」ことを基本としてこれもその都度変わります。
例えば、全体のバランスを掴んで素早くスケッチする技法だったり、逆に細部に特化して抽出する技法だったり、遠近法についてだったり、光と影についてだったり……。
描かれた当時の技法に触れることができるので、いつもとちょっと違う視点で絵を描く楽しみを見つけられるはず。
知識不要!手ぶらでOK
ワークショップに必要なマテリアルは全て支給されるので、手ぶらで参加OKです。また、絵に関する知識や特別な技術ももちろん不要です。
参加されている方の中には、たまにびっくりするくらい絵心のある方もいらっしゃいますが……結構みんな好き勝手に描いてる感じです。
描いている間は、アートスタッフがたまにアドバイスをくれたりもしますが、あれこれ批評に晒されることはないのでご安心を。そもそもアートは自由! 画用紙にグリグリと線を描くのは、なかなか良いストレス発散になりますよ。
《An Experiment on a Bird in the Air Pump(1768)》
光と影の対比を克明に描き出すキアロスクーロ(明暗法)で有名なイングランド画家Joseph Wright’of Derby’(編集部注:ジョセフ・ライト。ライト・オブ・ダービーと称される)の作品をテーマにした回。
画用紙を真っ黒に塗り潰して、そこから白色のチョークで光を描き出すという技法を教わっているところです。
全体的に重厚な雰囲気が漂う作品ですが、実は画面左側の若い男女は幸せなカップルで、よく見ると女性の胸元にはハートマークが……。
この2人は、同じWright作の「Mr and Mrs Thomas Coltman」にも描かれています。ぜひ現地で探してみてくださいね!
《An Allegory with Venus and Cupid(about 1545)》
ヴィーナスとキューピッド、そして時の番人であるタイムを中心に、たくさんの人物が登場するBronzino(ブロンズィーノ)の代表作。
緻密な美しさが魅力の作品ですが、ワークショップでは、細かい描き込みはせずに、アウトラインを取りながら全体のバランスを整える練習として、3種類の技法を実践しているところです。
3分で全要素を描写しよう!といったタイムアタックもありつつ……ちょっとだけスパルタな回でした。
《Psyche showing her Sisters her Gifts from Cupid(1753)》
色使いが特徴的なフランスの画家Jean-Honoré Fragonard(ジャン・オノレ・フラゴナール)の作品。
白い紙が使用されなかった時代の絵画を再現してみよう!ということで、茶色い画用紙に黒・赤茶・白のチョークで細部を抽出して描く技法をレクチャー中です。
ちなみに、この日は前列に非常に絵心溢れる学生さんが居て、アートスタッフが持っているのは、実は彼女が描いたスケッチだったりします。
先着40名限定!15分前集合がベター
参加するには、まずThe National Galleryのホームページで、Creative sessionsページをチェック。ここで、イベントの開催場所と時間が告知されます。チケット制のイベントを除き、無料イベントのほとんどは先着順。
“Talk and draw”は13時〜14時に開催されることが多いので、ミュージアムカフェでランチをした後に向かいましょう。40名限定の人気イベントですが、15分前集合で十分間に合います。
金曜日の午後は、ぜひアートにどっぷり浸かってみてくださいね。
(→こっそり答え合わせ……上の絵が「Mr and Mrs Thomas Coltman(about 1770-2,Wright)」ですよ。)