異色のコラボ「スパゲッティアイス」は美味しいのか、誕生の地で食べてみた
ドイツ

スパゲッティアイス

老若男女、アイスクリーム好きが多いドイツ。そんなドイツの隠れた名物スイーツが「スパゲッティアイス」です。

スパゲッティとアイス……? なにやら奇妙な組み合わせに、その名を初めて聞いた人は決まってそれがどのようなものなのか困惑します。

果たしてお味はいかに。スパゲッティアイス誕生の地、ドイツのマンハイムで「元祖・スパゲッティアイス」に挑戦してみました。

ソクたびソクたび

スパゲッティアイスってなに?

「スパゲッティアイス」とは、スパゲッティ・ボロネーゼ(日本風にいえばスパゲッティ・ミートソース)に見立てたアイスクリームのこと。

スパゲッティのように細長く絞り出したバニラアイスの上に、ミートソースに見立てたイチゴソースをかけ、最後にパルメザンチーズをイメージしたホワイトチョコレート(ココナッツの場合も)をふりかけたら出来上がり。

アイスの中にはたっぷりと生クリームが入っています。見た目にもインパクト大のこのアイス、ドイツを訪れるなら一度は挑戦してみてはいかがでしょう。

スパゲッティアイス誕生の地、マンハイム「アイス・フォンタネッラ」

スパゲッティアイス
スパゲッティアイスが生まれたのは、南西ドイツの大学都市・マンハイムにある「アイス・フォンタネッラ(Eis Fontanella)」。イタリア出身のフォンタネッラ家が経営する、その歴史を100年以上前にさかのぼる老舗カフェです。

ドイツには「アイスカフェ」と呼ばれる、アイスクリームやパフェなどのアイスを使ったスイーツを専門にするカフェがいたるところにあります。

現在ではドイツ各地のアイスカフェで食べられるようになったスパゲッティアイスですが、その誕生の地はほかでもない、ここアイス・フォンタネッラなのです。

アイス・フォンタネッラは「元祖・スパゲッティアイスの店」というだけでなく、ドイツにあるカフェのなかで最もアイスの種類が多いことでも有名。なんと常時300種類ものアイスが揃っているというから驚きです。

そんな有名店だけあって、もう冬の足音が聞こえる9月下旬、しかも午前11時という中途半端な時間にもかかわらず、店の前にあるテラス席にはこだわりの味を求める人々の姿がありました。

イタリアとドイツの文化が融合して生まれた名物アイス

スパゲッティアイス
いまやドイツにおける定番スイーツとなったスパゲッティアイスの誕生は、1969年にさかのぼります。スパゲッティアイスを生み出したのは、アイス・フォンタネッラの現社長、3代目のダリオジュニア氏。

イタリア人の父とドイツ人の母をもつ彼は、両親からイタリア的な情熱とドイツ的な完璧主義を受け継ぎ、日々新たなアイスの開発に専念していました。

あるとき、プレッサーで栗のピューレを絞っていたダリオジュニア氏は、バニラアイスでもこれと同じことができるのではないかと考えたのです。

理想的な硬さを実現するために、アイスの原料の比率を変えるなど試行錯誤を重ねた結果、満を持して元祖・スパゲッティアイスが生まれました。

スパゲッティアイスの誕生には、実は南西ドイツの食文化が一役買っています。マンハイムがあるバーデン=ヴュルテンベルク州には、「シュペッツレ」と呼ばれる郷土料理があります。

「ドイツ風パスタ」とも呼ばれるシュペッツレには専用のプレッサーがあり、よく冷やしたシュペッツレ用のプレッサーはアイスを絞り出すのにもぴったりだったというわけです。

スパゲッティアイスは、まさにイタリアとドイツの文化が融合して生まれたアイスなのですね。

店内に入るとそこはイタリアだった

スパゲッティアイス
アイス・フォンタネッラの店内に入ると、陽気で人懐っこいスタッフたちがお出迎え。なんだか、外の世界とは空気が違います。例えるなら、店内に入った瞬間「温度」が上がったかのよう。

筆者の来店時には総勢7名ほどのスタッフがいましたが、みなイタリア出身者のようで、スタッフ同士の会話はすべてイタリア語。ドイツ語は聞こえてきませんでした。

気さくなスタッフたちは、目が合うとこちらが気恥ずかしくなるくらいにっこりと微笑んでくれ、イタリア的なノリの良さを感じます。なんだかここがドイツであることを忘れてしまいそう……。

鮮やかに生み出される元祖・スパゲッティアイス

スパゲッティアイス
注文したのはもちろんスパゲッティアイス。生クリームを皿の上に置き、プレッサーでアイスを絞り出したかと思うと、イチゴソースと細かく削ったホワイトチョコレートをかけて完成!
スパゲッティアイス
慣れた手つきであっという間にスパゲッティアイスが出来上がりました。一連の動きの鮮やかさはもはや職人技といってもいいほど。

スパゲッティアイスを注文するなら、ぜひカウンターでスパゲッティアイスが作られる様子を見せてもらいましょう。写真撮影にも快く応じてもらえますよ。

こだわりのアイスは見た目よりも軽くいける

スパゲッティアイス
このスパゲッティアイス、とっても甘くてヘビーに見えませんか? ところが、実はそうでもないのです。

バニラビーンズたっぷりのバニラアイスは、甘さ控えめで優しく上品な味わい。本物のイチゴから作ったイチゴソースは、甘酸っぱくてフルーティー。

これがとってもおいしいんです。バニラアイスの中に入っている生クリームも甘さ控えめでとろけるようになめらか。
スパゲッティアイス
見た目にはボリュームがありますが、ひとつひとつの素材が上質であっさりとしているので、思いのほか軽くたいあげられてしまいます。

実際に食べてみると、アイスをスパゲッティ状にすることには、見た目のインパクト以外の効果があることがわかりました。

アイスがぎゅっと押しつぶされるスクープ状のアイスとは違って、細く絞り出されたスパゲッティアイスには空気が多く入るのでフワッとした食感が楽しめるのです。
スパゲッティアイス
こだわりの素材と製法で作られるアイスといい、フレンドリーなスタッフといい、アイス・フォンタネッラは幸せな気持ちになれるアイス屋さん。店を後にする頃には、自然と口元がほころんでいるはずです。

ドイツのあちこちで食べられるスパゲッティアイスですが、マンハイムを訪れる機会があれば、ぜひアイス・フォンタネッラで元祖・スパゲッティアイスをお試しあれ。

アイス・フォンタネッラ
O4 5, 68161 Mannheim, ドイツ
公式HPはこちら

いい意味で期待を裏切ってくれたスパゲッティアイス

筆者がスパゲッティアイスの存在を知ったのは、2015年11月にドイツに移住し、ドイツのガイドブックを購入したときのこと。ガイドブックに載っているスパゲッティアイスの写真を見たときの感想は「うわっ! 甘そう、重そう……」でした。

もちろん店によって違いはありますが、アイス・フォンタネッラのスパゲッティアイスはいい意味で期待を裏切ってくれる上品なおいしさ。「甘そう、重そう」という予感は当たることも多いのですが、見た目ばかりで判断するのは良くないですね。

単なるインパクト狙いのアイスかと思いきや、スパゲティに見立てる意味がちゃんとある、さすがは研究熱心な社長の自信作です。

この記事を書いた人

はるぼぼ

はるぼぼ旅するライター・ブロガー

和歌山出身。東京での会社員時代、旅先の長野でドイツ人夫に出会う。5ヵ月間のアジア横断旅行と2年半のドイツ生活を経て、2018年7月日本に帰国。これまでの海外旅行歴は60ヵ国240都市。特に目がないのが、「旧市街」「歴史地区」と名のつく古い街並みを歩くこと。旅のリアルな「ワクワク」をお伝えします。

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