石川県金沢市の尾張町は、古くから金沢の商業の中心地として栄えたエリア。歴史ある建物が軒を連ね、昔ながらの町並みが色濃く残る場所です。古道具屋や工芸品店、風情ある町家カフェが点在し、伝統と現代が交差する独特の魅力があります。 そんな尾張町エリアにある「四知堂」は、大正時代からある油問屋をリノベーションした築100年の台湾料理店。趣ある日本家屋を再生し、和と台湾の文化が融合した独特の雰囲気をが魅力の場所で、贅沢なひとときを体験してきました!
和と台湾の趣が調和する空間
四知堂ではかつて油問屋の家屋だった間取りや空間を活かし、開放感あるレイアウトにリノベーションされています。
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道に面したエリアをギャラリースペースとして、縁側と庭園が魅力の奥側のエリアを飲食ゾーンとして活用されていました。 ギャラリースペースは、営業を始めた頃はテイクアウトメニューを提供する場所だったのだとか。コロナ禍でも地元の人々が気軽に立ち寄れる、近隣のコミュニティとしての役割も果たしてきたんですね!
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飲食ゾーンの内装はダークトーンで落ち着かせつつ、ほどよい照明の配置によって、過度に暗すぎず洗練された雰囲気に。照明は、オープン当初にギャラリーで扱っていた作家さんの作品や、ヨーロッパから取り寄せたアンティークのものなんだとか。ひとつひとつの作品が空間の美しさを引き立てていますね。 町家の風情を残しつつ、現代的なデザインが程よいバランスで調和するように改装されています。
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また、お店の入り口や縁側近くには、稲がディスプレイされていました。これらはなんと、オーナー自らが手がける農業で収穫したものなんだとか。季節を感じられるのが素敵です!
台湾と地元の旬を味わうランチコース
今回は、ランチコースをいただきました。前菜、メイン、デザートを楽しめる内容となっています。
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前菜の盛り合わせ
旬の食材をふんだんに使用したラインナップでした。
写真右側から、豆腐の滑らかな食感とアクセントのピリ辛ソースがピータンの独特の風味にマッチした「ピータン豆腐」、金時芋の甘さにプラスされた八角の香りと柑橘の爽やかさが新鮮な「五郎金時」、黒酢のほのかな酸味と甘み、噛むごとにきのこの旨味と食感が感じられる「きのこのマリネ」、なすの柔らかさと味噌の濃厚な旨み、薬味のネギが程よく効き、炭火の香ばしさが心地よい「ナスと味噌和え」、そしてさっぱりとした生姜の香りが引き立ち、ブリの出世魚であるガンドの柔らかな食感と繊細な風味が楽しめる「ガンドのマリネ」。それぞれの味覚の個性を少しずつ楽しめるのが良かったです。
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季節の麺
メインディッシュとして、季節の野菜や米粉を使用した特製の麺料理をチョイス。オーナーの手がけたお米を使った手打ち麺はもちもちとした食感で、食べ応えのある一皿でした。辛みの効いたソースが麺にしっかりと絡み、甘めの蒸し鶏や爽やかなきゅうりなど、一口ごとに新鮮な風味が広がります。
手作りの台湾茶とデザートで心地よい余韻を
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食後には、台湾茶と手作りのお茶菓子が。台湾を代表するお茶である「東方美人」を、自分で茶葉から丁寧に淹れるスタイル。
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茶葉を置く器として使っていたのは、取材時にギャラリーで展示販売していた作家さんの作品。このような形で身近に楽しむことができるのもいいですね!
紅茶は透明感ある淡い琥珀色が美しく、香り高く渋みも控えめで、心地よい味わいが口いっぱいに広がりました。ゆったりと自分でお茶を淹れることで、五感を研ぎ澄ましながら楽しむ豊かなひとときが味わえます。
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デザートの自家製の飴菓子は、柔らかなマシュマロのようなふんわり食感と控えめな甘さ、ピーナッツの香ばしい風味が絶妙に合わさり、ランチの余韻に浸りながら、穏やかに締めくくってくれました。落ち着いた空間の中で、ここでしか味わえないような贅沢な時間を心ゆくまで堪能できました。
心に残る上質な時間を
単に食事を楽しむだけでなく、建物の歴史や地元とのつながり、台湾の異国情緒を感じさせる特別な空間でした。心地よい音楽や季節感や温かみを感じるインテリアとともに、訪れる人がそれぞれのペースでリラックスできる四知堂。心豊かになれる時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
●四知堂
石川県金沢市尾張町2-11-24