マリー・アントワネットの好物、クグロフっておいしいの?ストラスブールで日本人好みの逸品を探す
フランス

クグロフ

フランス東部、ドイツとの国境に近いアルザス地方。

かつてはドイツ領だった時期もあり、フランスとドイツの文化が混ざり合ったアルザス地方では、この地域独特の素朴なお菓子の数々に出会えます。

その代表格が王冠のような形をした発酵菓子「クグロフ」です。今回筆者は本当においしいクグロフを求めて、アルザス地方の中心都市・ストラスブールに出かけてきました。

マリー・アントワネットの好物「クグロフ」ってなに?

クグロフ

「クグロフ(Kouglof)」とは、王冠のような形をしたクグロフ型にアーモンドと干しブドウを入れ、ブリオッシュ風の生地を入れで焼き上げた発酵菓子。

アルザス地方を訪れると、あちこちのパティスリーやベーカリーで大小のクグロフが並んでいるのを目にします。

クグロフの起源には諸説あり、オーストリアから嫁入りしたマリー・アントワネットがフランスに持ち込んだとも、もっと昔にキリストの誕生を祝うためにやってきた東方の三博士が家に泊めてもらったお礼に焼いたともいわれています。

アルザスの人々にとって人生に欠かせないお菓子であるクグロフは、もてなしと友情の証。クリスマスやイースター、結婚式、子どもの誕生といったお祝いごとがあるとクグロフが焼かれるほか、日曜日などに「ちょっとリッチな朝食」としても食べられています。

クグロフがマリー・アントワネットの好物だったことはよく知られており、毎日のように朝食として食べていたともいわれています。

クグロフはパサパサしておいしくない!?

クグロフ

アルザスの郷土菓子を代表するクグロフですが、日本人からは「パサパサしていてあまりおいしくない」という意見が聞かれることがあります。

確かに、本場のクグロフは日本人にとってはパサパサして感じられるものが多く、フランス人はさらにパサつきを出すために数日置いてから食べる人も少なくないのだとか。

「しっとり」を好む日本人には驚きのエピソードですが、すべてのクグロフがパサパサしているというわけではありません。

日本人におすすめできる本場のクグロフはどれか。アルザス地方きってのお菓子の町、ストラスブールの人気ベーカリーやスイーツショップのクグロフを食べ比べてみました。

「オー・パン・ドゥ・モン・グランペール(Au Pain de mon Grand-Père)」

クグロフ

「ストラスブールで一番おいしい」といわれているベーカリーが、「オー・パン・ドゥ・モン・グランペール(Au Pain de mon Grand-Père)」。

それまで「クグロフはお菓子」というイメージがあったのですが、ここのクグロフはまさにパンで、これを見れば朝食にクグロフが食べられるというのも納得できます。

軽い食感とシンプルな飽きのこない味で日常的に食べるにはぴったりです。ただし、個人的にはほんの少し中のパサパサ感が気になりました。

とはいえ、日本人のあいだでも「ストラスブールで食べたクグロフでここのものが一番おいしい」という評価もあるので、好み次第なのかもしれません。

Au Pain de mon Grand-Père
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「ラトリエ116(L’Atelier 116)」

クグロフ

こちらもストラスブールで人気のベーカリーカフェ、「ラトリエ116(L’Atelier 116)」。BIO(オーガニック)の商品づくりにこだわっていて、地元客を中心に人気を集めています。

食感は「オー・パン・ドゥ・モン・グランペール」のものに似ていますが、こちらのほうがずっしりとした小麦の甘みがあり、噛めば噛むほど深い味わいが出るのが特徴。てっぺんに大きめのナッツが載っているので、食感にもメリハリがあります。

ベーカリーのクグロフとしては、個人的には「オー・パン・ドゥ・モン・グランペール」よりも「ラトリエ116(L’Atelier 116)」に軍配を上げたいところです。

L’Atelier 116
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「クリスチャン(Christian)」

クグロフ

ストラスブールを代表する老舗パティスリーのひとつ、「クリスチャン(Christian)」のクグロフはすっきりしたフォルムが洗練された雰囲気を醸し出しています。

上品な味わいではありますが、ややパサつき感が気になる上、これといった特徴を感じないというのが正直なところ。個人的にクリスチャンのケーキやタルトは絶品だと思いますが、クグロフは期待したほどではありませんでした。

ベーカリーのクグロフより値段も高いので、「これなら最初に紹介したベーカリー2店のうちのいずれかで購入したほうがよいのではないか」という感想です。

ただし、「サロン・ド・テの朝食メニューに出てくるできたてのクグロフが美味しい」との情報もあるので、できるだけ焼きたてに近い状態のものが食べられるならいいのかもしれません。

Christian
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「ネゲル(Naegel)」

クグロフ

クリスチャンと人気を二分するストラスブールの老舗パティスリーが「ネゲル(Naegel)」。こちらでは、ミニサイズのクグロフを選んでみました。

薄くスライスしたアーモンドがトッピングされており、その上には粉砂糖がかかっています。生地はほかの店のものよりややモチモチした食感。

加えて、ほかと違うと感じたのがやや酸味のある生地の味です。「ほかと比べれば」という程度でそれほどクセがあるわけではありませんが、ネゲルのクグロフが気に入るかどうかは、このちょっとした酸味が好きかどうかによるかもしれません。

とはいえ、総合的には「ミニサイズでこのクオリティなら大きなサイズのクグロフにも期待できそう」と思わせる仕上がりです。

Naegel
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「メゾン・アルザシエンヌ・ドゥ・ビスキュイトゥリ (MAISON ALSACIENNE DE BISCUITERIE)」

クグロフ

ストラスブールを含めアルザス地方に12店舗を展開する焼き菓子の人気店が、「メゾン・アルザシエンヌ・ドゥ・ビスキュイトゥリ (MAISON ALSACIENNE DE BISCUITERIE)」。

「ビスキュイトゥリ」という名前の通り、主力商品はビスケットやアルザス風マカロンです。

クグロフで話題になることはあまりないお店ですが、意外にもここのクグロフがなかなかのヒットでした。

なんといっても、中の生地がふんわりと柔らかいのです。包丁を入れた瞬間から「これは違う!」と感じました。適度にしっとりとした質感でパサつきも気になりません。

小麦のうまみがしっかりと感じられる優しい味わいで、「甘すぎないスタンダードなクグロフで、中がしっとりしているものが食べたい」という人にはぴったりだと思います。

MAISON ALSACIENNE DE BISCUITERIE
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「ティエリー・ミュロップ(Thierry Mulhaup)」

クグロフ

ほかのお店のクグロフとは大きく異なる独自のクグロフを売り出しているのが、パリにありそうなモダンなパティスリー「ティエリー・ミュロップ(Thierry Mulhaup)」。

表面が砂糖でコーティングされたおしゃれな雰囲気のクグロフは、見た目からしてほかとは一線を画しています。

外はブリオッシュ生地のようにサクッ、中はフワフワやわらかでしっとりとした食感。ナッツとレーズンがアクセントになっています。

焦げ目のついた表面部分は少し苦みがあるので、ほろ苦い生地と甘い砂糖の相性は抜群。バターとお砂糖のリッチな味わいがケーキ風の味わいです。

今回食べ比べたなかで、このクグロフは最もお菓子寄りのパティスリーらしいクグロフでした。

Thierry Mulhaup
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クグロフ

お店によって、味も食感も値段も差があるクグロフ。

筆者の独断ではありますが、今回ストラスブールにある6店舗のクグロフを食べ比べた結果、おすすめは「メゾン・アルザシエンヌ・ドゥ・ビスキュイトゥリ 」と「ティエリー・ミュロップ」のクグロフです。

決め手はやはり食感。パンに近いスタンダードなクグロフを求めるなら「メゾン・アルザシエンヌ・ドゥ・ビスキュイトゥリ 」、ケーキに近い甘いクグロフを求めるなら「ティエリー・ミュロップ」がイチオシです。

「どちらかなんて選べない!」という人はぜひ両方手に入れて食べ比べてみてください。

じわじわハマるクグロフ

クグロフはケーキというよりパンなので、ケーキのように一口食べて「絶品!」と感じることはあまりありません。誤解を恐れずにいえば、わりと「地味」です。

でも、噛めば噛むほど味が広がるクグロフに、知らず知らずのうちにハマっていくのです。食べた瞬間「ものすごくおいしい!」とは思わなくてもなぜかまた食べたくなる、そんな後を引く魅力がクグロフにはあります。

今回おすすめした「メゾン・アルザシエンヌ・ドゥ・ビスキュイトゥリ 」と「ティエリー・ミュロップ」のクグロフは食べた瞬間もおいしいと思えるはずですよ。

この記事を書いた人

はるぼぼ

はるぼぼドイツ在住ライター・ブロガー

和歌山出身。東京での会社員時代、旅先の長野で9歳年下のドイツ人夫と出会う。
2015年11月、ドイツ移住を機に、トラベルライター&ブロガーに転向。ドイツを拠点に、各国を飛び回りながら執筆中。特に目がないのが、旧市街など、歴史を感じる街を歩くこと。
これまでの訪問歴は54ヵ国220都市。旅の「ワクワク」をお伝えします。

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