校閲会社が本気を出したブックカフェ「かもめブックス」、こだわりの数々とは?
日本

読書の秋もあっという間。12月いつの間にか街中も、シャンシャンという音で賑わってきました。
その外れ、神楽坂に佇むお店が一軒――。今回は、そんな都会の華やかさに負けじと賑わうブックカフェ、「かもめブックス」に潜入です!

かもめブックスとは

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神楽坂の校正・校閲会社「鷗来堂」がプロデュースする、異色のブックカフェ、「かもめブックス」。電子書籍、通信販売などのインターネットにおける活字摂取が普及していくここ最近。便利さがどうしても先に立つそんな世の中で、改めて実際に紙媒体の本を手に取り、触れ合い、新たな出会いを五感で楽しむことを目的とした、本屋ならではの魅力を最大限に引き出すお店です。

ブースは主に、「本棚」「カフェ」「ギャラリー」の3つ。店員さん選りすぐりの本やPOPを楽しむだけでなく、美味しいコーヒーと共に買った本を吟味してみたり、新しい雑貨やアートに小説以上の感性をくすぐられてみたり――。本屋としての可能性を色んな方面に展開しています。

喫茶店ではなく、ブックカフェとしての工夫が満載

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入るとまず目に留まるのは、日当たりの良い手前のカフェのコーナー。白がベースの温かみのあるレイアウトが、少ない照明でも手元を明るくしてくれます。スピーカーの出所が天井ではなく壁の隅なので、首を動かす度に音のムラが気になるかもしれませんが……。全体的に、この空間が落ち着くか否かは個人差がありそうです。ただ、日当たりがとても良く、テーブル数が限られている分お喋りするお客さんの数もそう多くはならないので「読書をする場所」としての条件はしっかり満たしています。
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壁にあった棚の珍しい観葉植物たちが気になりました。よく見ると、飼育方法と値札が……購入可能のものだそうです。随分浅い棚なのは、この手間にあるカウンター席の邪魔にならないように。照明が真上にあるため、なるべくテーブルに影を落とさないようにしたかったからとも言えるかと。
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こちらは大人のショコラスコーンプレート。ザクザクしたスコーンと、ゆるめのクリームのバランスがとても良いです。チョコチップや胡桃がゴロゴロ入っているのも好きでした。オレンジソースがさっぱりしてる分、生クリームのミルク感が強かったです。
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店員さんが、ラテアートをしてくださいました! まったりした味わいで、こちらもミルク感の方が強いです。カフェラテなどのフォームドミルク(一番上の泡立てたミルク)があるものは冷めにくいので、長時間の付き合いになる読書に向いています。
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本に囲まれた状態でお茶する、というような形です。ここまで本棚が競って展開されていると、カフェのコーナーで本を開くことに抵抗はまずないかと。そもそもが斬新なブース構成なので、来るお客さん皆に目新しい。ある意味ブックカフェ初心者にも優しいです。

校閲会社が本気を出した、こだわりの棚たち

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販売というよりは展示目的が強いので、通路は広め。その代わり、高低差や統一性のない平台を活かした自由な棚の構成が目を引きます。
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定期的に変わる平台の特集コーナー。毎度毎度オリジナルの帯が可愛らしいです。
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この棚は本来、文庫本をこんなぎっしり置くために使われるものでは無かったはず……勿論回せます。いやいやいやその詰め方はないよと思っても、気が付いたら手を伸ばして回してしまう。そして表を向いている文庫本は他の書店でもちゃんと売り上げが安定しているものを押さえていて……芸が細かいながら、しっかりしています。
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かもめブックス名物、シークレットブック。中に何の本が入っているのかは一切分からず、表に出ている情報は店員さんたちの本の紹介文のみ。こうして普段は読まない新しいジャンルに当たることも、インターネットでの本の探し方では出来ないことの一つです。
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所有する本の数が多いと棚もより多くの本が入るように統一されてフロアの隅から隅までずらーっ!と並んでしまいますが、そういう息苦しさを感じさせない組み方の一例。とにかくどこを見ても楽しいです。
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奥の部屋には、漫画コーナーも。遊びにいらっしゃったのであろう作者様方の落書きが壁一面に……アットホームな雰囲気が、色濃いところです。
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もちろん、POPもしっかりございます。しかし手書きで終わらせないあたり、シンプルでありながら凝っています。あくまで書店員は物書きではありません。ましてや帯を作る出版社の広報部でもない。そんな立ち位置にある人が書く「本屋のPOP」というのは、センスを絞り出すのに人一倍労力がかかります。
こちらはそんな事情をを全て呑んだ上で、「読んでもらいたい文章」のみで勝負してきたPOPです。一文一文が簡潔にまとまっていて、素晴らしい……。

進化するブックカフェ、ギャラリーコーナーにて

他のブックカフェとの違いがでるのが、このギャラリーコーナー。
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雑貨屋に負けない、こだわり&斬新アイテムがずらり。照明の焚き方も相まって、とても素敵な雰囲気です。
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文具、読書アイテム、便箋やバッヂなど、ブースとしては小さいながら中々の品揃えです。
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クリエイターさんの雑貨も少し。他にはないアクセサリーは、重宝します。
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こちら、かもめブックスのマスコットキャラクターのアンドウさん。本を開いた横面が、かもめに似ていることからかもめブックスになったというそのフォルムが頭に……。
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オフのアンドウさん。あ、取り外し可能なのね。アンドウさんグッズは、他にもバッヂやしおりなどがあります。
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奥のスペースでは、少し照明を変えて個展を開いています。今回は、綱代幸介さんという方の油絵。
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立体的な油絵、というべきでしょうか。一つ一つの作品の中で物語がしっかり完結している、世界観が強い作品の数々です。

まとめ

いかがでしたでしょうか? 普段、欲しい本だけを買うためにインターネットで活字と触れ合っていませんか?
たまには目的もなく本と本の間を散歩し、ひょんな事から出会った本が新しい引き出し広げてくれる……そんな楽しみ方をしてみるのも一興かと思います。こんな遊び方をできるのは、本屋ならでは。改めて、需要が後退気味な書店の面白さに気づき、そこから新しい本の魅力を見つけられそうな場所、かもめブックス。
是非一度、訪れてみてください!

活気あふれる、新しい本屋の在り方

本屋にわざわざ赴いてもらう以上、現場で本と触れ合うことのメリットを最大限に感じてもらわなくてはならない。そんなシンプルなスタンスが、ひしひしと伝わってきました。活字の売り場の競争状況は、需要に応じるように書店はやや劣勢。インターネット注文で事足りてしまう本の市場から、何とかお客を呼び戻そうと、色々な試みを「とにかくやってみる」、そんなアグレッシブな新しい本屋としての形に、応える形で足を運ぶ人たちの温かさを感じました。

この記事を書いた人

香罹伽 梢

香罹伽 梢ライター

とある九段下の大学生。国文学科映像メディア専攻。近現代文を研究したり、作ったりが専門。都心に行けば下っ端書店員。 書評であれ創作であれ、文学研究という素敵な趣味を1人だけで完結させるのは勿体無い。そこで、文芸団体を主宰したり読書会をインカレで運営したり、書評を広報したりと「複数人で盛り上げる文学ライフ」に力を入れています。 ここでは、主に都内のブックカフェを紹介し、様々な本との触れ合い方を皆さんとシェア出来たらなと思っています。

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