9月になり、「秋だなあ」と感じる時期ももう間近。夏のようにパッとしたスポットはぐんと減ります。
しかし! ぶらぶらと気ままにお散歩しやすい季節、このままじっとしているのは勿体ない!
と言うわけで、今回は「読書の秋」を先駆け。舞台は本屋の王国、神保町です。
古本屋ばっかりで埃臭そう……通な常連さんしか中に入れなさそう……と、普段本にあまり所縁の無い人ほど取っ付きにくい神保町。しかし、一軒一軒の個性を把握すれば、普段都会ではお目にかかれないレアな商品が何気なーく店頭に置かれています。
その証拠に、こんな店長お手製の模型がポンと店の脇にあるのですよ?
今回は、その中でも「古本以外」のお宝にあたる「雑貨」をターゲットに、ヒット率が高く入りやすそうな初心者向けの本屋や雑貨をピックアップしていきます。それでは早速行ってみましょう!
奥深い絵本の世界へ……児童書専門店「BOOK HOUSE」
児童書を専門に扱うお店です。
中央に大きなソファが。じっくり絵本を読んで、選ぶことが出来ます。空間の使い方が子供目線。
懐かしの絵本のグッズがズラリ。これは大人も楽しいです。絵本グッズは、可愛らしい原作のセンスをそのままグッズに反映しているので、贈り物にしてもハズレは無いです。
特に「はらぺこあおむし」の雑貨は2~3年ほど前から話題には上がっていますが、なかなか普通の本屋ではお目にかかれず……。こんなところにありったのですね。
ここでしか手に入らないものから定番まで絵本グッズがずらり!
ちょっと欲しかった、「はらぺこあおむし」の靴下。子供用サイズのものしかなかったのですが、絵本とセットで買ってあげると喜びそう。
「星の王子様」のグッズは、通販を見ても箱根の星の王子さまミュージアムで扱っているものばかり。そんな遠くまで行けないし、通販で取り寄せるには限りがあるし……と断念していたものたちが大量に並んでいたので、唖然としてしまいました。
勿論、定番の絵本だけでなく今をときめく作品も充実。こちら、「もうぬげない」で話題のヨシタケシンスケさんのコーナー。早くもグッズが出ていました。
こぐまちゃんシリーズは、私も幼少時代に愛読しました。やはり、ホットケーキが有名なようで。こちらも子供用サイズしかなかったのですが、Tシャツに描かれたホットケーキの「やけたかな?」が可愛らしい!
他にも様々なグッズで、お客の目を楽しませてくれます。懐かしの絵本がシリーズ丸々全巻あることも嬉しいですね。子供だけでなく大人も楽しめる児童書専門店です。
掘り出し物満載! ちょっとディープな古本&雑貨屋「神保古書センター」
少し入り口が狭く、そこから他階に移動するのが難しいビルですが、その難関さえ越えれば「滅多に見れないものたち」が出迎えてくれます。
また、このように神保古書センターは各階ごとに並べられている商品のジャンルどころか店名すら違う、不思議なビルです。そのため、営業時間や定休日が店によって異なるのでご注意を。
オススメは、2階と5階。
アニメ、漫画の古本を扱う2階には「え、絶版してるんじゃないの?」という本や、普通の店だと平台に並ばないので目に留まることがなかった本がとてもたくさんあります。店員さんのチョイスが色濃く出るため、店全体のラインナップがひと味違うのです。
週刊の漫画の隙間に、付録が置かれていました。まさにお宝。
しかし、普段漫画を手に取らない私にはどれほどの価値があるものなのか分からず……少し悔しいです。
店員さんチョイスが楽しい!多彩な「鉱石コーナー」
5階の鉱石コーナー。ここの鉱石コーナーのいいところはひとつひとつが手の伸ばせそうな範囲の品であること。
鉱石というと拳ほどの大きさのあるものが多いのですが、その大きさはマッチ箱2個分程度の小さいもの。これくらいなら、ひとつくらい買っても……と、鉱石に興味のない私でも少し考えてしまいます。何より石の質が良い。
ごつごつした原石を飾るだけでなく、加工したものをアクセサリーの一部として使うのも鉱石の楽しみ方。ビーズ穴の無いものもあり、幅広い使い方が出来るようになっていました。
鉱石とは関係ないのですが、こんなものも。金属板を加工して作られた昆虫のブローチや革製のしおりなど……クリエイターたちの斬新な作品が置かれていました。「斜め上かつ、誰も持っていなさそうな雑貨」というものを手にすると、優越感に浸りますよね。そんな品は、こういうところに多くあります。
本当に本屋?お洒落すぎる雑貨ブースを持つ「三省堂神保町店」
池袋はジュンク堂、新宿は紀伊国屋、神保町は三省堂。全国ランキングひと桁台に入るほど立地面積の大きい書店です。
そんな大手の本屋が展開する雑貨スペース。何より広い。
神保町独特のクセがある品ぞろえではないのですが、兎にも角にもお洒落の度合いが高すぎるんです。
ほかではなかなか見られない、圧巻の雑貨シリーズ
鉱石コーナーもこの有様です。実験器具のようなガラス器も、おしゃれなことに。
ここは本当に本屋なのでしょうか……。値段、質共にお高く、一生の相棒にさえなりそうな小物が本屋にあるなんて……。
クリエイターが手掛けるアイディア雑貨も目白押し。豆電球に、去年の秋頃から流行りだしたドライフラワーを閉じ込めてあります。
戸棚と引き出しいっぱいの、豆本です。豆本自体なかなかお目にかかることがないのですが、ここには溢れんばかりの在庫と種類が。
豆本がアクセサリーに。ブローチも可愛かったです。
自身も本屋で働いているので、エプロンに付けたいなー……と買うか迷います。
私のライターアイコンにもなっているコレ! 実は三省堂で売っているものなんです。その名も「モスモス」。頭に生えている藻を、水に浸した砂利の上に置いておくことで育てます。手のひらサイズなので、手軽にポップな盆栽が楽しめます。
同じく「和」な雑貨、枯山水セット。自分で砂に波紋を描けます。砂の粒が非常に細かく、線を引くのが気持ちいい。このミニチュアサイズがまた何とも可愛らしいです。橋や岩など、置きものも自分でカスタマイズできます。
遊び心満載の文房具コーナー
オススメの、木製文房具シリーズ。カッターやホチキス、テープ台など、日頃デスク上で使うものを遊び心満載に。温かみがあり、手に馴染みやすく、プラスチックのように割れる心配なし。
なんと、詰め合わせもあります。セットで買う方がお得です。
こちら、文鎮です。この木製シリーズ、一般的な文房具よりも値は張りますが、こういう所からこだわりが見て取れます。
ギフト用のコーナーも充実しています。もう一度言いますが、本屋です。
凝り過ぎていて扱いが分からない雑貨も少なくないです。そのため、店内にはいつでも対応できるように親切な店員さんが数人待機しています。皆さんとても熱い方です。スマートにお客をさばかない辺りが神保町らしいのかもしれません。
雑貨に本気を出すお店はまだまだ続きます。
文房具専門店の本気。圧倒的品揃え「文房堂神田本店」
文房堂と言えば、池袋や銀座などちょっと若年層には親しみにくいところに店舗を構えているものが多いですが……その本店は三省堂の裏口からすぐ向側。
東急ハンズやMDays、Loftよりも専門的な文房具に特化し、かつ世界堂やゼブラよりお洒落な小物も充実している、バランスの取れた文具店です。商業用の用具や難しい画材も置いてありながら、アイディア雑貨も数多くあるため、大抵のものは文房堂単体で揃えられます。
一階手前のコーナーは雑貨が多く、特に買う用が無くても軽く見に入れます。
独特なアクセサリーが集められた一角を発見。イヤリングは特に他人と被ったりするので、こういう店をいくつか知っておくと便利ですね。
こちら、全部マッチです……。ひと昔前には喫茶店のマッチ収集が流行ったりしましたね。どの箱も可愛らしく、レトロな雰囲気がとても素敵。勿論中に入っているマッチは使えます。
鳥型のペーパーナイフ。プラスチック製というところも、遊び心が光ります。
そして、店内の商品は全て学割が効きます。対象学校は限られていますが、美術系のところは殆ど含まれていました。こだわりの紙や画材が安く手に入るのも、ある意味伸び盛りの学生には嬉しい限りです。
使い方は多種多様。老舗和紙店「山形屋紙店」
創業明治12年の和紙専門店です。こぢんまりと構えていますが、中の紙たちはピンキリ。手芸用紙の切れ端から手すきの和紙まで、様々な使い方を試せる紙が勢ぞろいです。
小さい折り紙用のものからちょっとしたラッピングに。所謂千代紙と呼ばれる類のものたちです。ワンコインで手が出せるほどお手軽です。華やかな千代紙は印刷物から手書きのものまで、ここですでに質のランクが「ピンキリ」です。用途に合わせて選べます。
棚の多くを占めていたのが便箋。和紙は地の色が完全な白ではないので、温かみが出ます。手紙というのは人に贈るもの。和紙は便箋に最適な紙なのかもしれません。
祝い袋がこんなに沢山あるのを、私は見たことがありません……。柄のついたものから丸々印刷されたものまで、こちらもピンキリ!
カーテンではありません。手すきの和紙です。なんと、紙の中に本当に葉っぱが入っています。そして1枚で4桁のお値段……。お店を覗くといつも一定の場所でそよいでいるのですが、毎回垂れ下がっている紙の柄が違います。一体誰が買っているんだろう……。
店内は狭く、人がすれ違えるスペースが無いのですが、一定数のお客が絶えず訪れています。色んな目的を持った人が満遍なく来るためかと思われます。
名刺用の和紙や絵葉書など、普段使う紙を敢えて和紙にしてみたい人、手始めに寄るならここをオススメします。
何故そのブース?突如現る鉄道ジャンル「書泉グランデ」
三省堂の方が圧倒的に大きいはずなのに、Googleマップでズームすると何故か一番に店舗名が出てくる書泉グランデ。古本屋ではない店でありながら、その並べ方は神保町臭しかしない、個性の濃いところです。
注目したいのはその6階。
本屋なのに、なぜか「鉄道」というジャンルでワンフロアを占領しています。
鉄道のグッズという物を一体皆さんどこで入手しているのか不思議に思っていましたが、ここをアテにしている方もいるのでしょうか……。
この気合の入り様。穴場のひとつとして数えられるのかもしれません。
ネクタイピンは、ガラスケースの中に厳重に保管されてました。列車のピンは分かる。しかしブレーキハンドル……付けていて分かる人はその道に通じる者だけなような気がします。
表札が、キーホルダーに……どの駅のものを敢えてチョイスしたら良いのか分かりません! 地下鉄のものが多いような気がしました。
模型やアクセサリー以外にも、日用品のグッズもありました。たっぷりとある在庫。しかし神保町を出たら指折り数えるほどしか扱いのないものばかりだったりして……。
所狭しと並べられた店の中から幾つか紹介させていただきました。実際、この距離を巡るのに30分もかかりません。丁度良い広さで、休憩できる喫茶店もわんさかある町ですので散歩にぴったりだと思います。
神保町に眠るお宝はまだまだ沢山……そしてその中に小さな小さな古本屋たちが含まれていることをいずれは知っていただきたいです。まずは入り口の広いこれらの店から、そしてどんどん奥地まで――。
お洒落な雑貨をきっかけに、個性溢れる神保町に触れ合っていただければ幸いです。
それでは秋も、良い小さな旅を!