GWは静かにブックカフェで過ごさない?オススメは高円寺、厳選4店はこちら。
日本

散った桜と共に、GWに突入する時期が舞い降りてきました。皆さん、今年のご予定はもうお決まりでしょうか? 大型連休、張り切って遊びたいのもありますが折角だからゆっくりしたい……でも、散歩程度にお出かけしようにも何処も混んでるし……とお困りの方に朗報です。

今回は、そんな人がごった返す期間も平常運転の個性派タウン、高円寺のブックカフェ特集! 噂に聞く有名店や穴場まで、どどーんと4店舗も盛り込みました! どうぞご参考までに!

私語厳禁!「アール座読書館」


「高円寺」「ブックカフェ」と検索するとす先頭に顔を出すのがこの「アール座読書館」。高円寺駅から近いこともあり人気の喫茶店の1つですが、話題となっているのはその後の予測検索にも表示される「私語厳禁」の文字。

入口が狭く、店舗は階段を上った2階以上に展開されるからか、私の取材時にも入るのを躊躇ってこの付近でウロウロするお客さんが数名……。思い切って先陣を切って潜入です。

階段を上りきると、薄暗い通路に2つの扉。なんとアール座読書館は2つのタイプの喫茶店として展開しており、読書の楽しみ方、スタイルによって店を選ぶことが出来るようになっています。

2階が噂のアール座読書館。そして3階は……エセルの中庭といいます。どちらも高円寺では知る人ぞ知る有名店。素直にお好きな方を選んで、損はないと思います。

まずは「エセルの中庭」から。こちらは店内のお喋り可。1人静かに集中する場所には不向きかもしれませんが、複数人で訪れるのであればこちらをオススメします。

何といっても売りはこの光の配色と雑多な高円寺テイストのレイアウト。店内には朗読CDが流れています。この日の題は恐らく「ヨダカの星」。醜いヨダカが除け者にされる淋しいお話ですが、可愛らしい女性の声での朗読なのでリラックスしてストーリーを追えます。

手元の本に目を落とす前に、独特な雰囲気を呑んで楽しみます。書店ではお馴染みの鉱石の類が、上手い具合に馴染んでいます。

鬱蒼と茂った座席の周り。最早何が室内なのか……水槽から流れる水の音も相まって、ここは完全に「中庭」です。

更に驚くのは床が土で出来ていること。ここは3階。しかし敢えて場所を無視して「中庭」というスタンスを貫くことで、そのコンセプトが効果的に浮き彫りになります。

モロッコグラスにたっぷりと、ブラックチェリーティー(¥650-)を。アメリカンチェリーやザクロがブレンドされた、キンキンに冷たくても香り豊かなフレーバーティーです。

続きまして2階、話題のアール座読書館です。私語厳禁で知られるのは、ちょっと厳しいくらいのこの扉の注意書きからでしょう。中でも店員さんが、ヒソヒソ声で接客してくれます。

中は明るすぎず、暗すぎず。各テーブル勉強机のようだったりソファがメインだったり……様々な読書スタイルにとにかくどっぷり浸って貰う、そんな空間です。BGMも控えめ。歩くと床が軋む音が聞こえるくらいには静かです。

少し変わった一品を。乳茶(¥600-)というものをいただきました。モンゴルの遊牧民が毎日沸かすミルク出しのお茶だそうです。ここでは、プーアル茶をブレンドして飲み易くなっています。塩が効いていて、シチューのようなキャラメルのような……慣れ親しみのない味ですが、美味でした。

案内していただいた私の席は、フカフカのソファの眼前が何と水槽。水音を聞きながら、気持ちを落ち着かせ、頭を休めて……。大変貴重な時間を過ごせたような気もします。

アール座読書館
東京都杉並区高円寺南3丁目57−6

大人の絵本カフェ?「Mucchi’s Cafe」


アール座読書館と同じく2階からの展開のカフェですが、こちらは可愛らしい看板のイラストに惹かれて、ふらっと立ち寄ったのが最初でした。

「懐かしい! 子供の頃大好きだったんだ」「今の絵本ってこうなっているんだ」という絵本の楽しみ方は、むしろ大きくなった今だからこそできる事。絵本は子供たちが楽しむだけじゃない!というちょっと特別感を持てる絵本カフェです。

店内は極めて明るく、1つ1つのテーブル間も広め。ギャラリーとカフェが一体化したようなレイアウトです。

カウンター席にも絵本がぎっしり。その数、全体でなんと300冊超え。ここまでの蔵書数をこのスペースのカフェで展開するのは、相当の熱量が必要です。

こちらはちょっと不気味なホラーコーナー。彩り豊かな絵本だけではないジャンルも満載なのは、敢えて大人の目線で絵本を揃えているからでしょうか。

懐かしい!と手に取る絵本から飛び出して来たように、ぬいぐるみが……。嬉しいファンサービスのようで、個人的に盛り上がります。

テーブルには、懐かしの表紙がペタペタと。絵本の楽しさをダイレクトに思い出させてくれる、とても良いアプローチです。

可愛らしいPOPから、店員さんたちのアットホームな雰囲気が伝わって来ます。

絵本「からすのパンやさん」の続編がある事を最近知りました。本屋では立ち読みするのをなかなかに躊躇われましたが、ここでようやくじっくり読めます。

読み終わった頃に、お食事が運ばれて来ました。当店は生パスタやカレーなど、ボリューミーなカフェごはんも充実。オススメは、このガパオライス。ピリッと辛いパプリカたっぷりの挽肉を、食べやすいように仕上げた馴染みのあるうるち米でいただきます。

スイーツは、絵本の世界をモチーフにしたファンタジー色! おばけのケーキ(¥430-)は、チーズケーキとショコラケーキの2種類から選べます。口元が独特……。

「お花模様のワンピース」というドリンクだそうです。本物の花びらが(¥500-)浮いています。カルピスベースのほんのりピーチ味がまた懐かしいです。

手作りのお店、といった雰囲気の強い、人の手の温もりを絵本とその彩りを通して感じられるカフェでした。

“何故か”集中できる空間、「イココチ」


「勉強向きの喫茶店」「作業スペースに向いている喫茶店」という有りがちなまとめサイトでよく見かけていた「イココチ」。

しかし、どうしても紹介されている写真を見ると引っかかる……余りにも、カラフルな店内で本当に集中できるのかと。早速、綺麗な黄色に華やぐ店構えに、お洒落と落ち着きの両立の難しさが頭を過ぎります。

揃う本はあくまで古本。しかしこの地面すれすれの棚を窓に沿って置く時点で、大分お洒落な気がしてしまいます。

スカーレット、ミントグリーン、ターコイズ……差し色の多い壁紙が賑やかですが、流れるラテン系のラジオ音楽は何となく静か。お洒落なカフェというよりは、何処か異国のお家のよう。長時間でも過ごしやすいカフェには、お供の本を是非。

1番上の段をギャラリー、2段目以降に本を詰め込み、ごった返し過ぎずに適度な雑多感が。ジャンル、形体、国は様々で、頭を使わずポンと手に取った方がここでの選び方としては良さそうです。

本物そっくりなアクセサリー、大分流行ってはいますがあんパンとは新しい。他にも、あまり都会の創作アクセサリー展では見かけない雑貨が沢山です。手に取れば、それはお散歩の収穫物ではなく、「イココチ」のお土産になるのかもしれません。

椅子の脇に小さな本棚があると、待合室を連想してしまうのは私だけでしょうか。しかし喫茶店で一度座ってしまうと、立ち上がりにくいですよね。ブックカフェでの本選びは、その立ち振る舞い方が難点だったり。しかしこれなら、立ち上がる事なく本が取れるのでソワソワせずに済みます。

このスタイルが通用するのは、ジャンルの縛りがそこまでキツくないからこそ。お客さん一人一人に合った本をじっくり選んで貰いたいのではなく、とにかく何でも良いから手に取ってみれば良いという気楽な置き方。この無造作な棚の作り方が、小さく孤立して展開されていようと違和感なしに成り立つ秘訣なのではと思います。

ここの看板メニューといっても過言ではないのが、フレンチトースト(¥580-)。フランスパンを軽く飴状にパリパリに焼き上げることで、溶けたバニラアイスにも食感が負けず、ほろ苦いカラメルソースとバターの香りが最高に引き立ちます。

ブックカフェ特有のテーマ性を無理に押し出さず、気負わない店構えが生んだ余裕がお洒落なレイアウトに向いたのでしょう。高円寺では一味違った雑多の形。新しくも、それは確実に来た者に馴染み、独自のリラックス空間を作り出していました。

Mucchi’s Cafe’
東京都杉並区 高円寺北3-2-17 2階
公式HPはこちら

本×シフォンケーキに自信あり。「Cafe Cross Point」


元はギャラリーカフェだったこのお店。心機一転、ブックカフェとしてオープン。

ちょっと風変わりなスタイルでの運営なのですが、敢えてオススメしたい理由が2つあります。

まず、店内の本には貸し出し制度があること。実はこのお店、本の扱い方が図書館形式。ブックカフェで丸々本を読みきることは余り無いし、そもそも買った本をカフェで読むという流れで見せるお店が殆どなはず。ここでは立ち読み感覚の後ろめたさで未購入の本を片手にコーヒーを啜らなくても良いのです。

店では本をペラペラとめくり、じっくり読むのは家で……喫茶店での過ごし方によく合っています。返却は、また来店時に。また行きたくなる、寧ろ行かせるブックカフェとはなかなかに楽しいです。

もう1つは、本と並べて宣伝しているシフォンケーキ(1piece¥350-)。お手頃な値段が似合わないほど、とにかくふわっふわで。シフォンケーキではお約束の緩めの生クリームが今までのシフォンケーキとは違う形でよく合います。

コーヒーもまた実力派。コーヒーマイスターの資格を持つスタッフさんが、一杯一杯丁寧に淹れてくれます。今回はエスプレッソ(Single¥350-)を可愛らしいカップで楽しみました。

Cafe Cross Point
東京都杉並区高円寺北3-11-1
公式HPはこちら

まとめ

入り口が狭くて入りにくい、住宅街の中な入り込んでいて遊びに行くのが億劫なカフェこそ、行ってみる価値は充分にあると思いました。特に高円寺は、そんなタイプの店ばかりでごった返しています。寧ろ隠れ家的カフェばかりが並ぶので、何処を取ってもクセのある店なら開き直って初心者向きな街なのかもしれません。

また入りにくいカフェは、中に飛び込んで仕舞えば出入り口が小さい分集中しやすいです。分かりにくい場所にあるカフェは安定して客数が溢れていないのでいつでもふらっと立ち寄れます。慣れて仕舞えば愛着の湧く場所になるでしょう。比較的、紹介したいものがあるブックカフェというのは高円寺でも店構えがオープンな方です。

高円寺デビューをブックカフェで、このGWでしてみませんか?

この記事を書いた人

香罹伽 梢

香罹伽 梢ライター

とある九段下の大学生。国文学科映像メディア専攻。近現代文を研究したり、作ったりが専門。都心に行けば下っ端書店員。 書評であれ創作であれ、文学研究という素敵な趣味を1人だけで完結させるのは勿体無いので、文芸団体を主宰したり読書会をインカレで運営したり、書評を広報したりと「複数人で盛り上げる文学ライフ」に力を入れています。 ここでは、主に都内のブックカフェを紹介し、様々な本との触れ合い方を皆さんとシェア出来たらなと思っています。

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