ブックカフェという、コーヒーを頂きながら本を物色できる喫茶店が増えてきましたね。今回はその中でもかなりディープな品揃え、街道関連の書籍を取り扱う「KAIDO books&coffee」に取材に行ってきました!
KAIDO books&coffeeとは?
所在地は北品川。
民家に馴染むように多くの店が並ぶこの商店街は、かつて江戸時代、あの歌川広重の「東海道五十三次」の第一宿として描かれた街道でもあります。その一角に、「旅と街道」をテーマに建てられたのが「KAIDO books&coffee」。跡継ぎ問題や建物の老朽化で活気がなくなってきた北品川に若者を呼び込もうと、満を持して昨年2015年にオープン。
1万冊以上の地方の書籍や雑貨、民芸品が手厚く並び、早くも「ディープな旅好き」のためのブックカフェの趣を確立しています。
早速入店!
破格の文庫本がお出迎え。ラインナップも「いきなり最終話」や「ゼリー・ぷるるん論」など、ジャンルを問わずマニアックです。
1階は、季節ごとに本の地域と内容が変わる特別展となっているそう。日差しがダイレクトに差し込んでくるオープンな空間です。季節ごとに部屋の表情も変わるとなると、これはぜひとも数回足を運びたいところ。
ふかふかのソファが、「どうぞ長くくつろいでください」という感じがして良いですね。ブックカフェならではの特徴です。
本命の2階へ。
コーヒーを注文したら、いざ2階へ!
1階より沢山の書物と席がずらり。気持ちがたぎりますね……。
流れている音楽は聞き取りやすいピアノジャズでした。うねりの強いビックバンドのジャズや、情緒あふれる女性ヴォーカルメインのジャズと違って、お洒落な空間を保ったまま読書の邪魔はしない。素晴らしい曲のチョイスだと思います。
懐かしの、学校の椅子です。集中力も自然と上がりそうですが、やんちゃだった子供時代も同時に蘇ってきて、どっちに転ぶかは思い出次第でしょうか。
それにしてもこの机の穴は何なのでしょう……。
1階のソファの親分がいらっしゃいました。こちらもふかふかですが、生地の皮がしっかりしているので睡眠よりも読書に向いています。
本棚と本棚の間、丁度へこみになった空間を生かした席。ライトの色味がとてもレトロな雰囲気で、すぐに本の世界にさらって行ってくれそうです。
手に取りたくなる本棚! 本の見せ方がすごい
さてさて本棚を見てみましょう!
棚のブースは、基本都道府県ごとにまとまっています。本当に東西南北津々浦々、地方の書物がぎっしりです。
古本という体なので、原価よりも安く買うことが出来ます。
中にはその地方の工芸品も。こちらも販売している商品で、どこの誰が作っているのか、名刺もちゃんと置いてあります。
解説つきの書籍もありました。いち押しの本を1ブースたっぷり使って展示する。
空間の使い方にメリハリがあって、ブックカフェの中でもクオリティが高いことが伺えます。
こんな演出も。
周りの棚に、その地域の本が並べられていました。これはずるい! 買いたくなっちゃう!
海外について取り扱う本もずらりと。
絵本コーナーは、懐かしのあの絵本から今話題の絵本まで、どれを開いても楽しいラインナップとなっています。
ここで私、本棚の一部にガムシロップ&ミルクセットが組み込まれていることをようやく知る。
ちょっと分かりにくかったのですが、かくれんぼのような遊び心も良しということで!
お待ちかねのコーヒー&スイーツ!
本を物色しているうちに、2階まで店員さんが運んできてくださいました! 今回注文したのはこちら。
水出しアイスコーヒー(Americano Ice-¥420)と、期間限定アプリコットスコーン(Scone season-¥380)!
アイスコーヒーは酸味強め。しかし後味は極めてさっぱりしていて、嫌ないがみが口に残らない! 苦手な人でも飲みやすいと思います。
スコーンは生クリームを練り込んだものにあんずとクリームチーズが入っていました。
大粒のあんずがもうゴロゴロと贅沢に。温かいホロホロスコーンとドライアプリコット、チーズの酸味がマッチしていて、とても美味しかったです。
何よりソフトでしっとりとしたスコーンがポソポソしない。オススメです!
地域の本以外のジャンルも、面白い!
ここでコーヒーを片手に、街道にまつわる本以外で、気になった古本をご紹介。
現書店員の私から言わせてもらいます。こういう知ってそうで意外と知らない新常識を扱う本は、普通の本屋にはなかなか出ていません。
インターネットの普及もあり今更取材するまでもないのか、現在は身近なものについての特集ほど書いてくれる人が少ないのです。発行年数が古く既に絶版してしまっているものがほとんどで……。入手ルーツは必然的に古本屋になります。
そのため、なかなか「こういうものについて詳しく書かれた本が欲しい!」と目的を持って探して見つけられるものではありません。
巡り会いを大切にしたいものですね。
証拠として挙げたいのがこちらの本。まだバーコードというものが付く前の本なのですが、
原価よりも、
高い! 調べてみたところ、各都道府県の中央図書館8つにしか確認の取れない絶版本でした。もはや軽く幻の域です……。
このお店、他にもかなりレアな書物が多くありました。古本屋の部類の中では棚の並びも分かりやすいので、初心者でもお宝発掘がしやすいです。是非貴重な良い本を探してみてください。
フリーペーパーも魅力的
文庫本と合わせて、お土産がてらこんなものを拝借してきました。
フリーペーパーです。本棚に特集が組まれていて、面白かったのでいただきました。
思えばこのような地方のフリーペーパーは、現地まで行かないともらえる機会は無いのでは? ある意味東京では貴重なものかもしれません。
一番のお気に入りは富山の鱒寿司のパンフレット。
紹介される店舗、全部鱒寿司。何だか愉快で、こちらも1枚いただきました。
まとめ
こだわりを持って集められた1万5千冊。各地方の魅力に存分に触れることができ、街道の原点にして「旅の原点」となりそうなブックカフェでした。
ただ、1回寄るだけでは見切れない……! ぜひとも今回限りにせず、足しげく通いたいお店です。
店員さんもとってもフレンドリーで、ひとりで顔を見せるのも抵抗ありません! 皆さんもぜひ、北品川まで足を延ばしてみてください!