旅先で美術館やギャラリー巡りをして、日本とはまた違うアートの世界に身を置くのも旅の楽しみの1つですよね。ユルワもヨーロッパを旅した際には、お腹いっぱいになるくらい美術館巡りをしたものです。
アジアのアートシーンはというと、伝統的な手仕事の美術はもちろんのこと、現代美術もかなり盛んなんです。タイやフィリピンなどの東南アジアの首都圏には現代美術を収めた美術館やギャラリーがあります。
ベトナムでも、従来のプロパガンダ・アート(共産主義を謳ったポスターなど)だけではなく、才能あふれる若手アーティストの作品が、ハノイやホーチミンのギャラリーなどで展示されるようになりました。
そしてここダナンのアートシーンはというと、実は急激にハノイ・ホーチミンに追いつこうという勢いで、盛り上がりつつあるんです。今回はアート好きな旅行者に訪れてほしい、ユルワおススメのダナンのアートスポットをピックアップしてみました。
1.ドラゴンブリッジ
もはや説明するまでもないほど、ダナンの名所として知られていますね。でも、個人的には巨大な現代アートのインスタレーションともいうべき存在だと思ってます。
2013年3月に開通した、全長666mの巨大な橋は、総工費が何と約100億円というベトナム国内でもかなり高額な「アート作品」です。
「世界最長の鉄鋼製ドラゴン」としてギネスブックにも登録されているので、そのユニークさはお墨付き。世界の中で、ドラゴンモチーフの橋を作ってしまうという発想を持つ場所は、はたして他にあるでしょうか?
夜になると、黄、赤、青、緑とドラゴンが色を変え、更には毎週末の午後9時前になると、火と水を噴くパフォーマンスまで用意されています。これがアジアン・コンテンポラリーアートでなく、何だというのでしょうか!?
なにげにドラゴンの目がハート型だったりします。
Nguyen Van Linh St., Hai Chau Dist.
2.ハン川沿いの「彫刻の森」
ダナン近郊には大理石の産地があるため、誰もが気軽に彫刻作品を楽しめるアートスポットが中心部に用意されています。
場所はハン市場やココナッツアイス屋が立ち並ぶバックダン通りのハン川沿いの遊歩道。まだ日が昇り切らない早朝に訪れるのをおススメします。
朝の5時過ぎから朝活で盛り上がっているので、女性の1人歩きでも問題ありません。
彫りの細かい名人技の作品もありますが、中には「こ、これは何だろう?」と唸ってしまうようなコンセプトの彫刻も。無造作に、そしてある意味無秩序に彫像が並ぶ様は、ベトナムらしいと言えばそうなのかも。
3.チャンパ王国の遺跡
ダナンの観光名所として必ず登場するのが、チャム彫刻博物館です。アートや遺跡探訪がお好きな方にはぜひ訪れていただきたいミュージアムです。
かつてベトナム中南部を支配していたチャンパ王国の遺跡から発掘された、貴重なヒンドゥー教美術品が数多く展示されています。
しかも、こちらの博物館は、もとはフランスの極東学院という研究機関の支援でスタートしているので、館内は古さが目立つ者の、どこかヨーロッパ的な雰囲気が漂います。
手を延ばせばあっさり触れてしまえるような、無防備ともいうべき展示方法ですが、古の彫刻が並ぶ空間は、ダナンの町の喧騒を忘れさせる静けさに包まれていて、実はユルワのお気に入りでもありました。
ダナンから足を延ばしてミーソン遺跡へ行く方や、または、ただ静かに古代のアート作品に囲まれた時間を過ごしたい方には、足を運ぶ価値のある場所です。
9時頃から観光客でいっぱいになるので、8時のオープン直後、人がまばらな時間帯を狙って行くこと落ち着いて鑑賞できます。
4.若手のアートセンスに触れられるカフェ2選
もっと気軽に、そして若い世代のキッチュなアートに触れたいということであれば、カフェへ行きましょう。
ベトナム人はコーヒー好きなので、ダナンの街中にも日本以上にカフェがあふれています。ざっと日本の半額以下なので、在住時代はユルワもカフェ巡りをして、お気に入りを見つけては通ったものです。
そんなユルワ御用達カフェの中から、ダナンでも人気のアートセンスあふれるカフェを2つ選んでみました。
Patio Coffee Shop
ブルーの壁にモダンなデザインのタイル、そして色とりどりのテーブルや椅子が、独特な世界を生み出しています。
詳細は確認していないので不明ですが、どうやらオーナーは建築関係のお仕事をしているようで、中2階にオフィスがありました。
ダナンには建築大学と音楽大学はあるのですが、美術大学はありません。そのため、ハノイやホーチミンと比べて美術やデザインの分野で活躍する人がさほど多くはないそうですが、その代わりに建築家がそのセンスを発揮して、カフェやゲストハウスなどをデザインするケースがよくあります。
こちらのPatio Coffee Shopはそんな建築家によるユニークな空間になっています。
Cà Phê Tổ
ダナン市街地中心部を縦に走る「グエン・チ・タイン通り」と「レ・ロイ通り」が、横に走る「ハイ・フォン通り」とクロスするエリアは、何軒かカフェが林立しています。
「パリっぽい」雰囲気だと勝手に思っている場所でもあるのですが、その中にある「トー・カフェ(Tổ Café)」に足を踏み入れると、無数の著名人ポートレートが出迎えてくれます。
リンカーン、チャップリンからジャッキー・チェン、そしてリアーナまで、古今東西の有名人の特徴を見事にとらえたポップな似顔絵は、1枚1枚見ているだけで楽しいものです。街歩きの休憩がてら、お気に入りを見つけてみるのも一興ですね。
更にもう1つアートのお愉しみがあります。店内の本棚にある、ユニークなベトナム人アーティストによるアートブックを自由に閲覧することができるのです。
5.アーティスティックな宿 Memory Hostel
ただアートスポットを訪れるだけでは物足りない、泊まる場所も一ひねりあるところを求める方にピッタリなのが、ハン川にもほど近い街中にあるゲストハウス「Memory Hostel」です。
ダナン出身の建築家がデザインし、セルフビルドしたという手作り感あふれるMemory Hostelは、タイルデザインがおしゃれな上に、清潔感と機能性を備えたドミトリータイプの宿になっています。
2016年の春先にオープンしたばかりですが、すでに旅行者の間では大人気。ベトナム内外の旅行者でいつもいっぱいです。
ユルワも1泊してみたところ、お湯のシャワーも完璧で、エアコン完備な上に、ベッドリネンも清潔で文句なしでした。
6.アートギャラリー巡りはホイアンで
これまでダナンにあるアートスポットをご紹介してきましたが、観光客が気軽に入れるアートギャラリーというのは、残念ながらダナンにはほとんどありません。
無いこともないのですが、お土産用の同じような絵を売っているくらいで、お客さんが入っている様子も見られません。
しかし、場所を変えて、ダナンから小一時間の世界遺産の町ホイアンへ行けば、ベトナム人や在住外国人アーティストによる作品が展示されている、おしゃれなギャラリーが見つかります。
ランタンで彩られた、街そのものが美術館のようなホイアンは、アート好きにはたまらない場所なので、ぜひ併せて訪れていただきたいです。