フランスの学校給食でも出るクスクスは日本でいうカレーのようなもの!?
フランス

フランス名物Couscous クスクス、ご存知ですか?
 
「あ、パリのカルチェ・ラタンで食べた」とか、「え?アフリカの料理じゃないの?」という反応が返ってくることが多いんですけど、実は、フランスの家庭料理……というと、ちょっと紛らわしいですね。正確には、(フレンチに家庭料理はなくて、)ごくごく普通に “フランスの家庭で口にする料理”だし、子どもの学校給食の定番メニューのひとつにもなっています。

フランスでの”Couscous クスクス”は、日本でのカレーみたいな存在!?

日本では、あまり親しみのないCouscousクスクス。でも、フランスでは、学校給食のメニューの定番のひとつにもなっているほどポピュラーです。

家庭でもそう難しくなく作れるし、素材はスーパーマーケットチェーン各社の自社マークが並ぶほどだし、冷凍食品やレトルトも充実。そして、具材も味付けも種類豊富で辛さの調節もお好み次第。発祥は、別の国々……というと、何かを連想しませんか?

 

そう、日本でのカレーみたい(と私は感じているんです。どちらも大好きだからかもしれませんけど)。

 

発祥国は、北アフリカや中東の国々で、レシピの基本は各国ほぼ同じ。主食に何種類もの野菜を煮込んだソースをかけていただきます。

ベジタリアンならそのままで、そうでなければ牛肉や羊肉のグリルやブロシェット(串焼き)、ミートボール、辛いソーセージなどを添えて。1種でも数種でも全部でも、お好み次第です。辛さの調節も、それぞれで。

アリッサという練り唐辛子も、フランスのスーパーマーケットでは、マスタードなどと並んでいます。

 

ごはんと同じような役目をしているのが、semouleスムル(セモリナ: 原材料は小麦)と呼ばれる粒々で、大中小少しずつ違うサイズのものがあるし、産地もいろいろあるんですが、私はスーパーマーケットに並んでいるレギュラータイプを使っています。

 

常備しておくと便利なパスタみたいな存在、semouleスムルってこういうものです。

ところで、この頃ではsemouleスムルでなく、Couscous クスクスと表記されていることが多いんですが、Couscous クスクスは料理の名前です。

このsemouleスムルはいろんな料理に使えるので、お米やパスタみたいに常備している家庭も多いです。

 

多くのタイプがオリーヴオイル(またはバター)と塩少々を加えて5分程度、ぬるま湯で戻すだけ!なので。

 

ごはんを炊いたり、パスタを茹でるより、早いですよね。

 

レトルトも、かなり充実。

コンビ二・チェーンはないままのフランスですが、レンジで温めるだけのレトルト食品は、そこここで買えます。

 

スーパーマーケットの入り口脇に、ちょっとしたイートインスペースを設けているところもあるし(電子レンジはモチロン、無料Wifiつきです!)、クスクスも、ひとり用、ふたり用といった単位のパックがあって、値段も内容も味も、それぞれそれなり。

 

同じスムルを使ったエスニック料理も、いろいろ出てるんですが、最近驚いたのはこちら。

Tajinタジン自体は、すでに様々なメーカーから出ているんですが、耐熱プラスティックの容器が、本物(専門の陶器を使います)を連想させる形のミニチュア版。

 

せっかくなので、本格的なマルセイユの店も見ていただきたい。

ルーツのひとつアフリカ大陸は、地中海の玄関口とも言われるマルセイユとは大海原を挟んで目と鼻の先。

移り住んできて店を開いている本格的な味の『名店』がいっぱいあって、パリに支店を持つ店も。

気候風土に共通する部分もあるせいか、感じる美味しさひときわです。野菜もたっぷりで栄養バランス取れているので、疲れたときにもお薦め。

 

駅から程近い地区に、エスニック料理店や食材店が連なる一角があって、看板の文字にも店構えにも、異国情緒たっぷり。プチ旅行気分になります。

この日は港で午後1番に用事があって、夫は(メトロで一駅隣の)駅近くにいる日だったので、ランチを一緒にしようことになったんですが、結局は30分ほどしか時間がない!という羽目に……。でも、そんな時にはクスクス!が解決(こんなところも、カレーみたいだと思っている理由です)。

 

さて、向かったのはこちら。マルセイユ、サン・シャルル駅の大階段を下りてすぐ右に曲がって、徒歩2分ほど。

もう、この路地に差し掛かったあたりから、スパイシーな香ばしい匂いが漂っています。そして近づいていくと、じゅーじゅー焼かれる肉の音と煙と香ばしい空気が。

 

髪や服に匂いがついたら、と気になりますよね。

でも、安心。通りを挟んで反対側に、客席だけのスペースも持っているんです。

午後1時をとっくに過ぎている時間だったので、待ち時間はゼロ。

正面の店舗は、男性客中心なのに対して、こちらは女性だけのグループか、男女のカップル。

 

写真では見られませんけど、この左手の大テーブルには、髪をスカーフで整えている妙齢女性5人グループが、ちょうどコートを着始めていたところでした。

アラビア語で、かなり賑やかに笑い転げながら、バッグ片手にお互いを制しあって大声をあげて……

 

最後は、お店の人にお札をつかませることに成功したひとりが支払いを済ませ、後の4人は、お礼を言っている様子(風に見えただけで、内容は一切わからないままですけど)が、なんだか日本の昭和のドラマでよく見たことのあるような光景で、噴き出しそうになりました。

 

そうして、彼女達を送り出した店員さんは、「お待たせしてすみません」という代わりに、「はい。これで、ロマンチックな食事をどうぞ」と、シクラメンの造花とお花の形の調味料入れを、隣のテーブルからちゃちゃっと持ってきて、白い紙ナプキンでテーブルセッティングを10秒で完了。

パンと青唐辛子ペーストは、無料でついてくるサービスです。

 

さて、時間がないので、急いで注文。

私は、普通のクスクスセット。

牛肉、または、羊肉のステーキか、羊肉ミンチボール、またはメルゲーズ(辛いソーセージ)から選べるので、ミンチボールを。

蒸したスムルにひよこ豆やオリーブと野菜たっぷりを煮込んだ、ソースをかけていただきます。(写真手前)これで、4ユーロ(約540円)。

 

夫は、ブロシェット3本付き(3ユーロ増し。牛肉・羊肉・メルゲーズで、組み合わせ自由)なので、7ユーロ(約950円)

 

異国情緒たっぷりなのは、料理も値段も同じ。ふたり合わせても、フランスの普通の日替わり定職のひとり分の値段かその以下、です。

サービス係は、モチロン、フランス生まれではないらしく異国訛りのある人(私もですけど)。

写真を記事に載せたいから撮らせてと言ったら、まずはどびきりいい笑顔の写真をくれたんですが、直後「あ、やっぱり、ちゃんと平らげた写真の方がいいんじゃない?」と、この通り。

スムルは半分残してしまったものの(並べられたときの写真でわかる通り、お米なら2合はあろうかというボリュームです)、あとは、きっちり完食! でも、この状態だとスムルを残させないために野菜ソースお替りを勧められます(無料)。

サービスで、自家製ハーブティーを運んでくれたんですが、すでに25分経過。お会計を済ませて、カップ片手に表へ。

心から温まります。

この記事を書いた人

ボッティ喜美子

ボッティ喜美子仏日通訳翻訳・ジャーナリスト

フランス在住。東京で長らく広告・PR業に携わり、1998年に渡仏。パリとニースで暮らした後、2000年からパリジャンの夫の転勤で南米ブエノスアイレスへ3年、出産も現地で。パリに戻り、地中海の街マルセイユへ転勤して13年。南仏拠点で時々パリの実家へ、家庭優先で仕事しています。Framatech社主催の仏ビジネスマン対象のセミナー『日本人と仕事をするには?』講師は10年目(年2回)。英語・スペイン語も少々。

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