皆さんは旅行に出かけたらどのように楽しんでいますか? 私は旅行に出かけたらいくつか心掛けていることがあります。それはまず地域密着のお店でその土地の美味しいものをいただく、伝統工芸にふれる、そして、その土地の歴史を知るということです。訪れた場所を良く知るにはやはり歴史を知るのが一番。今回は山形県鶴岡市にある庄内地方の歴史を感じることができる「致道博物館」のご紹介です。
致道博物館とは
「致道」という名称は「君子学んで以て其の道を致す」という論語の一節を由来としています。藩政時代に武士の弟子たちの教育機関として藩が設置した藩校にも「致道館」という名がつけられ庄内藩は教育熱心でした。致道博物館には旧庄内藩主の酒井家より寄贈された重要文化財に指定されている建物が展示されています。歴史情緒に浸りながら明治時代の見ごたえある建築物も見る事ができます。
敷地内には4つの歴史的建造物が移築されています
敷地は広くありませんが、受付で簡単な地図をもらうことができます。まず、訪れたのは旧庄内藩主御隠殿。幕末に江戸中屋敷を移築した酒井家11代の隠居所。明治後は酒井伯爵邸となり一部が現存しています。
靴を脱いで中に入りましょう。
中には江戸時代の鶴ヶ岡城下の模型が展示されています。庄内藩の本城として作られた鶴ヶ岡城は現在解体されており城址公園としてその面影を残しています。
武士の足腰を鍛えるために推奨したという磯釣りと、その際に使われていた庄内竿の展示などがしてある廊下を進んでいきます。
通路の先には広々とした奥座敷。
奥座敷からの眺めが最も美しいとされる酒井氏庭園は国指定の名勝に指定されています。四季折々の自然を楽しむことができる静かで趣のある庭園。
奥座敷に座りしばらく眺めていると鳥のさえずりも聞こえてきて、目に優しい木々の緑に癒されます。
こちらは重要文化財に指定されている多層民家。出羽三山の山麓の民家で豪雪地帯に適した構造。明治時代には養蚕業が盛んとなり高窓が取り付けられています。
内部は昔の生活道具や農具が展示してあり、過酷な自然環境の中でも快適に暮らす住まいの工夫などもほどこされており、昔の人の知恵に驚きます。
こちらも重要文化財に指定されている旧西田川郡役所。左右対称の均整のとれたルネサンス様式を取り入れた明治初期の擬洋風建築。明治時代になると文明開化が進み建築様式にも表れていますね。
こちらも重要文化財指定の旧鶴岡警察署庁舎。中には明治時代の取調室などが残されています。水色の外観は警察署とは思えないくらいお洒落です。
移築された建物がコンパクトにまとまり1時間あれば見学ができます。ぜひ鶴岡に出かけた際は立ち寄ってみて下さい。