江戸時代まで不毛の土地だった福島県の郡山。明治時代以降、乾いた大地を潤いの大地に変えるべく国をあげての事業がとり行われました。それが日本三大疎水の一つ「安積疎水」の開拓。開拓者の士気と団結を高めるために伊勢神宮の御分霊を祀る開成山大神宮が設置されました。今回は、歴史を感じる開成山大神宮と安積疎水の開拓の歴史を残す開成山公園をご紹介いたします。
東北のお伊勢さま 御祭神は「天照大御神」
明治維新後の日本は失業した武士が多く国内は武士の不満で混沌とした状況でした。そんな中「安積疎水」の事業を達成させるべく、地元の豪商などが開拓にのりだしますが、資金や労働者が不足。そこで、救いの手を求められたのが新政府の要人だった大久保利通です。
失業した武士を移り住ませ刀を鍬に変え開拓事業に従事させました。安積疎水の開拓事業こそが武士の救済と国の繁栄に繋がると信じていたのです。しかし、様々な場所から連れて来られた武士たちは、まとまりがなく争いばかりしていたといわれています。
そこで、地元の豪商達は明治天皇の許可を得て伊勢神宮と同じ「天照大御神」を祀る開成山大神宮を造ったのです。皇室の御祖先でもあり神道における最高神とされる神様を祀る事で当時開拓にあたった人々の心理的な団結を図りました。
木々の中に作られた開成山大神宮。鳥居をくぐると郡山の街中とは思えないくらい神聖な雰囲気になります。
階段をのぼっていくと神門があります。
神門に置かれているのが「短冊清め」(100円~のお気持ちを賽銭箱に入れます)
短冊に日頃気になっている事、嫌なことなどを書いて桶の中の水に浮かべると短冊が水に溶けていきます。嫌な気持ちを水に流して清らかな心でお参りができます。桶の水は難を転じて福となすと言われている「南天」でお清めされたお水です。
拝殿でお参りをしましょう。天照大御神の他、農業、商業、工業や衣食住の神様でもある豊受大神、神武天皇も祀られています。
伊勢神宮の御分霊でもあり、歴史背景を知っていると厳かな気持ちでお参りをすることができます。
市民の憩いの場 開成山公園
開成山大神宮のお参りが終わったら向かいにある公園に行きましょう。
安積疎水の開拓者の心のよりどころとして五十鈴湖を中心に整備されました。当時植樹された桜は春になると満開になり、郡山の桜の名所にもなっています。
安積疎水の開拓を讃える開拓者の群像。「一本の水路」に日本の明るい未来をたくした大久保利通もいます。
五十鈴湖。名前は伊勢神宮の前を流れる五十鈴川に由来しています。
公園内は整備が進み新しいカフェやハンバーガー屋さんもできています。今でも市民の憩いの場として親しまれています。
いかがでしたでしょうか。日本遺産にも登録されている開成山大神宮。歴史の重みを感じながらぜひ訪れてみて下さい。
●開成山大神宮