この時期だけ解禁される牡蠣「ブラフ・オイスター」はのど越しがたまらない。
ニュージーランド

ニュージーランドという国はもともとイギリスからの移民がつくった国なので、かつてはNZらしい食べ物と言えば「フィッシュ&チップス」くらいしか思い浮かばない、食好きの旅行者にはちょっと残念なところがありました。

でも、そんな状況もここ最近ではずいぶん改善され、以前記事にした「世界的に有名なハンバーガー」のビーフやラム肉、そして「NZ特産のムール貝」など、ガイドブックにひっぱりだこの“ニュージーランドらしい食べもの”も多くなってきています。

その中でも特に、近年注目を浴びている食材があります。

それは、NZの気候を生かして誕生した、日本人にはおなじみの海の幸「牡蠣」! ニュージーランドにしかない、ここでしか食べられない牡蠣というのがあって、その名も「ブラフ・オイスター」と言います。

「ブラフ・オイスター」とは、いったいどんな牡蠣なんでしょう? 日本の牡蠣との違いは? オークランドの港沿いのレストランで食べてきたので、レポートしてみましょう!

NZ特産品「ブラフ・オイスター」を求めて

オークランドの港沿いに、「ヴァイアダクト」というちょっとおしゃれなレストランが軒を連ねる一角があります。夏の終わりのある日、僕は友人らとブラフ・オイスターを求めてその一角にあるシーフードレストラン「Marvel Grill」を尋ねました。
オークランド港ぞいのレストラン街
▲オークランド港沿いのレストラン街

海に面した外のテーブルに座ると、飲み物の注文を取りにさっそくウェイターがやってきます。How are you?から始まる会話を一通り交わした後、さっそく聞いてみたかったことを尋ねてみました。

「もうブラフ・オイスターは入荷してますか??」

さっそくウェイターは厨房に確認に行き、戻ってくるなり「ブラフ・オイスターはもう入荷してあるよ。何個注文する?」と話してくれました。友人らと行ったので、もちろん1ダース(12個)を注文。

続いて「調理方法は何にする?」とも聞かれましたが、これは即決で「生でお願いします」。そして、待つこと10分でようやく「ブラフ・オイスター」と対面することができました。

ブラフ・オイスターって、こんな牡蠣なんです。ちょっと小ぶりで、丸みを帯びているのが特徴的ですね。

レモンを少しだけ絞っていただいてみました。お味は、日本で食べる生牡蠣よりも、どちらかというとさっぱりした味わい。口に含むと、つるっとそのまま食べてしまうようなのど越しがたまりません。

さっぱり味で優しい食感なので、ワインと一緒にいただくとよく合いそうです。産地直送だけに新鮮そのもので、あっという間にいくつも食べてしまうほどのおいしさでした。

Marvel Grill
1 Jellicoe St, Auckland, 1010 ニュージーランド
公式HPはこちら

ブラフ・オイスターって一体なに?


▲ブラフ・オイスターの殻。日本のに比べて丸みがありますね。

そもそも、「ブラフ」というのは土地の名前のことで、北島と南島に分かれるニュージーランドの、南島の最南端にある街として知られています。

ブラフ

こちらの世界地図でブラフの位置を見てみてください。その南側には、小さな島を別にすればもう南極しかありません。南極からの海流は水温が常に低く、冷たくきれい。そんな海水を取り込んでゆっくりと育つ牡蠣は、環境に見合った小さくさっぱり味の牡蠣に育つわけです。

そんな独特の環境でしか育たない牡蠣のブラフ・オイスターは希少性が高く、主にニュージーランド国内で消費されています。出荷の時期も決まっていて、1年のうちの半分ほど、秋から冬にあたる3~8月までがブラフのシーズン。

日本人からすれば南半球の果てでしか採れない“幻の牡蠣”とでも呼びたい特産品と言えるでしょう。冒頭で僕がレストランに行ったのはちょうど3月でした。だから「もう入荷してる?」といの一番に聞いたんですね。

世界に7種類ほどしかない牡蠣の種類


▲オークランドの港。新鮮な牡蠣やシーフードが食べられる

実は牡蠣って、世界を見回しても7種類ほどしかないってご存知でしたか? 牡蠣の種類自体は150種類以上あるようですが、食材としてちゃんと流通しているのはたった7種類しかないんです。

日本の牡蠣は「真ガキ」とか「岩ガキ」などと呼ばれていますが、英語ではパシフィック・オイスターといい、名前の通り太平洋で採れる牡蠣です。なので海外のレストランで生牡蠣を注文するときは「パシフィックオイスターをください」と言えば、日本の牡蠣に近いものがでてくるでしょう。

アメリカ大陸の東側で採れるのが「ヴァージニカ」、同じく西側で主に生産される「オリンピア」という牡蠣もあります。アメリカに旅行に行った方はご存じかもしれませんね。また、ヨーロッパでは「ブロン」のブランド名で通っている平たい殻の牡蠣が知られています。

ブロンは現在は生産量が減少しているものの、フランスを中心に「ヨーロッパのご当地牡蠣」といえばブロンとされているようです。

また、ニュージーランドのお隣の国、オーストラリアでも国内で主に出回っている「シドニー・ロックオイスター」という、これまた地域限定の牡蠣があります。

牡蠣の歴史には日本人が深く関わっている……!?

さて、全7種類のうち6種は上に挙げました。最後の1種類の名前は「KUMAMOTO」という牡蠣です。

そう、これ、日本の熊本県が原産の小さな牡蠣です。でも日本では現在ほとんど流通していません。なんでも、戦後のドタバタの中でこの「クマモト」の“タネ”となる牡蠣はアメリカに輸出されてしまい、日本ではそれ以来取れなくなってしまったそう。

なので日本人が「クマモト」を食べたければアメリカに行くしかないという妙なことになってしまっています。牡蠣を巡る歴史には日本と日本人が深く関わってるようなので、興味がわいた方は調べてみると面白いかもしれません。

一度は食べたいブラフ・オイスター


▲最後にもう一枚、ブラフ・オイスター。NZで必ず食べたい食材です。

さて、最後に話を戻して世界7大オイスターの一角を占めるニュージーランドの「ブラフ・オイスター」。これは間違いなく世界で最も希少価値のある牡蠣でしょう。

1つ5ドル前後(約400円)もしますが、牡蠣好きの日本人としてはブラフのさっぱりした味わいを知りたいという方も多いのではないでしょうか。

せっかく南半球で季節が逆なので、暑い夏を忘れてニュージーランドの冬の味覚を味わうのも面白いかもしれませんね。

この記事を書いた人

外山みのる

外山みのるアウトドアライター

1984年愛知県生まれ。ニュージーランド(オークランド)在住。20代はバックパッカーや一万キロ海外自転車旅など世界を放する。2015年に念願だったアウトドア天国NZへ移住し、国際結婚・留学・仕事と毎日奮闘中。NZウェブマガジン『ネイチャーニュージーランド』運営。多方面に観光、エコツアー情報を発信しています。

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