世界中のいろいろな機関が毎年「世界で最も安全な国ランキング」というのを発表していますが、ニュージーランドはそのすべてのランキングで常に5位以内に顔を出している国です。町を一歩出れば牛や羊の放牧地が広がり、街ゆく人々もフレンドリー、日本人にとっても、なんとなくとても安全なイメージがありますよね。
でも実際には、ニュージーランドはスリや置き引き、車上荒らしなどの軽犯罪が多く、犯罪発生率は日本の8.4倍もあるんです! この記事では、オークランド在住の僕が感じる現地の治安の肌感覚をお伝えしながら、「ホントにニュージーランドは治安がいいの?」という疑問について書いてみたいと思います。
ニュージーランドは本当に安全な国?
「ニュージーランドの治安はどうですか?」と聞かれたら、僕はきっと
と答えると思います。
一般的に言って、昼間のニュージーランドはとても安全です。町を歩けば観光客は当然のように一眼レフを首からぶら下げて歩いていますし、女性の1人歩きも昼間ならほとんど何の問題もないですね。
ニュースや新聞をみれば、人が亡くなるような強盗事件があれば1面トップクラス扱いです。日本人の僕から見ると、NZの新聞のトップ記事を追っているだけでも「ニュージーランドは今日も平和だなぁ」と思わずにはいられません。凶悪犯罪は本当に少ないと思います。
でも、最初に書いた通り、こと「軽犯罪」に限っていえば発生率は日本の8.4倍と、眉をひそめずにはいられません。置き引きや車上荒らし、空き巣、恐喝や暴行のような事件はとても多く、残念ながら性犯罪の発生率も日本より高いとされています。「ニュージーランドは安全」というイメージとは、実際はちょっと違うのかもしれません。
観光客が実際に遭ってしまった事件
イメージや大ざっぱな数字よりも具体例の方が分かりやすいと思うので、最近見聞きした事件を紹介してみます。(幸運なことに僕自身からの具体例はまだありません。)
事例1:車上荒らし
つい最近も新聞にこんな事件が載っていました。 レンタカーを借りてニュージーランド中を旅していたアメリカ人カップルが、オークランドのホテルに荷物を運び入れようと車を私営パーキングに停めていたら、わずか15分足らずの間に窓ガラスを割られて貴重品やカメラを取られてしまったそうです。
「写真データだけでも返してほしい……」という悲痛な声でその記事は締めくくられていましたが、明らかに狙い撃ちされた事件らしいのできっとデータは帰ってきていないでしょう。
事例2:置き引き
これもつい最近ですが、友人が 「図書館で本を読んでいたら、その隙に荷物を盗まれた!」 とSNSで報告をしていました。この被害は高額なものではなかったようですが、ネットの体験談を拾ってみると、この手の「~~している隙に荷物を取られた!」という被害は比較的多く起こっているようです。
事例3:強盗(傷害)
2016年にはアジア人にとって嫌な事件がありました。
オークランドの街のど真ん中にある公園や目抜き通りで、若いアジア人女性(確か中国人留学生)が強盗に襲われ財布を奪われる事件が立て続けに4件発生して、ちょっとしたニュースになりました。犯人は捕まったようですが、組織的犯行ではなく、別々の犯人が同じようにアジア人を狙って強盗をしたというのもちょっと引っかかるところです。
そのほかにも、ニュージーランドに住んでいると「車上荒らしに遭った!」とか「昨日家が空き巣に遭った!」という生の声を時折耳にします。
総じて、現地に住んでいる肌感覚としては、
と言ったところでしょうか。
車上荒らしや置き引きは気を付けていないといつか遭うかもしれない……と、平和と言われるニュージーランドでも、まったく無防備で旅行できるわけではないようです。
NZで犯罪に巻き込まれないための対策は?
レストランなどで荷物を置きっぱなしにしないとか、レンタカーの中に貴重品を残さない等の対策なら、きっと旅行経験者なら耳にタコができるくらい聞いていると思うので、ここではニュージーランド旅行ならではの対策を書いてみます。
NZでの防犯対策1:お金はエフトポスで使う
ニュージーランドではほとんど現金を持ち歩く必要がありません。僕自身も、もう1年以上現金は持ち歩いていません。
これはニュージーランドにおけるデビットカードにあたる「エフトポス」というカードがどんな小さな商店でも使えるくらい普及していて、買い物をすると銀行から直接引き落とされるので、お金を持ち歩く必要がないからです。エフトポスは現金が不要になるので、防犯にも役立ちます。
現地で銀行口座を開けられるのは6カ月以上長期滞在する人のみなので、短期旅行者には向きませんが、ワーホリを利用される方は「エフトポス」を利用すると安全でしょう。
NZでの防犯対策2:ウーバーを使う
話題の配車サービス「UBER(ウーバー)」を利用するというのも、個人的にはアリと思います。
要は夜は歩かずタクシーを使いましょうということですが、NZでは流しのタクシーはほとんど見られないので、どちらにせよ電話で車を呼ぶ必要があります。
それなら、安くて済むウーバーを利用するのも選択肢でしょう。都市部なら普及していますから、オークランドで夜更けまで飲んだ、なんて時は重宝すると思います。
NZでの防犯対策3:危ない地域を知る
基本中の基本ですが、現地に着いたらまず、夜歩くと物騒な地域を押さえましょう。
オークランドでいえば、中心部のちょっと外れにある通称「Kロード」というkarangahape Road沿いは、風俗店やパブが並んでいて夜の1人歩きには向きません。
僕も夜歩いていたらホームレスらしき人にいきなりなじられたことがあります。(苦笑)「田舎から出てきたアジア人がドウノコウノ……」といきなりです。いまだにアレは何だったんだろ……と思いますが。ちなみにこういうのは無視するのがいちばんです。
また、オークランドの南部の地域は貧困層の多く住む地域とされています。実際どこまで治安が悪いのか分かりませんが、確かに明らかに古い家が多いエリアは雰囲気がよくありません。観光で行くことはほとんどないと思いますが、一応頭に入れておきましょう。
もしNZで犯罪に遭ってしまったら
ニュージーランドでは、警察も消防車も救急車もまとめて「111」で繋がります。覚えやすくていいですね。置き引きなどの被害は直接警察署に行って届け出を出します。
電話のときに通訳が必要なら、無料通訳の「Language Line」という組織がありますので、電話口で日本語通訳が必要と言えば対応してもらえます。その際は電話を切らずに待ちましょう、3者面談の電話版みたいに、日本人通訳が間に入ってくれます。
おわりに
以上、実体験や身近な例をとってニュージーランドの治安の良し悪しを書いてみました。最後にまぜっかえすようなことを言いますが、なんだかんだでやっぱりニュージーランドは安全な国です。短期旅行で被害にあうことも稀でしょう。
でもそれは、「自分は今海外にいる」という意識さえ失わなければ、ということです。最低限の防犯意識は保って、ニュージーランドを楽しみましょう。
ニュージーランドの治安情報は、外務省の海外安全ホームページに詳しく掲載されています。