例年よりも暑くなるであろう今年の夏を、コンクリートジャングルの東京でどう乗り切ろうか考えているあなたに、背筋も凍る展示「水木しげる×すみだ水族館 水の妖怪トンネル」をご紹介します。
ここはゾクゾクするほど本格的なお化け屋敷空間。この夏どこよりも怪しげで涼しげなスポットに、妖怪たちに見つからないようひっそりと潜入してきました。
「すみだ水族館」ってどんな水族館?
美しい緑が目を引く水槽は、入り口を入ってすぐのところにあります。こちらの水槽が従来の水槽と違うところは、酸素ではなく二酸化炭素を送り込んでいるということ。
水草に水中の二酸化炭素を使った光合成をさせ、それによって生じた酸素で魚や微生物が呼吸しているという、自然界にほど近い環境をあえて水族館の水槽の中に作り出したということに、感動を覚えずにはいられませんでした。
水族館で繁殖させているミズクラゲ。
珍しいクラゲたちに釘付けになってしまいました……。こちらのお二方とは初対面です。
アクアラボでは、水族館スタッフが自ら、実際に行っている飼育方法や研究活動について実演や報告を行います。また、こちらではミズクラゲの成長段階も見ることができます。
みんな大好きナンヨウハギ(ドリー)とカクレクマノミ(ニモ)もいました。
とても愛らしいチンアナゴとニシキアナゴ。
仲良しネコザメの邪魔をする魚たち。
大人気のペンギン。岩場より水場の面積が大きいプールや、水中で泳いでいるペンギンに給餌するなどの工夫は、水族館で暮らすペンギンたちにも、野生のようによく泳いでもらうための工夫なんだとか。なるほど。
眠そうにしているオットセイは抱きしめたくなるほど可愛かったです。
「東京金魚ワンダーランド」
多種多様な金魚たち
それではそろそろ本題に入っていきましょう!と言いたいところですが、その前にもう1つのすみだ水族館の夏祭りイベント「東京金魚ワンダーランド」をご紹介させていただきます。
夏の風物詩である美しい金魚の展示を、江戸の情緒溢れる東京下町の「すみだ水族館」で見ることができるなんて、とても贅沢!
江戸をテーマにした金魚展示エリア「江戸リウム」では、色も形もさまざまな約20品種、約1,000匹の金魚たちが泳いでいます。
品種改良を重ねて誕生した存在感のある金魚たちは、うっとりと見とれてしまうほどの美しさでした。
人為的に作り出された観賞魚、金魚。ナチュラルではないその姿からか、金魚は水族館にはふさわしくない魚というイメージが強くなりがちです。それでも金魚は私たち日本人にとって癒しの存在であり、平和の象徴でもあります。
金魚文化が花開いた江戸中期頃から、人々の夏の思い出の傍らにはいつも金魚がいました。日本人と金魚が共に歩んできた歴史を考えると、個人的には水族館で金魚を展示するのは理にかなっていると思います。
うわー、これはもう懐かしいの一言に尽きます。この写真から連想させられる光景は誰しもが一緒なはずです。そう、”夏祭りの金魚すくい”です。
金魚のルーツを探ろう
思えば今まで金魚のルーツについて考えたことなどなかった気がします。
金魚のルーツについて実際の魚(金魚)を用いて順を追って分かりやすく解説してくれている展示を見つけました。
何事もルーツを知らなければ物事の本質を知ることができない。ということで、ルーツを探るという作業はとても大切です。金魚のルーツはフナだったんですね。聞いたことがあったようなないような……。
そして面白いのは、金魚は人が手をかけ続けなければ先祖返りして(フナに戻って)しまうという点です。日本人と金魚は目には見えない固い絆で結ばれているんですね。
金魚の飴細工
東京ソラマチにも店舗を構える伝統飴細工専門店、浅草・飴細工「アメシン」が今回のイベントのために新たに制作した金魚の飴細工10種類は、飴とは思えない完成度の高さ。
精巧に作りこまれた金魚たちは、今にも泳ぎ出しそう。さすがは日本随一の技術を誇る飴細工店です。こちらはすみだステージ付近に設置してありますので、お見逃しなく。
「水木しげる×すみだ水族館 水の妖怪トンネル」
フォトスポットで心霊写真を撮ろう!
そしてとうとう「水の妖怪トンネル」にやってきました。実はお化けの類がとても苦手な筆者。恐怖心を感じながらも、恐いもの見たさで「ゲゲゲの鬼太郎」を見ていた幼少期を思い出しました。
入り口から既にひんやりとした空気が漂っていますが、ドキドキしながらいざ中へ。
おっと、トンネルに入る前にフォトスポットがありました。
ここはフラッシュ撮影がOKなポイントなので、フラッシュをたいて撮影させていただくと、なんと背後に妖怪が現れました。これは面白い! ちなみにここから先のフラッシュ撮影は禁止です。
怪しげ満点なトンネルは中毒性抜群
甘いアロマの香りに導かれるようにトンネルの中に入ると、そこには確かに人間の棲む世界とは違う異世界が広がっていました。ただでさえ気味悪いムードなのに、おどろおどろしい音響と怪しい照明や映像が一層恐怖心を掻き立てます。
約50mのスロープの壁と天井に約5,000枚の鏡を貼り付けた「クラゲ万華鏡トンネル」がここまで本格的なお化け屋敷空間に化けるとは……驚きを隠せません。
※アロマの香りは昼と夜で違います。
どうやらここには沢山の妖怪が潜んでいるようです。見つからないようにそ~っと移動しましょう。
水槽の中や壁面には「ゲゲゲの鬼太郎」の作者である水木しげるが描いた「河童」や「大蛸の足」「化け鯨」「海月の火の玉」「金魚の幽霊」など、”水”にまつわる9種類の妖怪たちが登場します。
妖怪とクラゲのコラボは想像していたよりもずっと不気味な雰囲気を醸し出していましたが、じっくり見ているとなんだか癖になってきます。特に妖怪画の中に影を落とすクラゲが、かなりいい味を出していて最高でした。
こちらは私のお気に入り、「海月の火の玉」です。水中をゆらゆらと漂うクラゲと背景の映像がマッチしていて、なんとも涼しげで幻想的な作品(展示)だと思いませんか?
妖怪が登場する瞬間からスーっと消えていくまでアニメーションになっている演出もかなり粋なので、是非そこにも注目していただきたいです。
妖怪をイメージした特別メニュー、「目玉おやじの目玉パフェ」はいかが?
こちらは水族館内のペンギカフェにて、1日20食限定(税込500円)で販売されている「目玉のおやじの目玉パフェ」。
イチゴソースのかかった牛乳プリンの上にベリーと塩バニラのソフトクリームをトッピング。そしてその上には目玉のマシュマロがのっています。
実際食べてみたのですが、甘さ控えめでとても美味しかったのでおススメです。是非記念に食べてみてください。
肝試しの記憶が蘇る、貴重な「水の妖怪トンネル」体験ができました
私はすっかり「水の妖怪トンネル」にハマってしまい、計4回ほど行き来してしまいました。アニメーションで妖怪が登場するシ-ンは何度見てもゾっとしますが、その感覚が楽しくてたまらなくなってしまったのです……笑。
ただ子供にはかなり恐いようで、足早に通り過ぎる子、泣きじゃくる子、恐くないと強がりながらも目を塞いでいる子などがいて微笑ましかったです。
しかしながら大人にとっては背筋も凍る涼しさだけではなく、懐かしさを感じられるノスタルジックな空間でもあります。甘いアロマの香りは駄菓子屋を、薄暗い照明は肝試しの記憶を思い起こさせ、思わず足を止めて懐かしい夏の思い出に浸ってしまいました。