いざ、海中探検!伊東の遊覧船「イルカ号」の海底探検室
日本

海中展望室

皆さんは遊覧船が好きですか? 私は観光地に行くと必ずといっていいほど遊覧船に乗船します。船で長旅となると船酔いが大敵になるのに対し、遊覧船は気軽に乗船できて時間も短め、さらに船体が大きくあまり揺れないというイメージが強いです。たまにひどく船酔いをしてしまう筆者でも、遊覧船ならば寄ってきたカモメに餌やりする余裕だってあります。

今回はそんな筆者が不意に出会った、常識を覆すある遊覧船について書かせていただきたいと思います。筆者の遊覧船体験至上初となる、まともに立っていられないほど揺れた「はるひら丸イルカ号」は、筆者の地元である「伊東マリンタウン」から出航しています。綺麗な伊東の海を体感すると共に、海の雄大さや厳しさも感じ取ることができる「イルカ号」の船旅がおススメの理由とは? 実際に乗って確かめてきました。

まずはじめに

受付
まずは「伊東マリンタウン」内のチケット売り場にて受付を済ませましょう。チケットカウンターにいるおばあちゃんはとってもチャーミング。地元のおばあちゃんとちょっと世間話をして心がほっこりしたところで、いよいよ「イルカ号」とご対面です。
イルカ号
イルカ号
イルカ号
名前通りイルカを天井にあしらった「イルカ号」は、存在感抜群。これから遠くは伊豆大島、富士山、天城連山、初島を望み、近くは手石島、汐吹岩、与望島など大小、数々の名所を約45分にわたって巡る旅へと出発です。よろしくね、「イルカ号」!

海底探検室でワクワク海中探検

階段
階段
約90名が乗船可能な「イルカ号」ですが、なんとこの日は貸切状態。席も選び放題で迷っていたところ、ガイドさんに声をかけていただきました。「もしよろしければ座る前に下の階へどうぞ」ということで、早速階段を降りると……
海中展望室
うわー、なんだか潜水艦の中みたい! そうなんです、「イルカ号」の正体は半潜水艦式海中展望船だったんです。つまり階段を下った先にあるこちらのお部屋からは海底が見えちゃうんです。それにしても遊覧船の中にこんな空間があるなんて驚きですね。
魚
魚
魚
冒険心が掻き立てられる海底探検室で、ガラス越しに沢山の魚たちとご挨拶。魚たちと同じ目線で海の中を覗くことができるなんて感激です。ちなみにここを訪れる魚は季節によって違うようで、いろいろな種類の魚を見ることができます。夢中になって子供のようにガラス越しに魚たちの姿を追う筆者ですが、こんなことができるのも貸切だからこそ。乗客が多いときは海底探検室は入替制になるそうです。
海底
この日の海中の透明度はイマイチでしたが、日によってはエメラルドグリーンの美しい海が見れるようです。約10分ほど海中探検をして、いよいよ「イルカ号」出航の時刻がやってきました。

※海底探検室は「イルカ号」が乗船場に碇泊している間のみお楽しみいただけます。船が動いている間は海底探検室にとどまることができません。また、出入口も封鎖されます。

いざ、出航!

海上
この日の最終便に乗船した筆者。夕陽に向かって海の上をレッツゴー!
島
張り切ってカメラを構えたはいいものの、出航早々結構船体が揺れています。ガイドさんが丁寧に見どころを解説してくれているのに、あまりの揺れに全く集中できません。
海
正直言ってこんなに揺れる遊覧船に乗船したのは人生初です。確かにこじんまりした遊覧船ではありますが、それにしても漁船並です。想像を絶する揺れに戸惑いを隠せない筆者は、このままだと船酔いしてしまうという危機感から、急いで外に飛び出しました。
夕陽
残念ながら終始ガイドさんの船上から見える島々のうんちくに耳を傾ける余裕はありませんでしたが、外に飛び出した途端に見えたこの景色に心奪われました。水面に反射した夕陽にうっとりしているうちに、心なしか揺れも落ち着いてきた気がします。いずれにせよ、ギリギリのところで船酔いせずに済んで良かったです。ちなみに昼間の航海ならば、クラゲや群れをなす魚たちと遭遇できるチャンスがあるかも!?

見逃せない景観ポイント

ここで伊豆ならではの景観ポイントをご紹介します。まずは手石島。この島は、相模湾の沖合700mに浮かぶ島で、伊東市所有の無人島です。実はこの島、見る角度によってはゴリラの様に見えるんです。

続いて伊東八景の一つになっている汐吹岩。断崖絶壁に開いた洞穴に波が入った時、洞穴から潮が吹きあがる様子が見えることから名付けられたようです。なるほど、興味深いですね。潮の干満や波などの条件がそろえば豪快な潮吹きが見られるということで、この日はダイナミックな潮吹きを見ることができたのですが、カメラには抑えられず……

最後にご紹介する海に浮かぶ2つの島与望島は、その間にそびえ立つ日蓮上人像にも注目です。どうやらこの島には逸話が隠されていそうです。もしもじっくりと海上の景色を拝む心の余裕のある方には、是非伊豆の絶景を目に焼き付けていただきたいです。

遊覧船の定番、カモメの餌やりを楽しもう

カモメ
外に飛び出したついでに、せっかくなので定番の遊覧船でカモメの餌やりに挑戦してみました。本当は「イルカ号」の背中の360度大パノラマ展望デッキに行ってみたかったけれど、この日は風が強かったので断念。
カモメ
餌のかっぱえびせん(船内で100円で購入)を手にした瞬間、おびただしい数のカモメたちが集まってきました。みんなナイスキャッチ! カモメって意外と器用なんですね。
カモメ
伊東の海上を飛び交うカモメたちはどうやら大分人慣れしているようで、かなり近くまで寄って来るので小さい子供は注意が必要です。
カモメ
小さなかっぱえびせんの袋はあっという間に空っぽになってしまいました。カモメたちが散り始めると、航海はもうクライマックスです。
港
一時は荒波に揉まれてどうなることかと思ったけど、無事乗船場に帰ってきました。再び海底探検室でしばし魚を鑑賞し、充実した気持ちで乗船場を後にする頃には一面に絵になるような夕陽のグラデーションが広がっていました。

海と一体感を感じられる「イルカ号」クルーズ

もしかしたら船酔いのリスクもある「イルカ号」の海の旅ですが、それでも筆者は自信を持って「イルカ号」乗船をおススメします。なぜならこんなに揺れた遊覧船も初めてだったけれど、こんなに海が身近に感じられる遊覧船も初めてだったからです。「イルカ号」の航海で母なる海の喜怒哀楽に触れたり、海底探検室で自分自身魚になったような気分も味わえる、普通の遊覧船では味わうことのできないスリルと感動が「イルカ号」には詰まっていました。

※「イルカ号」の揺れに関してですが、常に私が乗ったときのようにスリル満点の揺れを体感できるとは限りません。乗船したときの波の具合によって揺れ具合は大きく異なりますので、あらかじめご了承ください。

「はるひら丸イルカ号」
静岡県伊東市湯川571−19 ※「伊東マリンタウン」内
「はるひら丸遊覧船」TEL 0557-35-3355
アクセス JR伊東線伊東駅より「マリンタウン」行バス約5分、タクシー約3分
公式HPはこちら

この記事を書いた人

Makiko Suga

Makiko Suga海洋生物の素人スペシャリスト/動物&自然オタク/世界中の秘境地&穴場スポットマニア

幼少期に有名なイルカの研究家と運命的な出会いを果たす。以来海洋哺乳類に魅せられ、海洋生物学者への道を志すが挫折。その後は海洋生物とは無縁の生活を送っていたが、2015年に海洋生物の宝庫であるカナダに留学。あるクジラとの出会いが自分の人生を変える。子供の頃の夢を追い続けながら世界に目を向けている永遠の旅人。得意分野は自然、動物関連だけにとどまらず、多岐にわたる。

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