知床五湖「地上遊歩道」「高架木道」どっちを選ぶ?ヒグマ生息地を歩く旅
日本

知床五湖・高架木道

知床といえば、もう「世界自然遺産」という観光地のイメージだけが脳裏に焼き付いている私でした。もちろんその認識は合っています。2015年6月時点で日本に4カ所しかない、世界自然遺産に認定された地であることには間違いはありません。
でもそこは、「世界自然遺産なんだから観光したいよねー」という気軽な気持ちで入れるような場所ではありません。
何を隠そう知床は、ヒグマの一大生息地。ここではヒグマが食物連鎖の頂点に君臨しています。その住処にこっそりとお邪魔するような形で、観光客は足を踏み入れることができる、というわけです。

そんな大自然をなるべく安全に、快適に観光してもらおうと作られたのが「ふたつの歩き方」です。
「地上遊歩道」と「高架木道」
いったいどのように違うのか、予習しておきましょう。

「地上遊歩道」はまるでサバイバル

知床五湖・二湖
「昨日、このあたりでヒグマが目撃されました」
という情報と、ヒグマから身を守る方法を叩きこまれてからの散策。ヒグマと出会ってしまうのではないかという、底知れぬ緊張感の張り詰めた空気。
その、原生林に武器もなく放り込まれてしまうような感覚は、まるでサバイバル生活をしているような気持ちに本気でなりました。あまりにも緊張して、ちょっと早足で歩いてしまってもったいなかったなあ…と安全な場所に身を置いている今は思えるのですが、あの場では心から緊張していたので仕方ありません。

私が歩いたのは5月頃。ミズバショウの群生が静寂の湖畔を彩っていたのを、早足ながらも観察することができました。
知床五湖・ミズバショウ
澄みわたる晴れ模様。雪の残る山並みが、この時期ならではの景色を描き出します。この緊張感に打ち勝った人だけが見られる景色だと思うと、感慨深いものがありました。

知床五湖・残雪

ちなみに、足元は未舗装。雨の日はぬかるむこともあるそうですので、足に自信の無い方にはオススメできません。
知床五湖・地上遊歩道

様々なハードルを乗り越えてついに見られる、世界自然遺産。心に深く刻まれる体験となること、間違いないでしょう。

時期によってレクチャー受講やツアー参加が必須

知床五湖・地上遊歩道入り口
地上遊歩道を歩くには、時期によってはレクチャーの受講やツアーの参加が必須事項となります。
私が行った時期は、レクチャー受講の時期。10分ほどのレクチャーで、ヒグマからの身の守り方と、最新の出没情報を教わります。
夏のシーズンは「ヒグマ活動期」にあたるので、ツアーに参加しなければ地上遊歩道を歩けません。その代わり、知床五湖登録引率者が安全対策も行ってくれるので、少し安心感は高いといえるでしょう。
詳しくはこちらをご覧ください。
地上遊歩道|知床五湖 公式サイト

誰でも安心安全、「高架木道」

知床五湖・高架木道
「地上遊歩道」の話ばかりを耳にすると、体力に自信のない方や足腰に不安のある方は知床を観光できないのではないかと思ってしまうかもしれません。
そこで、「高架木道」の出番です。
この「高架木道」は、車いすにも対応している、電気柵の張り巡らされた木道です。

知床五湖・高架木道

高さが十分にある上、7,000Vの電気柵も設置されているため、ヒグマが出没しても木道の上の人間には被害は及ばない、という仕組みです。

知床五湖・高架木道

これなら、お子さん連れでも安心ですね!
高架木道からも、知床ならではの雄大な自然と静寂に十分に包まれることができますので、ご自身の体力などの都合にあわせて散策ルートを選択したいところです。

実は「地上遊歩道」を選択すれば「高架木道」も楽しめる

知床五湖・高架木道

「地上遊歩道」の小ループ・大ループを散策すれば、後半部分のルートは「高架木道」となっています。
もしどっちに行くべきか悩んでいるとしたら、間違いなく「地上遊歩道」をオススメします。特に小ループは、高架木道の800mを往復するのと距離的にも変わりがないので、時間の都合で選択を迷われている方でもオススメできます。
小ループ・大ループについては下記ページを参考にしてください。
散策ルート|知床五湖 公式サイト
アクセスも実はスムーズ。羽田空港から女満別空港まで2時間弱、そして女満別空港から知床まで2時間で着けるので、意外と遠そうで近い場所です。
四季折々の景色を見せてくれる知床、私は時期を変えてあと数回行きたい…だなんて思ってしまっています…!

■知床五湖についてはこちらから
知床五湖|知床斜里町観光協会

この記事を書いた人

春菜 由香(コロポン)

春菜 由香(コロポン)TRIP'S編集長

87年北海道名寄市生まれ、旭川市育ち。名古屋大学文学部を卒業後、しばらくゲームを作ってました。Webメディアを作る上でも、とにかく面白いと心から思えるコンテンツだけを出していきたいです。ひがし北海道マニア(自称)、旅ラン専門家(フルマラソン経験あり)、写真家(名乗れるようになりたい)

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