その名の通り、台湾中部に位置する「台中」。
台湾第2の近代都市(2017年に高雄を抜く)ですが、台北や台南に比べると「観光地としての存在感はいまひとつ」といったところでした。
ところが、近年リノベーションスポットやアートスポットが続々と誕生したことにより、注目度が急上昇。
古くからの観光スポットと合わさって、新旧が混じり合う個性的な魅力が花開きました。
人気スイーツをはじめ台中発の流行も多く、台湾の人々が「住んでみたい」と憧れる都市となっています。
美しすぎるスイーツショップ「宮原眼科」
台中を訪れる旅行者が必ず足を運ぶといっても過言ではないのが、「宮原眼科」。
「えっ、眼科!?」と思ってしまうところですが、ここは元医院の建物を改装したスイーツショップ。台中の人気スイーツメーカー「日出」がプロデュースした店舗で、ヨーロッパの図書館を思わせるクラシカルで芸術的な空間から、フォトスポットとしても人気を集めているのです。
店内には、チョコレートやパイナップルケーキ、クッキーなどのお菓子が美術品のように並んでいます。レトロ可愛いパッケージに、思わず一目ぼれしてしまうかも。
素材にこだわって作られたお菓子の数々は、見かけだおしではなく、味だって外しません。
混ぜ物をせずにパイナップル本来の風味を生かしたパイナップルケーキは、適度な酸味を感じる上品な逸品。見た目の美しさもあいまって、お土産に喜ばれること請け合いです。
2階にはレストラン「酔月楼」もあり、ゴージャスかつアーティスティックな空間で、非日常の時間が過ごせますよ。
宮原眼科二号店「第四信用合作社」
宮原眼科を訪れる人の多くがお目当てにしているのが、トッピングもりもりのフォトジェニックなアイス。ところが、宮原眼科のアイスコーナーにはイートインスペースがないために、外の通路で立って食べるしかありません。
そこでおすすめなのが、宮原眼科の二号店でアイスを主力にしている「第四信用合作社」。
ここなら広いカフェスペースがあるので、店内でゆっくりと座って食べられます。
クラシカルな印象の宮原眼科とは異なり、元銀行を改装した第四信用合作社は、無機質で未来的な空間が印象的。いい意味で期待を裏切ってくれるクールな雰囲気満点のインテリアにも注目です。
宮原眼科のアイスの特徴は、カスタマイズの楽しさ。アイスは約70種類から選べ、トリプルの場合はトッピングが3種まで無料になります。
写真はトリプルにスペシャルトッピングを加えたもの。素材の風味を生かしたアイスはもちろんのこと、トッピングも自社オリジナルで、ひとつひとつのクオリティの高さはさすがです。
住所:台中市中山路72号
大人気リノベスポット「審計新村・綠光計畫」
近年台中で人気を集めているのが、使われなくなった古い建物を改装した複合施設。そのひとつが、1969年に建てられた公務員宿舎を改装し、2015年に誕生したクリエイター村「審計新村」です。
陶器や靴、レザーグッズなど、個性豊かな雑貨を扱う若いクリエイターのショップが20軒ほど集まっています。
手仕事のぬくもりが感じられる雑貨を見るだけでも楽しいですが、独特の景観からフォトスポットとしても大人気。台湾人の若者が大勢集まって写真撮影に興じています。
審計新村のほど近くにあるもうひとつのリノベーションスポットが「綠光計畫」。
台中水道局の宿舎だった建物を利用し、ショップやカフェが集まるフォトジェニックな複合施設としてオープンしました。
「綠光」の名の通り花や緑に包まれ、街なかでありながら自然を感じられる場所。古い建物を大胆にデザインした店舗が多く、歩いているだけでも感性を刺激されます。
「この先には何が待っているんだろう」とワクワクしっぱなしになること間違いなし。
不思議世界にハマる「忠信市場」
台中で独特の雰囲気を味わいたいなら、ぜひ忠信市場へ。もともとは1960年に開設された市場で、寂れて半ば廃墟のようになっていたところ、若者が運営するカフェやショップがオープンして、話題のスポットとなりました。
生活感あふれる濃厚な下町のムードと、ヒップな若者文化との対比が面白く、異世界に迷い込んだような独特の空間は摩訶不思議。若手アーティストのギャラリーやアンティークショップがオープンする週末は、特に活気づきます。
忠信市場内にあるレトロ可愛いカフェ「1987廚房工作室」。
一見小さなお店ですが、中2階にお座敷、2階にも広々とした席があり、まったりと時間を過ごすのにぴったりです。
巨大な黄金色の大仏「宝覚寺」
近年リノベーションスポットがアツい台中にあって、昔ながらの観光スポットといえるのが、宝覚寺。1927年に創建された仏教寺院で、黄金色の高さ33メートルの巨大仏像は古くからの台中のシンボルです。
大きなお腹をして、ニコニコと微笑んでいるのは、七福神の一柱としておなじみの布袋様。万人をあたたかく迎えてくれる包容力あふれる姿を見るだけで、思わず笑顔がこぼれます。
鳥がすぐ鼻の下に巣をつくってしまうことから「鼻くそ大仏」と呼ばれているとか。ありがたい布袋様に対して、びっくりしてしまうようなニックネームですね。
宝覚寺は、日本人墓地のある日本ゆかりの寺としても有名。日本統治時代に台湾で亡くなった日本人の共同墓地があり、毎年慰霊祭も行われています。
極彩色のアート村「彩虹眷村」
台中郊外にある大人気のフォトスポットが、彩虹眷村。おじいさんがたった一人で描いた極彩色の壁画が話題になり、世界各地から旅行者が訪れる一大観光スポットとなりました。
2008年のある日、「黄じいさん(黄伯伯)」こと黄永阜さんは、突如として家の前のコンクリート壁にカラフルな絵を描き始めます。
当時87歳。元軍人の黄じいさんは絵の教育を受けたことはなく、「退屈だったから」という理由で、村を虹色に染めていきました。
一度見ると忘れられない、鮮烈なインパクトを残す黄じいさんの作品は、写真好きのあいだで話題となり、SNSなどを通して一般にも知られるように。いまや「台中といえば彩虹眷村」といわれるほど、押しも押されもせぬ一大観光スポットとなりました。
人物や鳥、猫、ウサギ、牛など、身近な題材をデフォルメして描いた黄じいさんの壁画は、ユーモラスで、エネルギッシュで、あたたか。
イマジネーションに富んだ作品の数々を見ていると、「年齢と想像力は関係ない。イマジネーションに限界はないのだ。」と教えられます。
見るだけで勇気と元気をもらえる黄じいさんのアートからは、「みんなに幸せになってほしい」という優しい願いが伝わってきます。
元祖タピオカミルクティー「春水堂」
いまや台湾各地のみならず世界をも席巻するタピオカミルクティー。その元祖がここ、台中発の人気ティーハウス「春水堂」です。
タピオカミルクティーが生まれたのは1987年、春水堂の第一号店である「春水堂創始店」でのことでした。
濃厚なミルクティーにローカルフードのタピオカを加えた画期的なドリンクは、たちまち人気を生み、台湾を代表するドリンクとして世界にも広がっていったのです。
春水堂創始店にやってきたら、ジョッキサイズの660mlのタピオカミルクティーはいかが。まろやかなミルクティーとプルプルのタピオカのコラボレーションが格別です。
飲み物だけでなく麺類や点心、定食などのフードメニューも充実しており、ランチにお茶にディナーにと、時間帯を問わず利用できます。
台湾で最も歴史ある「第ニ市場」
おしゃれなリノベーションスポットやニュースポットもいいですが、台中では昔なつかしいグルメスポットも見逃せません。
その代表格が、1917年に開設された「第二市場」。台湾に現存する市場のなかでは最も歴史がある伝統市場で、多彩な安ウマグルメが味わえるスポットとして人気を博しています。
特に人気があるのは、汁なし麺「乾麺」や魯肉飯など。デザートにはレモンの愛玉などもあります。
台中の人々の食生活が垣間見える、濃厚な下町臭漂う空間は、異国情緒満点。市場を歩いているだけで、台湾庶民のエネルギーに圧倒されること間違いなしです。
観光スポットが少ないと思われがちな台中ですが、実際には古くからの観光地に加え、ニュースポットも次々にオープンし、話題には事欠きません。
台北と高雄のあいだに位置し、台湾西部を横断するときには必ず通る台中。ぜひ、エネルギッシュでレトロなこの街の魅力をあなた自身の目で見つけてください。