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「千と千尋の神隠し」にはなぜ「神隠し」というタイトルがついているのか?
日本

国民的人気映画、「千と千尋の神隠し」。疲れを癒すための油屋に訪れる八百万(やおよろず)の神々が描かれていますが、謎も多くあります。

武蔵の国の神々が集まる大國魂神社との関係や、そもそもなぜ八百万の神々が描かれたのか、「神隠し」というタイトルがついている理由など、ストーリーでは明かされていない謎を解明してみましょう。

油屋は、大國魂神社?


東京五社の1つ「大國魂神社」の大國魂大神は、名前からわかるように國魂の地主神です。大國魂大神は出雲大社の大国主命(オオクニヌシノミコト)と同じ福の神で、縁結びや厄よけ厄払いにご利益があると言われています。

縁結びは恋愛や結婚ということだけでなく、仕事や暮らしのなかにある様々な出会いの縁も含まれています。

武蔵国の一之宮から六之宮の神様が合祀されている(集まっている)ことからご利益が6倍あるのかもしれませんね。超開運を目指す欲張り女子に、「福を招き、縁を結ぶ神社」としてオススメします。

千と千尋の神隠しで神様が集まる油屋の役割は、大國魂神社に置き換えて考えることができるのでは……と、ジブリマニアなら思ってしまいます。

大國魂神社に集まる神々とは?


参道の右側に祀られている稲荷神社は、全国に3万社以上の御社があり、庶民にとって身近な神様と言えます。稲荷神社の語源は、「稲生り」とか「稲成り」とも言われ、のちに稲荷神社になったそうです。

全国に数カ所、「稲生神社」「稲成神社」と表記する御社があります。日本人の食生活に欠かせない、お米に関係の深い神様なんでしょう。

参道の左側に祀られている、安産や芸能の女神「宮乃め神社」。

御祭神(ごさいしん)の天鈿女命(あめのうづめのみこと)は、日本神話で天照大神(あまてらすおおみかみ)が天の岩戸に身を隠した際に、天照大神を外に誘い出すために踊りを舞ったと伝えられている女神です。

安産の神、芸能の神として崇められている神様です。底に穴の開いた柄杓(ひしゃく)は、水が抜けるようにお産が軽くすむことを願って奉納されたモノで、印象深いですね。女性にとって心強い神様だったに違いありません。

随神門と中雀門を抜けると拝殿に到着です。参拝を済ませたら、本殿と拝殿の周りを右回りに進みます。

拝殿から右回りに進んだ先に、海と武運の神様、住吉神社と大鷲神社が祀られています。

住吉神社の御祭神の、表筒男命(うはづつおのみこと)、中筒男命(なかづつおのみこと)、底筒男命(そこづつおのみこと)の三神は、日本神話で黄泉(よみ)の国から地上の戻った伊邪那岐尊(いざなきのみこと)が、汚れたカラダを清めるための禊(みぞぎ)の際に、生まれた神々であると伝えられています。

海上守護や除災招福などの御利益がある神様として崇められています。

▲ツノの生えた狛犬

大鷲神社の御祭神の大鷲大神(おおとりのおおかみ)と日本武尊(やまとたけるのみこと)が祀りされており、武運守護の神様として信仰されていましたが、現在では開運や商売繁盛の神様として崇められています。

境内にはツノが生えたユニークな狛犬が祀られています。

徳川家康を祀る東照宮。徳川家康は、府中本町駅付近に御殿を建て、鷹狩りをしていたことから、大國魂神社との縁も深いようです。実在した人間も、神様になれちゃうんですね。

本殿裏手の弁財天が祀られている巽神社。御祭神の市杵嶋姫命(いちきしまひめのみこと)は、日本神話で天照大神と素戔嗚尊(すさのおのみこと)が誓約(占い)をした時に、素戔嗚尊の剣から生まれた三女神の内の1人と言われている弁財天です。巽神社の狛犬たちもユニークですよ。

醸造(じょうぞう)と開拓の神様とされる松尾神社。御祭神の大山咋命(おおやまくいのみこと)は、日本神話で山の神様や産業繁栄の神様で御神徳(ごしんとく)の高い神様として知られています。

お酒、醤油、味噌、麹こうじなどの商いや開拓関係に厚い信仰があります。府中には、サントリービール工場や地酒などもあり、お酒との縁があると言えます。

拝殿の左側に祀られている水神社。入り口の説明書きには、「水神は身体健康子孫繁栄等を司る神……」とあります。人間が生きる上でなくてはならないモノなのに、あまりに身近過ぎて忘れてしまいがちになります。

神社の裏手で、災厄を払う「人形(ひとがた)流し」ができます。

大國魂神社と「千と千尋の神隠し」の関係を示す! パワースポットと3という数字


▲赤い楼門の前にある石像と千尋

大國魂神社と「千と千尋の神隠し」の関係に注目した理由には、「武蔵の国の神々が集まる場所」と、4つの「パワースポット」にあります。

それは千尋が「不思議な体験をする」前のシーンにあります。千尋の父親が道を間違えて、アスファルトの道路から砂利道に変わってしまう際に、「鳥居・大きな木・祠(ほこら)」の3つのアイテムが1カ所に集まる場所が見えます。

▲1つめのパワースポット「大鳥居前のご神木」

大國魂神社の大鳥居の左右には、おとな3人でも抱えきれないほどの幹の太さがある2本のご神木があります。

参道に向かって大鳥居のスグ右側には、先ほど紹介した稲荷神社の社(やしろ)が祀られていて、千尋が不思議な世界に迷い込む前のシーンにピッタリだと感じました。

▲2つめのパワースポット随神門のそばにある「鶴石」

赤い楼門の前で行き止まりになってしまうシーンがあります。先ほどのイラスト(赤い楼門の前にある石像と千尋)を見て頂いたように、楼門の前には石像があります。

大國魂神社の随神門のそばにも、「鶴石」と「亀石」があります。

▲2つめのパワースポット随神門のそばにある「亀石」

なぜこんな場所にあるのか? 神社のお話によると「江戸時代にはすでに確認されており、かなり古くからある鳥居の前身なのではないか」と推測されています。

なるほど……入口のご神木と大鳥居から、本殿・拝殿に向かう途中にある「鶴石・亀石」の位置関係は、千と千尋の神隠しのシーンで出てくる「行き止まりになった楼門前の石像」を連想できたわけです。

▲3つめのパワースポット「本殿裏の大イチョウのご神木」

ご神木は、大鳥居前の他に本殿裏にもあり、大國魂神社には3本のご神木が存在します。3という数字には様々な推測ができますが、千尋家族の家族構成に当てはめて考えています。

▲4つめのパワースポット「本殿」

本殿は、回廊の隙間から覗かせてもらうしか見ることができませんが、3つの社殿が並ぶ、三殿一棟という特異な構造形式です。

本殿を護る金色の狛犬と銀の狛犬が、「湯婆婆と銭婆」のように見えてしまうのはワタシだけでしょうか? 本殿はとても印象に残ります。

油屋で疲れを癒す八百万(やおよろず)神々とは?


宮崎駿監督が「千と千尋の神隠し」を使って伝えたいメッセージ、それは、誰もが知っている神様ばかりが神様ではない、裏設定(ただ忘れているだけという銭婆の言葉)にあるではないでしょうか?

ストーリーに登場する順番に、油屋を訪れる八百万の神々をご紹介します。

▲春日様

夜のなると幻想的な風景のなか、遊覧船から春日大社の札が貼られたお面をつけた神様がたくさん船から出てきます。

最初はカラダが見えませんが、岸へ上陸するとともにカラダが見えてきて、平安時代を思わせるような装いの神様です。土地神の春日様は全国の春日大社の分社から、団体で油屋に訪れたようですね。

▲おなま様

油屋へ向かう弁天橋にいた秋田名物「なまはげ」です。怠け者を懲らしめて、災いをはらうことから「まなはげ」と言われるようになったのですが、秋田出身のワタシは怖いイメージしか無い赤鬼・青鬼だけど、人間だと思っていました。

▲おしら様

先輩のリンに誘導されながら、湯婆婆の元へ向かうエレベーターに一緒にのることになった大根の神様です。大根にように見えるおしら様の所作は、トトロのように見えてしまうのはワタシだけでしょうか?

▲牛鬼(うしおに)

オシラ様と一緒に乗ることになるエレベーターに、入れ違いで乗っていた牛鬼です。主に西日本では浜辺を歩いている人を襲う妖怪として伝えられています。油屋を訪れているということは、神様なのでしょうか?

京都の貴船神社には、神様のお供として降臨したとものの、いたずら好きで神様を困らせていたという記録があるとか……。

▲オオトリ様

卵のまま生まれなかったヒヨコが神様になったようです。いったいどんな神様なのか定かではありません。たくさんのオオトリ様がお風呂に入っている様子をコミカルに描かれていますね。

ひょっとして、ワタシたちがたくさん食べてしまっている玉子が、犠牲になっているということなのでしょうか?

なぜタイトルに「神隠し」という言葉がついているのか?


裏設定の存在は明らかにされていませんが、表向きには「千尋が夕暮れ時に急にいなくなった」「未知の世界に迷い込んだ」ように表現されています。

語られていない裏設定があり、隠された(潰された)日本の歴史に関係していると感じ取れます。

八百万の神々とは、日本古来の信仰で、山、川、石に至るまで万物の自然に宿る無数の神々のことです。日本の豊かな自然を物語っているように感じます。

「千尋が神隠しにあったような体験」と「歴史と記憶から隠されてきた神々」を重ねて、「神隠し」という要素がストーリー全体に散りばめられています。

日本人が忘れかけているモノを思い出してほしいという、願いが込められているのではないでしょうか?

大國魂神社
東京都府中市宮町3-1
公式HPはこちら

隠されているモノを見出すチカラ

ジブリアニメには、ウワサや都市伝説がつきものです。ストーリーのなかでは語られない裏設定の存在のおかげで、忘れていることや隠されていることを見出すチカラが養われているような気がします。言いかたを変えれば、潜在意識を刺激されて「自分の可能性に気づく」ということなのかもしれません。
隠されているモノを見出すチカラ

この記事を書いた人

MAKIJI

MAKIJI

秋田生まれ東京育ち。中年デビューのスピリチュアル系フリーライターとして、都市伝説でウワサされる神秘的なエリアをotaku感覚で追いかけます。日本人が忘れかけている魅力的なスポットの隠された謎を一緒に紐解きしませんか?五感をフル活用した情報であなたの背中をそっと後押したいと思います。
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