人があふれるソウルのパン屋、オーナーは日本人!流行発信地で人気を得た理由を探る
韓国

青い鳥オーナー

韓国・ソウルの流行発信地と言えば「ホンデ(弘大:홍대)」。
芸術系の名門大学・ホンイク(弘益)大学の周りには、流行に敏感で若者たちが集まります。おしゃれな店がひしめき合うこのエリアで、大人気の「日本のパン屋&レストラン」を今日はご紹介したいと思います。

イケメンオーナーは韓国でひっぱりだこ

小林さん
▲株式会社ラトラパンテ社長の小林達さん
オーナーの小林さんは横浜出身の31歳。2011年に韓国にあるパン屋さんにスカウトされたのがきっかけで韓国の地へ。
2014年に自身のパン屋1号店である「青い鳥」を開店。現在は韓国の料理番組「OliveShow」に準レギュラーとして出演したり、専門学校で教鞭をとったりと多忙な毎日。
「5年で3店舗が目標!」だそうで、いつも新しいことにチャレンジするバイタリティあふれる社長さんです。

外国での起業は日本とは勝手が違ってやりにくくないですか?という質問に、そうだと認めながらも「だからこそチャンスもある」と力強い回答をくださいました。

カジュアルな「鳥」と大人な「花」

人の絶えない一号店「青い鳥」

鳥入口
1号店「青い鳥」は「日本のパン屋さんをソウルで!日本の美味しいパンを、最大限お求めやすい価格で」をコンセプトにしています。
こじんまりした店内ですが、いつもお客さんでにぎわっています。

私も開店当時からお世話になっていますが、お客さんがいない「青い鳥」を見たことがありません。逆に、店の外までお客さんがあふれているのは何度か見たことがありますよ。
なので、お店に行ってみたいという知り合いには、大体の場所を教えて「あとは、お店の袋を持って歩いている人たちの行列をさかのぼればお店につけるよ」と言ってしまえるくらい。

戸建ての住宅を改装した二号店「青い花」

花全景
一方、二号店は、ハウスウエディングの会場かしら?と思う店構えです。
大通りに面した路面店というよりは、ポーチに入る形式なので、パンに会う前に気持ちを整える時間が作れます。

二号店「青い花」は一つ一つのパンと語れる落ち着いた雰囲気

花のパン
2016年12月にオープンした2号店「青い花」はもう少しゆったりした空間。1号店がオープンして2年半の間に成長した、「青い鳥」の今にチャレンジしたお店です。
立地も流行発信地ホンデの中心地である「駐車場通り」により近く、店内もより広く。一つ一つのパンとじっくり対話できるお店です。

それぞれの雰囲気がある

両方のお店にお邪魔しましたが、1号店「青い鳥」は活気があってコンパクトなスペースにいろんなパンがこれでもかと盛り込まれているイメージなのに対して、2号店「青い花」は一つ一つのパンがそれぞれベストな状態で居住まいを正してお迎えをしてくれている感じがします。

バーとレストラン。どちらも心遣いがにくい!

「青い鳥」は夜にバータイム。

1号店「青い鳥」は日が暮れるころになるともう一つの顔を見せます。
花オープン
その名も「青い鳥バール」。月曜から土曜まで19時以降はバールとして素敵な食事スペースへと変化します。
テーブル席3組と、カウンター席少々というこじんまりとしたバールですが、特に金曜と土曜は予約必須です。当日ふらっと寄っても絶対席とれないくらいの人気ぶり。

定番メニューの他に季節や日替わりのおすすめメニューも

こちらを仕切っているのは小林社長と同い年のシェフ・中島さんです。
料理が上手いこともさることながら、どんなにお客さんが多くて忙しくても、ひとり一人のお客さんへの気遣いを忘れない、そんなシェフさんです。
料理もりあわせ
例えば、盛り合わせ料理を注文したいのだけど、アレルギーなどがあってそのうちの一つの食材が食べられないという話をすると、すぐそれに対応してくれたり……。
なので、正直、いつも人がたくさんでゆったりとはいかない「青い鳥」のバータイムですが、リラックスして食事時間を楽しめます。

「青い花」は2階にレストラン。

その「青い鳥バール」も「青い花」でバージョンアップします。
そう、「レストラン青い花」が2017年1月18日ついにオープンしました。
花せき2
▲客席数も増えてパワーアップ
1号店「青い鳥」ではランチタイムはカフェとして営業していたため、食事はパンのみでしたが、今度は違います。ゆったりとした2号店「青い花」では2階をまるまるレストランに!!

陽の光がさんさんと入る明るい「青い鳥」。シックなムードの「青い花」。
その日の気分やコンセプトで使い分けたいなと思います。
花料理
もちろん、お料理は「青い鳥バール」でおなじみの中島シェフスタイルです。

社長とシェフに聞いてみた

日本を離れ、外国の流行発信地でがんばるお2人。せっかくなのでいろいろ聞いてみました。
小林さんと中島さん
▲左が小林社長、右が中島シェフ

―お店にはどんなお客さんが来るんですか?

小林さん:「青い花」はまだ開店したばかりなのですが、そうですね。全体の印象としては、20~30代の女性がやはり一番多いような気がします。

「青い鳥」のほうはお客さんの年齢層が幅広くて、家族連れやお年寄りもよく来られますね。物珍しさではなくて、生活の一部として愛されているように感じます。

「青い花」のほうは立地のせいでしょうかね、友達同士やカップルのお客さんが多いようです。

―ズバリ!! お勧めのメニューを教えてください。

小林さん:あんこバターです。ハード系のパンにあんことバターをサンドした、韓国ではすっかり定番、人気のパン。美味です! 逆に日本であまり見かけないのでは?
アンコバター
▲小林社長いちおしのあんこバター
韓国ではここ最近、あんパンがものすごく人気なんです。あんぱんだけの専門店がいくつもできるくらいに。美味しいパン屋なら当然おいしいあんパンがなければ!

そんなソウルでもさらに人ひねりされた「青い鳥」&「青い花」のあんこバターは日本人にも食べやすく、また日本では見かけないので旅行客としてきた人でも楽しめます。

「青い鳥」「青い花」の一番人気は「焼きそばロール」

焼きそばロール
焼きそばロールといえば、日本の中高生の定番おやつですよね。
そう、このお店は在韓日本人たちもよく集まりますが、日本大好き韓国人たちもよく来るお店です。

日本のアニメやマンガで育った彼ら「日本オタク」たちは、学生時代マンガやアニメの中に出てくる日本人の中高生がほおばる「やきそばロールって何だろう?と好奇心を募られていたりします。 映像の中でしか見たことがなく、何やらとてもおいしそうに見えるそれが、お店に並んでいたら……。

こんなところからも今どきの韓国の若者たちの日常が垣間見られる気がします。

筆者のお気に入りメロンパン

メロンパン
最近、時々「メロンパン」をおいているお店を韓国でも見かけるようになりました。
けれども、やはり味がちがう!! なにをかくそう、日本にいた当時「メロンパン同好会」などというものを作っていたワタクシ。どこかにメロンパンが売っていると聞くと買わずにはいられません。

「青い鳥」「青い花」のメロンパンは、本場日本で売られているメロンパンの中で一番おいしいなと思うメロンパンと同レベルなんです。 韓国料理に少し飽きてきたら、ぜひメロンパンで癒されてください。

―ああ、話が脱線してすみませんでした。お料理のほうのオススメは何ですか?

パテ
中島さん:鶏レバーのパテがおすすめ。

日本のイタリアンバル定番のメニューですが、青い鳥以上美味しいパテは食べたことないです(笑)。
カリカリのバゲットに塗って一口、ワインを一口……。止まりません~。

毎回、おいしいメニューに戸惑います!

レストランと言っても、母体がパン屋さんなので、焼きたてのおいしいパンを食べ放題でいただけるのも魅力。

日替わりカルパッチョ、日替わりアヒージョ、明太子のパスタ、季節の野菜のグリル……。何を注文してもはずれというものがありません。だから何度いってもメニュー選びに困ってしまうのですけどね。

日本の職人技、ホスピタリティー、韓国のダイナミックなチャレンジ精神

職人たち
▲「皆さんのお越しをお待ちしています」とのこと!
韓国はチャレンジ精神を応援する雰囲気があるように思えます。特に、若手のアーティストたちが集まるホンデ界隈はその文化を強く感じるところです。
そんなエリアで日本の技術とホスピタリティー、韓国仕込みのチャレンジ精神と遊び心。そんな町で、日韓それぞれの背景を持つスタッフたちが協力して作り出す新しい文化。

ベーカリーレストラン「青い鳥」と「青い花」はそんなソウルの日常が味わえる場所でもあります。

ベーカリーカフェ青い鳥
住所:ソウル特別市麻浦区西橋洞327-17
   서울특별시 마포구 서교동 327-17
定休日:なし
営業時間:8:00~翌2:00 バータイムは19:00~翌2:00
公式Facebookはこちら

ベーカリーレストラン青い花
住所:ソウル特別市麻浦区西橋洞窟404-31
   서울특별시 마포구 서교동404-31
定休日:なし
営業時間:
1階パン屋:10:00~22:00
2階レストラン:ランチタイム  11:30~15:00
        ディナータイム 17:00~24 :00

この記事を書いた人

エナ

エナライター / エナツアー主催

横浜出身のソウルっ子。2000年から2002年、ワーホリ滞在。その後横浜での10年間を経て2011年、再度渡韓。本業は日本語教師。ソウルの町歩きが大好きなネイリスト。ソウルの博物館、市場が主な生息地。普通の町を普通じゃなく感じさせるエナツアーなるものを企画していました。最近は日本家屋の残る町にはまり気味。

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