しつけで親が子供を叩いても、児童虐待とは言われないマレーシアの事情
マレーシア

「こら! ドビー! 何度言ったら分かるの? サトゥ・ドゥア・ティガ」そしてバシッという音、その後に聞こえてくる子供の泣き声。これは近所の子供(ドビー君)がお母さんに怒られている様子です。

当たり前のことですが、子供を愛している親は子供をしつけます。当然ながら怒られた子供は泣きます。マレーシアに住んでいて、しつけについて日本と似ていると思うこと、違うなあと感じることがあります。

子供が怒られている様子が筒抜けの家

私がマレーシアで住んでいる家は、ローコストフラットと言われている建物です。日本でいう古いアパートのようなものです。しっかりとしたセキュリティーもなく、近所同士の行き来も頻繁にあります。地元の人と肩を並べて住んでいるような状態です。

窓を開けていると、近所の人の声がよく聞こえます。特にこのアパートには小さな子供を持つ家族が多く住んでいるので、子供達の笑い声、遊ぶ声、走り回っている音などが聞こえます。そんな音はとても賑やかで、微笑ましくなります。

もちろん楽しい音ばかりではありません。時には、先ほどのように、怒られている様子まで筒抜けでなのです。私たち夫婦はドビー君の家族とは仲良しで、可愛いドビー君のことが大好きです。お母さんもいつも笑顔で私たちに話しかけてくれる素敵な人です。

そんな家族が子供を叱っている様子まで聞こえてくるので、ついつい「おやおや、また怒られているな。今度は何をやらかしたのかな?」と、思ってしまいます。

そのようにして否応無しに聞こえてくる子供を怒る様子を聞いていると、私が子供の頃に怒られていた時とある共通点があることに気づきました。

ひとつ・ふたーつ・みっつ! そしてバシッ

「サトゥ・ドゥア・ティガ」とはマレー語で1・2・3のことです。要するに「1・2・3」と3つ数えられても悪い行動をやめようとしなかったドビー君は、お母さんに叩かれることになってしまったのです。

日本語でいうと「ひとーつ・ふたーつ・みっつ!」と数え、それでも態度が変わらない場合は怒られるということになります。実はこれは私の亡くなった祖父が、私が子供の頃、使っていた方法です。

私はなかなかのおてんばだったので、祖父からよく「ひとーつ・ふたーつ・みっつ」と数えられ、叱られていた記憶が鮮明に残っています。それをマレーシアに来てマレー語で聞くことになるとは、びっくりでした。思いがけず、昔の思い出がよぎってきました。

聞こえて来たのはマレー語だけではありません。近所を散歩していた時に、華僑の人がやはり子供を叱っている様子が外まで聞こえて来ました。この時も意図せず聞くことになってしまったのですが「イー・アー・サン」そしてバシッと叩く音がしました。そして子供がギャーと泣く声。

これも中国語で「1・2・3」を意味します。中国系の人も3つ数えて、子供を叱っていたのです。最終的に叩かれることになるかどうかはさておき、子供を叱る時に3つ数えてから叱るというのは世界共通のようで興味深いと思いました。

虐待ではない!

マレーシアではこのように、防音効果のない家ではあちこちで子供が叩かれている音が聞こえて来ます。子供を叱る際に、叩くのはまだ一般的なようです。

しかし虐待とは明らかに違っていて、反省して許された後はちゃんと子供の楽しそうな笑い声が聞こえて来ます。冒頭に出て来たドビー君も、お母さんとはとても仲良しです。お母さん、もしくはお父さんがしつけのために叩いているというのは明らかです。

最近の日本では叩くという行為が虐待になるのか、ならないのかという点で、問題になることもあるようですが、マレーシアでは明らかに虐待行為と分かる場合を除いて、叩いて叱るということには抵抗がないようです。

子供を怒ってくれたと感謝された?

実は私もマレーシアで友人の子供を叩いたことがあります。危険な遊びをしていて、何度注意しても言うことを聞かず、その子供の家族が近くにいなかったので、安全を考えてのことでした。一度だけお尻をバシっとやったのですが、その子はすぐに危険な遊びをやめました。

その後その旨を家族に伝えたところ、驚いたことに感謝されました。「なんで叩いたの?」と叱られても仕方ないと覚悟して、伝えたのですが、怒るどころか感謝されたので、拍子抜けしました。

鞭棒まで売られています!


余談ですが、マレーシアの市場やスーパーマーケットには鞭棒が売られています。これは結構太いタイプの鞭棒です。もっと細い鞭棒も売られています。

初めに見た時には本当に鞭棒として売られているのか半信半疑だったのですが、友達に聞いたところ「これは鞭棒よ。親や学校の先生が子供を怒る時に使えるように売っているのよ」と笑顔で答えてくれました。子供を叱る時に叩くということに抵抗がないのだということを実感した瞬間でした。

売られている鞭棒には色々な種類がありますが、一般的に見るのは細い竹でできている鞭棒です。最近、ちょっと太めの鞭棒を見かけ、これで叩かれたら痛いだろうなと思いました。

とあるスーパーマッケットで……


近所の行きつけのスーパーマーケットに行った際に見つけた光景です。何気なく台所商品のコーナーに行っていたのですが、なぜか台所コーナーに鞭が売られているのを発見しました。

しかもなぜかすごく馴染んでいます。どこにあるか、お分かりでしょうか? そう、ちょうど真ん中に写っている細長い竹の棒が鞭棒です。

値段は90セントと1リンギットにも満たない安さです。この手の鞭棒は一般的に見かけます。

マレー語で、「ROATN」と書かれていますが、「ROATAN」とは直訳すると「籐の棒」という意味です。友達に確認したところ、私が住んでいる周辺のマレーシアでは「ROATAN」というと多くの人は鞭を想像すると言っていました。

家にも普通に置かれています……

小さな子供がいる華僑の友人の家にも鞭棒が置かれていて、部屋に馴染んでいましたが、子供もあまり気にしていない様子です。むしろ鞭棒をおもちゃにして遊んでいました。

もちろん加減、叩くタイミング、年齢などはちゃんと考慮されている様子で、がむしゃらに叩くのとは違います。子供達も、親が鞭棒を使うのは自分が悪いことをした時だということをちゃんと理解しているようです。鞭棒が売られているというのは、興味深いと思いました。

以外に活用できる鞭棒……

実は子供のいない我が家にも鞭棒があります。もちろん遊びに来た子供を叩くために常備しているわけではありません。カーテンレールの代わりに使っているのです。竹でできていて丈夫な鞭棒はカーテンレールにぴったりなのです。先がくるっと丸まっていてちょっとオシャレにも感じます。そのほかにも鞭棒を使ってトイレットペーパーホルダーを作りました。以外に活用できる便利な鞭棒です。
以外に活用できる鞭棒……

この記事を書いた人

yazu

yazu

九州出身です。
今はマレーシアに住んで数年になります。旅行も大好きでマレーシアを拠点に、東南アジア周辺の旅行にもよく出かけます。

マレーシアで、夫と共に、発展途上国ならではの思いがけないハプニング満載の生活を送っています。そんなことをしていたら、段々たくましくなってきました。東南アジア旅行では、いろいろな文化の違い、食事、地元の人との出会いを楽しんでいます。

そんな中で、自分たちが経験したこと、感じたことを記事にしたいと思います。だれかに楽しんでもらえたら嬉しいです。

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