新年になったとはいえ、まだまだ寒い日が続く今日この頃。そんな寒い日には温泉に入って温まりたい思う方も多いかと思います。
ところが、温泉でほっこりしたいと思うのは人間ばかりではない模様。長野県北部の山の中にある「地獄谷野猿公苑」では、寒いなか温泉に浸かって気持ちよさそうにしているニホンザル達の姿を見る事ができます。
温泉に浸かるサルは世界でも有名
温泉に入るサルたちが生息しているのは長野県北部に位置する山間地域。冬は寒さが厳しく、最低気温はマイナス10度以下という極寒の地。あたり一面1メートルもの積雪に覆われます。
そんな寒い冬に暖をとるためサルたちのとった手段が、温泉に入る事。温泉に入るという珍しいサル達は1970年にアメリカ雑誌の表紙を飾ったほか、1998年に開催された長野オリンピックの際には世界各国から多くの人々がサルを見に訪れ、その魅力を世界中に広めたのです。
温泉に入るサルたちは今では「スノーモンキー」という名で世界中に知られており、彼らに会いに来る人々が後を絶ちません。
サル達に会うまでの道のり
地獄谷野猿公苑があるのは山の中とあり、アクセスも容易ではありません。上林温泉にある無料駐車場から約2キロ、30分ほどの道のりを歩いていく必要があります。
筆者が訪れた際には雪があまりありませんでしたが、雪が溶けてぬかるんでいる箇所も多くありました。いずれにせよ、歩きやすい靴かつ汚れても良い靴を履いていきましょう。
しばらく歩いていくと、視界が開けて川が見えてきます。ここまでくれば地獄谷野猿公苑はすぐそこ。
ものすごい勢いで噴出している間欠泉もあります。周囲だけ湿度が高いせいか、周りは氷でガチガチに固められていますね。
温泉に入るサルや野生のサルが間近に!
公苑内で多くの人がまず向かうのが、サル達が入っている温泉。筆者が訪れた際には1匹しか温泉に入っていませんでした。表情から気持ちよさが伝わってきますでしょうか?
しかしよく見ると、ちいさな赤ちゃんザルも抱きかかえられて一緒に入浴中でした。こうしてみると本当に人間みたいです。
他のサルたちはというと、温泉には入らず水だけ飲んだり、温泉の脇で固まっていたりと、各々が好きな様に過ごしています。
また公苑内では、温泉に入る以外にも様々なサルの様子を間近で観察する事ができます。どのサルも毛づくろいに余念のない様子。
火が焚かれているそばで、一匹で暖をとっている子ザルもいました。この子ザルに限らずみんな人間慣れしているのか、人間がいてもまるで気に留める様子がありません。
河原にも沢山のサル達。大きな石がいくつもあると思いきや、よくみるとサルだったりします。
餌をさがしているのか、皆下ばかり向いてこちらを見てくれません。
寒い時期の方が温泉猿に出会える確率高し
サル達は常に集団で山の中を移動しているため、温泉に入っているサルがいつでも見られるという訳ではありません。筆者も1匹しか見られませんでしたが、運が悪ければゼロなんてことも。
そもそもサル達は暖を取るために温泉に入るので、温かい時期には積極的に温泉に入りません。また1日中温泉に入っている訳でもないので、寒い時期でもタイミングが悪ければ温泉に入る姿はみられないのです。
どちらにせよ冬に行く方が、温泉に入るサルを見られる確率は高くなります。また温泉に入るのはメス猿がほとんど。オスは周囲を警戒し、基本的に温泉に入らないのだとか。
サルを見る際の注意
人に慣れているとはいえ地獄谷野猿公苑のサルは野生のサル。見学の際には「餌をあげない」、「ペット禁止」、「自撮り棒の使用禁止」といった注意を守り、サルに危害を与えないという事が鉄則です。珍しいからといってサルに近づきすぎたり、触ろうとするのはもってのほか。
また冬は暗くなるのも早いほか、駐車場までの道には街灯がありません。冬は16時まで営業していますが、17時頃には辺りが真っ暗になります。そんな中を歩くのはかなり危険なので、なるべく早めに帰宅の途に就くかライトなどを持参するようにしましょう。
寒さが厳しかったり注意事項が多かったりと多少窮屈に感じる方もいるかもしれませんが、野生のサルのありのままの姿を観察するには、私達人間が我慢をしなければいけないというのも確か。
それでも気持ちよさそうに温泉に入るサルを見れば、皆さんもここにきて良かったと思えるはずです。