ここ数年、台湾のあちこちでオープンが相次いでいる「文化創意産業」や「文創」の名が付くスポット。
これは2009年頃から台湾の行政主導で進められているアート・カルチャーの発展政策で、都市部を中心に大小様々なアートスポットが誕生しています。
今回は台北中心部から比較的近い華山1914文化創意産業園区を紹介します。
元は酒工場
ここは日本統治時代の1914年に芳釀社という清酒を製造する工場として建てられました。1914という数字はこれが由来となっています。
その後1922年に台湾で酒やタバコの専売制が施行され、「台灣總督府專賣局台北酒工場」という施設名に改称されると同時に政府に買収されます。
太平洋戦争後、中華民国政府に接収され「台灣省專賣局台北酒工廠」に改称。1987年まで多種にわたる醸造酒や果実酒などを造り続けてきました。
その後好立地にも関わらず放置され続けてきたのですが、1997年に金枝演社という演劇集団が工場跡の敷地に無断で侵入し公演を行います。
当然不法占拠なので排除されますが、この騒動がきっかけとなり文化施設への転換利用への気運が高まり、2003年に「華山創意文化園區」としてオープン、2007年に現在の名称となりました。
施設内には歴史を解説するパネルもあります
当時の建物を活かしたアートスポットへ
コンクリート打ちっぱなしの外壁から解かる通り、建物の修復は最低限に留められており、当時の建物の雰囲気を可能な限り再現することに注力したとのこと。
映画の上映や手芸教室などありとあらゆる活動が行われています。
外壁の剥げ具合から歴史を感じるこの建物はライブホールとして使われているようで、訪問時にも演奏が行われていました。
こちらは次のイベントに向けて準備中のようです。
赤レンガの建物が立ち並ぶエリア。この辺りは外観の装飾がほとんどないのでどことなく廃墟のような雰囲気すらあります。
使われていない建物や部屋もありますが、個展や撮影などスポット的に利用されているようです。
不思議な雰囲気のショップやカフェ
100年近く前の建造物に現代の文化や価値観を組み合わせたためか、レトロとは全く異なる不思議な空間が醸し出されています。
事務所のような建物の中は……
手芸作品の展示即売を行っているショップとなっていました。
古びた建物と木々に囲まれたカフェがあったり……
外壁とのギャップが凄まじいですが、こちらは和風食器のショップ兼喫茶店になっています。
「森」、「林」、「材」、「木」をテーマにした木工芸品店。DIY教室も開かれているようです。
ドリンクスタンドやベンチ、ATMなどがある休息エリア。本来の役割を終えた古びた建物なのに、人が集まり活気がある光景は非常に不思議な感覚でした。
訪問したのが土曜日だったため、スポットによっては非常に人が多く入りにくい店舗や施設もあったので、ゆったりと周りたいのであれば平日に行かれることを勧めます。