ここ知ってれば台北ツウ。観光客の少ない「大龍峒エリア」をひそかに楽しむ
台湾

台北の地下鉄の赤い線に乗って北上していくと、「圓山」という駅があります。駅のホームから見下ろせるところに「花博公園(TAIPEI EXPO PARK)」のあるこの駅、休日に通るとよくファーマーズマーケットなどのイベントが行われていて賑やかなイメージを受けます。

が、そんな賑やかな駅の周りに、ひっそりと味わい深い雰囲気を持つ観光エリアもまた存在するのです。それが、儒教の祖とである孔子様をお祭りした、「孔廟(孔子廟)」です。

孔廟への行き方は?


孔子廟に行くには、圓山駅の2番出口を出て、庫倫街という道路をまっすぐ進みます。庫倫街が酒泉街という名前に変わった先に大龍街という道路と交わる交差点がありますので、その交差点を右に曲がりましょう。

道路の名前がわからなくても、赤い外壁の施設が見えたらそこが孔子廟なので、壁に沿って道を曲がれば孔子廟の入り口にたどり着くことができますよ。

孔廟で何ができるの?


台湾で有名な孔子廟といえば、まず真っ先に挙がるのが台南の孔子廟ですが、こちら台北の孔子廟も、なかなかに捨てたものではありません。孔子廟の正殿にあたるのが孔子様がお祀りされた大成殿で、その左右の建物には孔子様の弟子に当たる人々の位牌が並べられています。

さて、そんな台北の孔子廟の特徴はというと、色々なバーチャル施設や展示などを通して、来館者が孔子様の提唱し学生たちが学んでいた、「礼(祭祀の時の礼)」「楽(舞や楽器)」「射(弓術)」「御(馬を御する方法)」「書(文字)」「数(数学)」の六芸(りくげい)を体験できるような施設が備えられているというところです。

孔子様の来歴や弟子たちとの問答やを映像で見ることができたり、弓術や馬術についてをゲームのように楽しんで学ぶことができたりと、なかなか工夫に溢れた展示内容になっています。展示には日本語の訳もありますので、安心して参観できますよ。

またこれら展示の他、祈福卡と呼ばれる縁起の良い言葉を書いた赤い紙をもらうことができたり、紙工芸のDIY体験をすることもできます(私も「学業進歩」という紙をもらいました)。

祈福卡は火曜から金曜の午前9時半〜11時半、午後2時〜4時、土、日曜日だと午前10時〜12時と午後2時〜4時の時間でもらうことができます。紙工芸のDIYは、毎週金曜日の午後2時〜4時の間で体験することができます。料金はどちらも無料です。

ミニシアターもあります!

この孔子廟ですが、廟の外に小さなムービーシアターが併設されていて、孔子様に関する4Dのムービーを見ることもできます。はい、3Dではなくて「4D」です。3Dメガネをかけて映像が飛び出す他に、座っている座席から風が吹き出してきたりする驚きの仕掛けを、こちらも無料で体験することができます。

昼の11時半から2時を除いた朝の10時から16時まで、20〜40分ほどの間隔で上映されます。タイミングがあった時にはこちらもぜひ覗いてみてくださいね。

孔廟最大の魅力とは


……こうして孔廟内の施設について色々書いてみると遊べる施設が盛りだくさんで観光客の絶えない場所のように見えますが、私が思うこの観光スポットの最大の魅力は、この孔廟が観光客があまり多くなく、静かな雰囲気を持った場所であるという点です。

木々の多い施設内は、小鳥のさえずりがよく聞こえ、木から木の間をリスたちが走り回ります。また小さな子供が両親や祖父母と訪れて、大成殿の前でまだ意味もわからないままに漢文の本を朗読したりします。台北の喧騒からほど近い場所にありながら、穏やかな風景の中でほっと一息つくのにぴったりのエリアでもあるのです。

台北市孔子廟
No. 275, Dalong Street, Datong District, Taipei City

医学の神様を祀る廟、大龍峒保安宮


孔廟とならぶこのエリアの見どころといえばもう1つ、孔廟の奥に位置する大龍峒保安宮です。こちらにお祀りされているのは、保生大帝という医学の神様をはじめとした、たくさんの神様たち。神農大帝や三十六神将、黒虎将軍などをはじめとする多くの神様がお祀りされています。

廟自体の歴史は更に古く、もとは福建省からの移民が1742年に木造の廟を建てたのが始まりなのだそうです。その後廟がどんどんと拡張され、幾度か再建や修復を経て今に至ります。私的領域内で保存や修復がなされた建築物として、2003年にはユネスコからアジア太平洋文化資産保存賞を受賞しています。

大龍峒保安宮には、貴重な彫刻や絵画がたくさん!


さてこの保安宮、龍山寺、巖祖師廟と並ぶ台北の三大寺廟のうちの1つと称されているのですが、観光でお参りされる方よりは、断然地域の方がお参りされている数の方が多いように見受けられます。他の方の参拝のお邪魔にならないように、そっと内部を参観させてもらうようにしましょう。

吉祥物の美しい石刻や、1910年代の修築時に作られた双龍や花鳥の意匠された柱、また古の偉人や仙人の物語に因んだ木彫りなど、精緻な造りを幾つも見ることができます。

建物に描かれた壁画は「八仙大鬧東海」「花木蘭代父従軍」「虎牢関三戦呂布」など、漢文が好きなら知っているような物語が題に取られており、見る人の心を弾ませます。

そんな具合に廟のあちこちに私たちの目を楽しませる意匠がありますので、神様の御姿だけみてさっと帰るのではなく、隅々までくまなく眺めてみてくださいね。

大龍峒保安宮
No. 17, Lane 49, Bao’an Street, Datong District, Taipei City

大龍峒エリアを歩き回ってみよう

さて、せっかく圓山駅に降り立ったのに孔廟と保安宮のに箇所だけ行ったのではもったいないので、この2つのスポットのある大龍峒エリアを少し歩いてみます。

保安宮を出て右へ曲がると、すぐに「騎樓」と呼ばれる、建物の1階部分が庇状にえぐれた歩道の下に入ります。日差しが強く突然の雨が多い台湾ならではの建築様式です。

大龍峒保安宮の真横にある喫茶店で一服


台湾の何が好きって、歴史ある建物の隣に何食わぬ顔でモダンな造りの喫茶店があったりするところです。そんな具合に保安宮の真横にあるのは、可愛らしいリャマのイラストが目印のNorma Coffee(諾馬咖啡)です。

台湾の喫茶店の特徴はというと、選べるメニューがとても多いこと。こちらのNorma Coffeeは他の喫茶店に比べたらメニューの量は少ないくらいですが、それでもアメリカン、ラテなど定番のメニューから、お店が選び抜いた豆から淹れるコーヒーなど、20種類ほどの中から飲み物を選ぶことができます。

私は孔廟に訪れるたび毎回こちらの喫茶店によるのですが、大抵、蜜釀冰咖啡(75元)と提拉米蘇(ティラミス、65元)を注文して一休みしています。暑い日差しを避けて一息つきたい時に訪れたい場所です。

台湾ならではの甘いものを食べに行く


休憩がてら甘いものをがっつり食べたいな、という場合は、孔廟の入り口があるところから酒泉街と大龍街のぶつかる交差点を渡って、そのまま真っ直ぐ進みましょう。大龍夜市商圏と呼ばれるエリアの中に「極極冷熱冰」(極極の文字はちょっと小さめ)という名前のお店を探してみてください。

こちらのお店の一押しメニューは、お店の名前と同じ「冷熱冰」(65元)。冰とはかき氷のことを指しているのですが、はて、冷たくて熱いかき氷とは? 疑問を持って友人に確認してみたところ、トッピングの小豆や落花生、白玉などを温かくしたものに、かき氷が載せられているものとのことでした。

……この日はちょっと寒かったので、かき氷は頼まずに、焼仙草(45元)と花生芝麻湯圓(60元)を注文しました。焼仙草はトッピング2種類を選ぶことができますので、ガラスケースの向こうに宝石みたいに飾られているトッピングとじっくりにらめっこして決めてみてくださいね。

私個人としては、地瓜(ディーグワー:サツマイモの甘煮)、花生(ファーシェン:ピーナッツ)あたりがオススメです。

大龍峒エリアのひそかな楽しみ、廃墟探し

大龍峒エリアを歩いて回るにあたり、もう1つ楽しみ方があります。実はこのエリア、あちこち回ってみると、所々に廃墟とも呼ぶべき空き家を見つけることができるのです。中が空っぽの家から、屋根がなくて向こう側が見えるもの、果ては屋根の代わりに木が生い茂っているもの…など、なんでこんな家が残っているの!?とびっくりしてしまうようなものをちらほらとみることができます。

空っぽの家ですのでさすがにいつまでもそのままというわけではないでしょうが、日常の中にある非日常的な風景が唐突に現れるのは、なかなか見ものです。有名な観光地だけと言わず、周囲のエリアも散策してみると、意外な発見をすることができるかもしれませんよ。
大龍峒エリアのひそかな楽しみ、廃墟探し

この記事を書いた人

ほず

ほずライター/日本語教師

神奈川生まれの神奈川県育ち。大学の頃から中国語が好きで、最近とうとう台湾に移住しました。昼は大学の語学センターの学生、夜は新米の日本語教師として、日々つつましく生活しています。 趣味は旅行と登山。交通手段がないなら歩けばいいじゃない、をモットーに、苦行のように歩き続けるタイプの観光をよくしています。そんな具合に歩きまくっている最中に見つけた美しい光景を、拙い文章力ながら、皆様にお届けすることができれば幸いです。

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