自然豊かな飯能エリアには、メルヘンチックでもあり、なかなか辿り着けない秘境とも言うべき場所が点在しています。面白いお寺から大人もワクワクする公園まで、珍スポットマニアが厳選した、3つの珍スポットをご紹介します。
変な名前の「子ノ権現」
正式には「子ノ権現」天龍寺です。「子ノ権現」は、太陽の光も差し込まない林道の先の、標高640mの山頂にあり、鳥居のある珍しいお寺です。奥武蔵の山深くにあるため、参拝者に「足腰のご利益がある」とされています。登坂能力の低いバイクや搭乗者でいっぱいのワンボックスカーなどは、坂を登りきれずに止まってしまうのではないかと心配になるくらいの、シャレにならないほど急峻な山の上にあります。
黒門を過ぎると、ブルーの衣を纏い、オレンジ色に光っているせいかコミカルに感じる仁王像が出迎えてくれます。
「子ノ権現」なんて妙な名前に興味を持って調べてみると、「子の年・子の月・子の日・子の刻に生まれた」というミラクルな時に生まれた「子ノ聖さん」が天龍寺を建立したので名づけられたようです。
※「子」とは、十二支の子(ね)のこと。権現とは、神様を示す言葉なので、「子ノ聖」様と呼ぶのがふさわしいですね。
真っ赤なハイヒールの持ち主は?
本堂の中を覗きこむと、足のサイズが2mもありそうなハイヒールが置かれていました。いったい誰が奉納したんでしょうか? 足のサイズから想像すると、身長が10m以上あることになります。世界中に巨人族の伝説が残っていますが、日本にも巨人がいたという証拠ではないでしょうか? 都市伝説マニアとしては、「コレ何?」というワクワク感が止まりません。
日本一の「鉄ワラジ」と紅白の「めおと下駄」
ワラジだけや下駄だけがある寺院を見かけることがありますが、両方揃っている寺院を他で見たことがありません。子ノ権現では、履物を願掛けに使う習わしがあり、重さ2トンの鉄ワラジと紅白の「めおと下駄」がシンボルマークになっています。それにしても、どれだけ大きな願いごとをするとこの大きさになるのでしょうか?
火事の合図と間違われたことのある「鐘楼堂」
本堂裏側の山を登ると奥の院があります。特に、奥の院横にある鐘楼堂の周りのモミジは、黄色から紅く変わり始めています。
以前、悪ふざけで「連打した」人がいたらしく、鐘楼堂の柱にこんな注意書きがしてあります……「連打は止めてください。連打は火事の合図です」。別の意味で、珍スポットにならないことを願います。
珍しいブロンズ像のある「竹寺(八王寺)」
未舗装林道の行き止まりに、クルマで通り抜ける「茅の輪」が、竹寺の駐車場入り口になります。
マッチョなのか? バストなのか? 「牛頭天王(ごずてんのう)」ブロンズ像
通称竹寺は、神仏習合のお寺なので鳥居があり、神仏習合の姿を残す遺構として知られるようになりました。牛頭天王(ごずてんのう)は、インド祇園精舎の守護神と言われています。インドから中国に入り、密教、道教、陰陽思想の習合ののち、日本に伝わったとされています。これからの紅葉シーズンは、真っ赤に色づいたモミジが、牛頭天王ブロンズ像を、より一層勇ましく見せてくれます。でも……ポージングのせいか? 胸のデカさがやっぱり気になる。
お寺にトーテムポール?
トーテムポールの中央には、印象的なポージングが目に焼き付く、牛頭天王が彫り込まれています。隣にある灯篭に刻まれた文字を読んでみると、東京・芝の増上寺から移設されたものだとわかります。以前、取材で訪れた所沢の狭山不動尊にも、同じような灯籠があったことを思い出しました。
茅の輪をくぐった先の本堂にナゾの物体
心身の清浄を願う茅の輪の周りには、モミジがたくさんあるので、紅葉狩りをしながら通り抜けると、より一層心洗われるような気持ちになれるでしょう。
ご本尊の牛頭天王は、陰陽道や蘇民将来伝説との関わりが深く、スサノオノミコトと同一人物と言われています。何やら、大きな徳利のようなモノが見えます。
ワンカップのお酒が添えられているので、徳利のように思えてしまいますが、「蘇民将来(そみんしょうらい)」護符(お守り)です。木製で六角柱状のお守りは、除災招福・出世開運を授けてくださるものです。とても珍しいカタチのお守りですね。
牛頭天王は、竜宮城への旅の途中に、ある村で裕福そうな巨旦の家で、「一晩泊めてください」とお願いしましたが、意地悪にも「貧しいから泊められない」と断られてしまいます。困りながらしばらく歩き、いかにも貧しい生活をしているような蘇民将来のボロ家で、「泊めてください」とお願いすると、快く泊めてもらい、粟のご飯を炊いてもてなしてくれました。牛頭天王は、泊めてもらったお礼に宝物の珠を蘇民に渡しました。宝物の珠というのは、心の優しい人が持つとお金が貯まるというものでした。その後、蘇民将来の家は村の長者さんになり、巨旦の家は悪ことばかり続いて家系が途絶えたという、蘇民将来の物語が残っています。困っている人には優しくしないと、幸せになれないという教えですね。
山の恵みが豊富になる春と秋に、予約すれば「精進料理」が味わえます。人当たりが良く、話しやすい住職の説法に耳を傾けながら、筍と数々の薬草などの素材に舌鼓してはいかがでしょうか。
ムーミン谷と呼ばれている「あけぼの子どもの森公園」
あけぼの子どもの森公園の入り口もわかりにくいうえ、公園案内板を見ても「ムーミン谷」とも、ムーミンのムの字も表示されていません。「ムーミン谷」と呼ばれるようになったのは、完全にクチコミによるものです。
エリンギみたいなムーミン屋敷
変なカタチの家が見えたせいか、ココからメルヘンモードです。家の中が気になるので、さっそく突入してみましょう。
シャンデリアが綺麗で、フワフワのソファーがあるリビングには、大きな暖炉もあります。ところでムーミンは「北欧のトロール」、妖精の一種ですが、暖炉で温まっても平気なんでしょうかね。
階段下のスペースには、秘密基地的な小部屋もあり、飽きることなく楽しめそうです。幼稚園児たちが、いろんな場所にある隠し扉を開けるために、ハイテンションで右往左往しています。子供にとって、これ以上ないオリエンテーションなのかもしれません。
階段の手すりはメルヘンチックなアートになっています。決して子供だけのモノでなく、大人だって楽しむことができ、有料でもおかしくない公園施設だと感じます。
スナフキンの釣り小屋を思わせるような水色の小屋
ムーミンの家の前を流れる川の下流には、スナフキンの釣り小屋のような建物があります。小屋に架かる橋の上から釣りをする姿が目に浮かびます。
変なカタチの見晴らし橋
川の上流にある見晴らし橋は、スリッパのようなカタチの橋です。近づいてみると、ブリキのような素材でできています。
橋はトンネルのようになっていて、1カ所だけ空いている穴を覗いてみると、ムーミンの家が幻想的に観えるようになっています。
帽子のようなカタチに見える屋根
広場の真ん中にある管理棟の屋根です。プレイリーダー(遊びの指導者)と呼ばれるスタッフが常駐しているので、子供だけじゃなく若い女性も、遊び方のレクチャーをしてもらっている姿を見かけます。ムーミンの作者、トーベ・ヤンソンの故郷のイメージにピッタリだと、ムーミンパークご本家のお墨付きのようです。
開園時間:9:00~17:00
休園日:毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は、その翌日)
いかがでしたか? 埼玉には意外な珍スポットが眠っています。ひと味違うお出かけがしたくなった日に、ぜひ行ってみてくださいね。