フランスでは病気の時にコーラをすすめられるって本当?(提供:ポカリスエット)
フランス

オーガニック食品が愛されるフランスですが、病気の時に、ドクターや周りの人から言われることは、「コーラを飲みなさい」。年に何度も流行するインフルエンザでも細菌性胃腸炎にかかった時でも、ドクターに言われることは変わらず「コーラをどんどん飲みなさい!」なんです。

これ、実は日本でいうおばあちゃんの知恵袋のような、フランスに昔からある習慣の1つ。最初にこのせりふを言われた時には、思わず訊き直してしまいました。「Coca(コカ)って?」(フランスでは、コーラをこう呼びます)

フランスの常識! 水分・糖分・エネルギーはコーラで補給

ドクターは怪訝な顔をして、「コカ知らないの? 飲んだことないですか? 黒い炭酸」。そして、処方箋に添えて別の紙にCocaと書いて渡してくれました。それでも、半信半疑でいたら、「これが1番手っ取り早く水分・糖分・エネルギーの補給が出来るんですよ」と。

面白いドクターもいるのねと思って、フランス人の女友達に話したら、「え、日本では違うの?」。

そう、フランスでは病気の時にコーラを飲むということはとてもポピュラーで、出身地方や宗教にかかわらず、たいていのフランス人が知っているし、私が出会ってきたドクターたちも、例外なく薦めてきました。子どもが遠足で乗り物酔いしたときも、炎天下で倒れた時も、先生や保護者が駆け寄っての応急処置にはコーラというシーンもよく見かけるものです。

日本ではまったく耳にしたことのないこの習慣……面白いですよね。どうしてなんでしょう?

フランスで体調不良の時にコーラを薦められる理由


写真は、あるスポーツ・アウトドア専門チェーンのレジ手前のコーナー。ずらりとスポーツドリンクが並んでいます。

日本では具合の悪い時にスポーツドリンクやイオン飲料を飲む方も多いのではないでしょうか? フランスでもいろんなフレーバーのスポーツドリンクやエネルギードリンクが存在するものの、体調が優れないときに飲むにはカフェインが強すぎたり、胃腸が弱っているときに飲むと吐き気が引き起こされてしまうものなどもあって、ドクターから薦められることはまずありません。

その代わりにポピュラーなのは、コーラ! 炭酸成分が整腸効果を促し、コーラに含まれている糖分・カフェインなどが水分と一緒に補給されることで快復を促すという説明をドクターからもよく聞きます。

別のスポーツ専門店チェーンのレジ脇では、この通り。水とコーラとスポーツドリンクが一緒に並んでいます。

フランスのママンたちも興味津々のポカリスエット


フランスでは体調不良の子どもにもコーラが薦められるのですが、ドクターたちもさすがに乳幼児にはコーラを飲ませることは禁止していて、代わりにお白湯かハーブティーにお砂糖を入れるのがフレンチスタイル。

「郷に入れば郷に従え」と、私自身もフランスで暮らすようになってからは、コーラを常備するようにしていましたが、子どもが生まれてからは俄然ポカリスエットが大活躍。

もともと日本に一時帰国した際には、ほかの食料品と一緒に持ち帰ったり、まとめて船便で送るようにしていたのですが、子どもによくある急な体調不良時はモチロン、子どもの成長とともに増える運動量と比例して、水分補給で飲用する機会も増えました。

フレンチスタイルが定着しているフランスのママン仲間たちにも紹介しようと日本で手に入れたポカリスエットの粉末を見せたら、近未来的だと半信半疑ながら興味津々。このことがよほど印象に残ったのか、数年後に日本を旅行したフランスのある友人家族は、街のいたるところにある自動販売機やコンビニでポカリスエットを簡単に、しかも安価に買えることに驚いたそうです。

手ぶらで出掛けても、いつでもどこでも気軽に買えるのが、愉しかったそう。湿度の違いもあって(フランスはとても乾燥しています)、水分補給に気を配るフランス人はとても多いんです。

深夜に息子が嘔吐! ポカリスエットに救われる

ある週末の夜、息子が突然噴水のように嘔吐しました。解熱鎮痛シロップを与えても熱は上がるばかりでぐったり。

投薬とポカリスエットでの水分補給の経過をメモしておいて、午前2時ころ家から車で15分ほどの大学病院に電話して、すぐに連れて行くべきか相談することに。

写真は、大学病院の診察個室。
私は日本、夫はパリ出身なので、ここマルセイユには頼れる親族はいないこと、運転できるのは夫だけなのでギリギリまで寝かせておきたいことを伝えると、折り返しで見知らぬドクターが電話をくれました。

週末深夜の救急は想像通りの混雑のため、待合室で待ち続けて体力を余計に消耗するよりは、ドクターの人数が増える朝に連れてきた方がいいとのこと。親はひとり起きていれば十分だからと、夫を寝かしておくことにも賛成してくれました。

そして、こまめに電話で状況を連絡するよう指示をくれ、ずっと不安にならずにいさせてくれました。午前8時に電話をした時点で、「では、30分後に連れてきてください」。そこで夫を起こし、これまでのいきさつを話しながら、病院へ。

運転しながら「僕は、ドクターに何をどう説明すればいいの?」と訊く夫に、「あなたはとにかく、ポカリスエットは体液と近い成分で、日本ではこれを与えるのがごくごく常識的なことだと説明してくれればいいのよ」と、それまでの経緯を話しました。

そう、実は電話口でドクターに「水分補給は?」と訊かれてポカリスエットを与えていると言ったら、いわゆる栄養ドリンクと勘違いされて、叱られてしまったんです。体液に近い成分だと言っても、言葉を間違えていると思った様子で、とにかく普通の水にしなさい、と言うばかり。フランス人の彼が言えば、さすがに本当だと信じてもらえるはずだと考えました。

救急病院のドクターも感嘆したポカリスエット


日本で暮らしたことはない夫ですが、ポカリスエットの効能は体感済み。私は海外旅行時にいつも粉末を携帯しているのですが、彼がブラジルで予想以上の日照りにまいっていた時に分けてあげて以来、愛飲しているんです。


病院には現物も持っていっていたので、その話をしながらドクターに見せたところ、「成分が体液と近い? 確かにそれは効果的なはず。普通に処方箋なしで買えるんですか?」と感嘆しきり。商品名や成分をキッチリ記載しながら、「日本に行ってみなくちゃ。季節はいつがお薦め?」とも。

緊張したシーンでも、ほっとこんな会話になるのが、フランス生活で好きなところ。頑張りすぎてポキンと折れてしまわずに暮らせているのは、こうした出会いやふれあいでの笑顔の積み重ねがあってこそ、だと思っています。一晩中励ましてくれたドクターとポカリスエットには、心から感謝!

成長した息子は今でもポカリスエットを愛用


今では14歳になった息子にとって、ポカリスエットは自己管理の頼りになる存在。夏のサッカーの練習時にも、怪我してリハビリに取り組む時も、試合などで遠くに行く時も、日本から持ち帰った専用容器(2代目)と粉末を、いつも携帯しています。

これからも、世界のどこで暮らしていても、私たち家族にとってポカリスエットは手放せない大切な存在。

この記事を書いた人

ボッティ喜美子

ボッティ喜美子仏日通訳翻訳・ジャーナリスト

フランス在住。東京で長らく広告・PR業に携わり、1998年に渡仏。パリとニースで暮らした後、2000年からパリジャンの夫の転勤で南米ブエノスアイレスへ3年、出産も現地で。パリに戻り、地中海の街マルセイユへ転勤して13年。南仏拠点で時々パリの実家へ、家庭優先で仕事しています。Framatech社主催の仏ビジネスマン対象のセミナー『日本人と仕事をするには?』講師は10年目(年2回)。英語・スペイン語も少々。

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