これが古き良きベトナム。「ドゥオンラム村」まで足を延ばすと広がる世界とは?
ベトナム

こんにちは、元ダナン滞在経験者ユルワです。
いつもはダナンを含む中部ベトナム地域についての情報をお送りしていますが、今回は少し足を延ばして首都ハノイ近くの穴場スポットを皆さんにご紹介したいと思います。

ハノイから日帰りが可能な観光地として旅行者に人気なのが、バスで40分ほどのバッチャン焼の窯元の街「バッチャン」です。でも実は同じくハノイから車で1時間半ほどのところに、古き良きベトナムの雰囲気を残した「ドゥオンラム」という魅力的な村があるのをご存知でしたか?今回はそんなドゥオンラムの魅力をお伝えします!

ドゥオンラム村とは?


まずドゥオンラム(Đường Lâm)村の基本情報を勉強しておきましょう。
ドゥオンラム村はハノイ中心部から50kmの郊外にあり、人口8,000人ほどが暮らす800haほどの広さとなります。

その歴史は15世紀にまでさかのぼると言われ、現在でも100年前に建てられた自然石やレンガの家屋や塀が残されおり、古き良きベトナムの姿を現代に伝える貴重な存在なのです。

しかも、この村からベトナム史上に残る英雄たちを輩出しており、歴史的にも重要な村でもあります。そんなことから2005年にはベトナム政府から文化遺産として認定されました。

文化遺産に認定されたからには、村としては伝統家屋の保存や歴史の詳細調査を行う必要があります。そこで何と日越政府間の取り決めから、日本が村おこしのお手伝いすることになったのでした。

日本の大学や研究所による調査や家屋の修復に加え、JICAの青年海外協力隊による草の根的な活動により、ベトナムの伝統を残した村として観光による収益と生活向上の努力が続けられてきたそうです。

そんなドゥオンラム村のことをユルワが知ったのは、定番ガイドブック『地球の歩き方ベトナム』の記事でした。

その時にはすでにダナンに10か月近く滞在し、中部の観光スポットもハノイもホーチミンもサパも訪れていたので、ハノイ近郊で「観光地化が進みすぎていない」穴場的な場所へ行ってみたいと思っていたことから、帰国直前のハノイ滞在時に、数時間あれば往復が可能なドゥオンラム村を行先として決めたのでした。

ドゥオンラム村日帰り旅行


気になるアクセスはローカルバスを使うのが最安の方法ですが、言葉や地理に不慣れな旅行者がさくっと行って、帰ってくるには街中の旅行会社のツアーに参加するか、ホテルのコンシェルジュに手配を頼むのが手っ取り早い方法だと思います。

ユルワもホテルにお願いして、車をチャーターしました。フロントのおじさんが「ドゥオンラム村はきれいなところだよ。うちの奥さんがそこの出身なんだ」なんて話しかけてくれたものですから、期待は一気に膨らんだのでした。

ハノイから40分程走ると、一面に広がる田園風景が広がってきます。車窓に広がるのどかな景色を眺めていたら、あっという間に到着です。車のチャーターだけだったので、村の入り口で運転手のお兄さんと分かれて単独行動となりました。

受付で入村料の2万ドン(約110円)を支払い地図をもらって、いざ入村。ドゥオン村は主に5つの集落が保存地区とされており、観光客が訪れるのはそのうちの3つの集落です。以下、簡単にそれぞれの集落の見どころをまとめてみました。(入村料の金額は変更する可能性もあります。)

1.モンフ(Mông Phụ)集落


村の真ん中に位置し、観光客はこの集落の「モンフ門」から入村することになります。門から歩みを進めると、広場に出ます。広場にはモンフ亭(Đình Mông Phụ)の堂々とした姿が目に入ります。

ここは村の守護神を祀る祠であり、且つ集会や祭りが行われる、村にとって大切な場所なのだそうです。18世紀中ごろに建てられ、その1世紀後に拡張されて今の形になったそうです。

広場のあちこちで観光客相手のお土産の露店が出ているのですが、こちらから聞かなくても「あっち、あっち!」と行先を教えてくれます。そんな親切な声に従うように、迷路のような路地を進んでいきます。

モンフ集落にはドゥオンラム村の目玉である伝統家屋が集中しており、写真撮影には最高のエリア。ベトナム人が漢字を使っていたころの名残でしょうか。建設年と一緒に漢字が残っているのを見ると、歴史の香りが感じられます。
また、村人の生活に欠かせない古い井戸も残っていたりするので、必見です。


ふと、扉が開け放たれたお宅に行き当たりました。住人に「シンチャオ(こんにちは)」とあいさつをすれば快く中を見学させてもらえるので、失礼にならない範囲で見せていただきましょう。


ここで注意していただきたいのが、お宅の中の祭壇に背を向けないこと。とても失礼なことだそうです。

こんなところで犬に遭遇したら怖いな、なんてひやひやしながらも、好奇心には勝てずどんどん迷路を歩いていきます。すると、軒先でこんなおばあちゃんに出会いました。

ドゥオンラム村の名物、チェーラム(Chè Lam)という、ピーナッツと生姜が入ったお餅のお菓子を、自宅の軒先で訪れる人に売っているのです。気前よく試食させてもらい、おばあちゃんが「おいしいかい?」と聞いてくるので、「はい、おいしいです」と答えると、自動的にお買い上げという流れに (笑)。チェーラムは他の集落の市場でも売っていますが、こちらのおばあちゃんのはできたてほやほやの自家製だったので、お餅が柔らかくとてもおいしかったです。

ドゥオンラム村にはキリスト教の信者も多く、背の高い立派な教会は村のランドマーク的存在。そんな教会を背にして、次はドンサン集落へ北上していきます。

2.ドンサン(Đông Sàng)集落


ドンサン集落に入ると人手がにわかに増え始め、小さな商店が並んでいたり、市場が立っていたりします。どうやらここが村の中心部の様子。ドンサン集落の見どころは、その近くに位置するミア寺(Chùa Mía)とミア神社(Đền Thờ Bà Chúa Mía)です。

ミア寺は通称で、スンギエム寺(Sùng Nghiêm崇厳寺)というのが本当のお寺の名前。伝統的な木造の仏像や、日本とは異なる様式の仏塔など、ベトナムの仏教美術に興味があればぜひじっくり見学してみてください。

境内にはジャックフルーツの木がたくさん植えられていて、木から実がなっている様子は日本では見られない珍しいビジュアルなので、そちらもお見逃しなく。

お寺の前で参拝客相手にお土産を売っているおばちゃんたちとおしゃべりしていたら「え! 結婚してないの!? ベトナムの男はどうだい?」なんて笑われてしまいました。もちろんこちらでも先述のチェーラムが購入できます。

ミア寺のすぐ近くにミア神社があります。どちらも「ミア」という名前がついているのは、この村出身の王宮に嫁いだ同名のお妃に由来するとのこと。宮廷で宮仕えをしていたミア妃は、村に住んでいた高齢の両親の世話をするべく、宮廷を去り里帰りしたと言います。

その後、村の寺社や市場、橋などの建設を指揮するなど、村の発展に寄与した才女としてその功績が現在でもたたえられているのです。

3.カムラム(Cam Lâm)集落

今回の訪問では時間がなかったため訪れることができなかったのですが、モンフ集落のモンフ門を一度出て、少し歩いたところにあるカムラム集落には、村出身の英雄を祀るフンフン神社とゴークエン神社もあり、上述のミア寺とミア神社と併せて村のパワースポット巡りができちゃいます。

ドゥオンラム村は観光地として村おこしが始まっており、訪れる人のすこしずつ増えてきているよう。実際、私が村を出る頃には、欧米人の観光客がガイドと共に入村していく姿を見かけました。

しかしそれでも、村の人には外国人対応が難しかったり、観光客にわかりやすい案内板が出ているわけではないので、言葉に不慣れな旅行者にとっては依然としてハードルは少し高め。

だからこそ逆に「観光ずれ」していない素朴でのどかな雰囲気は壊されていない気がします。ユルワ自身も観光客でしたから矛盾しているのですが、大挙して人が押し寄せるのではなく、このままずっと穴場的な存在でいて、村の良さを残してほしいなんていう願いを抱いたりします。もちろん村人の生活が向上することも願ってやまないのですが……

ドゥオンラム村へのアクセス

そんなドゥオンラム村へ訪れるには、冒頭で述べた通り以下の方法がベスト。
・ハノイの町中にある旅行会社のツアー(英語かフランス語ガイド)に申し込む
・日系旅行会社によるオプショナルツアー(日本語ガイド)を事前に申し込む
 *tnk japanAIC TRAVEL等があります。
 *ツアー催行の有無、内容、価格等の変更の可能性もあるので、あらかじめご確認ください。

ドゥオンラム村

この記事を書いた人

ユルワ

ユルワベトナム/ダナン専門家

「女一人でどこへでも乗り込む」アラフォーのトラベルライター。主にベトナムの中で大人気のダナンを掘り下げて情報発信しております。 幼少のころから東京都内を転々とし、更に家族と札幌へ移住。そんな生い立ちからついたノマド癖。 モノはないけど海が超絶きれいな太平洋上の島国と激安激ウマのベトナム・ダナンで通算3年間に及ぶ海外暮らし経験有。次はどこで暮らそうかなと思案中です。

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