世界最古のウィスキー蒸留所が、実は北アイルランドにある事をご存知でしょうか。その名も「ブッシュミルズ」。
アサヒビールが販売しているため、日本のお店で見かける事も珍しくありませんね。古くは1608年からウィスキー造りに情熱を燃やすブッシュミルズですが、現地を訪れればその製造の秘密を覗き見る事が出来るんです。
古くもあり新しくもあり、何より美味しいウィスキーを求めて早速行ってみましょう。
ブッシュミルズへようこそ
ブッシュミルズ村は、北アイルランドの最北端、海岸線沿いにある小さな村です。周囲は草原に囲まれており、最寄のポートラッシュ町からは走って2時間かかりました。
近くには世界遺産に登録されている奇石群「ジャイアンツ・コーズウェー」がありますので、交通機関を利用しても、合わせてバスで訪れると行きやすいですよ。
蒸留所の見学ツアーは時間不定期、人が集まり次第開始ののんびりしたスケジュールです。夏場は回転が早い為、長く待つ必要はありませんが、冬場は事前にツアーの開始時間を確認した方が安心です。
これが酒造りの本気! 新進気鋭のハイテク装置群
煉瓦造りで古き良きアイルランドの香りを漂わせるブッシュミルズ醸造所ですが、ガイドさんに連れられて一歩中に足を踏み入れればそこはハイテクの世界。
ちなみにブッシュミズルのウィスキーは、3回蒸留を繰り返す事に特徴があります。伝統的な手腕をハイテク機器に落とし込んでいるのです。
残念ながら室内は撮影禁止ですので、外部のお写真をご覧下さい。古きよき香りが漂ってますよね。でもハイテクな機械が詰まってるんです。本当なんです。
世界最古の名は伊達じゃない、樽の数は歴史の重み
ハイテク蒸留所を見学した後に案内して頂くのは、ウィスキーを寝かせている木樽の山。床から天井までみっしりと詰まる樽に度肝を抜かれてしまいます。
香りの良いウィスキーに仕上げる為には、品質の良い樽を使わねばならない……と言うことで、この倉庫には100年もの200年ものの樽が現役で使用されているとの事。お酒に弱い人なら、存在しているだけで酔ってしまいそうな濃厚なウィスキーの香り漂う倉庫です。
こちらも内部の写真撮影は禁止。ドイツ、エルトヴィレ修道院のワイン貯蓄倉庫の写真でイメージをお高め下さい。こちらの樽は現在使われていませんが、ブッシュミルズではこのアンティーク級の樽が最後の香り付けに一役買っているのです。
これからの抱負と展望
お酒業界共通の悩み、それは「若い人が呑んでくれない」こと! 特に度数の高いお酒ではその傾向が顕著で、ウィスキーも若者の酒離れによる打撃を受けています。
そこでブッシュミルズで開発されているのが、甘口であったり、甘い香りのするウィスキーたち。特に人気を博しているのが、はちみつを加えた甘いお味に、アイルランドの果物のフレーバーを加えた「ハニーウィスキー」や「ハニーブレンドフレーバードウィスキー」です。
女性相手への間口を広げんとする意気込みを感じます。お味の方は、爽やかな洋ナシのような香りに誘われて口にすると、甘口でありながら火を噴くアルコール度数が襲い掛かって来ます。
危ない。呑みすぎに要注意。しかしぐいぐい呑めてしまう程美味しいのです……。
一呑は百聞にしかずのティスティングタイム
ツアーの最後には、みなさんお待ちかねのティスティングタイムが設けられています。
試せるウィスキーは、ブッシュミルズの看板商品、「Bushmills Original」、「Bushmills 10Year Old」「Bushmills 16Year Old」の2種類(変更の可能性あり)。
筆者は16Year Oldに挑戦致しましたが、とにかく香りが良い。アロマオイル代わりに部屋に置いておきたい程、グラスから良い香りが漂います。お味の方は案外あっさりしており癖がなく、ウィスキーの素人でもゆっくり呑むのに最適でございました。
お土産コーナーあり、ウィスキーと共に楽しむのにピッタリな郷土料理のレストランあり、ウィスキー好きには少なくとも半日は留まらずには居られない蒸留所です。
オールド・ブッシュミルズ蒸留所へのアクセス
ブッシュミルズ醸造所への最寄の町は、北アイルランドの首都ベルファストから電車で2時間ほどの町、ポートラッシュ。
ポートラッシュからは地元のバスが1時間に1本程度運行しており、20分程でブッシュミルズに到着します。世界遺産、ジャイアンツ・コーズウェイと合わせて行くなら、こちらの保存鉄道も是非ともオススメ。おもちゃのように可愛らしい列車ですが、海辺の絶景を走り抜けます。
美味しいお酒でほろ酔い気分の中、浴びる海風は最高と言うもの。小さなブッシュミルズ村もそぞろ歩きにはピッタリです。是非最古の醸造所が誇るウィスキーの味をご満喫下さい。