「シーッ」の声が何度も鳴り響く、謎の”静かな”バーに行ってみた
アメリカ

「静かな」バーって興味ある?と友人から尋ねられた。何のことやら?と思いつつ、行ってみることに。

静かな?? 一体何のことやら?

安直なイメージが脳内に出来上がる。インテリアの椅子とかに無駄に凝ったカクテルバーか何かで敷居が少し高く。いつものTシャツジーンズだとちょっと気遅れてしてしまう様な。

友人と少しはしゃいだりすると、これまた敷居の高い偉っらそうなバーテンダーが無表情で「ほかのお客様のご迷惑となりますので」と嫌味を言いに来るアレだ。アレだろうきっと。


まぁ、行ってもいいけど何か楽しい事あるのかな。私スカした店はあんまり好きじゃないんだ。男性が女性を口説くためにカッコつけて、ワインのうんちくとか語るアレだ。

やっぱりフルボディの年代ものは……なんて言い出すアレだ。ケッ。などと脳内で考えていると、恐らく顔に出ていたのであろう、脳内を全て見透かされたかのように「まぁ行けば解るから。」

と笑われつつ店内へ。

こじんまり。バーっていうよりビストロとかそういう感じだけど?


場所はイーストビレッジにある。なんかちょっとビストロやバルの様な佇まい。カランと中に入ると、安定のバー。安心する。壁はなんだかゴシックっぽい。なんかいいんじゃない?

さてメニューを見る。そのに日のおすすめが羅列されているという点ではほかの店と同様だ。だが、メニューの一番下にSHHSHHHH!(シーッ!)と書いてある。

何々? どういうこと??

シーーーッツ

今日のビールの気分は特にない。書いてあるのもローカルというよりインポートが多い。こだわりはあるようだが、インポートの銘柄まで網羅は未だできていない。つまり、よくわからない。

適当に何個か試してみて(試飲してみて)それで決めよう。6番かな。いや久しぶりにシメイでもいいか。うーん。

友人とそのままカウンターで何となく会話をする。主にバーの話や酒の話だ。それもそうである。それが今日のメインでもある。

一杯飲み終わり、もう一杯。今度は違うのにしよう。いや、同じでいいか。クピクピとグラスを空け2杯目少しほろ酔いになって来る。

気が付くと店内のほかの客も盛り上がっている。店内の雰囲気もいいし、こういう日もあっていいな。等と楽しくなり始めたその時。


突然バーテンダーが
「シーーーッツ!!!!」


と発する。店内はサーーーっと水が引いたように鎮まるが、一瞬のみ。

その「シーーーーッツ」のコレ。これが名物である。客の顔は「でた~!!!」といった感じ。全員が周りとそれぞれ目を見合わせクスクス笑う。

そしてまた何事も無かったかのように少しずつ話を続けるのである。敷居? 全く高くなどない。いや、実際味わってみると、コレは結構楽しい!のである。

暗黙の了解。シーッとでたら、一旦静かにする。これがお約束。

なるほど、「静かな」とはうまく言ったものである。3度ほど、シーーッを聞くほどが出来、いい意味で予想をはるかに裏切られた私の喜びは半端なものではなかったが、大満足であった。

これもまたニューヨークのユニークなバーの1つと言えよう。

Burp Castle
住所: 41 E 7th St, New York, NY 10003
営業時間:
月ー金 5PM–12AM
土 4PM–2AM
日 4PM–2AM
公式HPはこちら

この記事を書いた人

アルカリ

アルカリさすらいの呑人

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