ニューヨークで150年以上やっているゲイバーに行ってみた。
アメリカ

NYは人もBARも多い街だ。道を歩けば、BAR BAR BAR。そういえば、ベトナムのビールの名前も333(ベトナムの発音がバーバーバー)。本題から逸れてしまった。

さて、NYも完全に夏を迎えた。まだ観ぬ個性あふれるBARを探して今日も街を散策。

西暦1850年代からあるバー??

老舗のゲイバーは以前より興味があったのだが、所変われば品変わる。新宿2丁目は誰でも歓迎してくれるが、こちらはどうか。ゲイでなくとも行っていいのかどうなのか? アメリカ人の友人に聞くと全く問題無いとの事。

早速訪問。老舗のゲイバーである。外からも明らかにわかる、ロゴの上にレインボーのマーク。レインボーマークはLGBTの印である。

ドアは一見固く閉ざされており、オープンしているのか分からない。窓から覗くとうっすらと見えるライト。そして人。なんとなく入りにくさを感じさせる雰囲気。

だがそんなものは関係ない。第二の故郷を求めるというテーマのもと、世界中に居心地のいいバーを探す為、今日も私はここにいるのだ。

ガタン。ドアを開けるとバーテンダーと目が合う。いつも言うこの言葉。

「入ってもいいですか?」
「モチロン。好きな席に座ってね。」

中に入る。壁に飾られている写真が素晴らしい。古いNYの歴史を感じさせてくれる。

いやいや、そんなの解らないだろう日本人なのだから。と思うかもしれないが解るのだ。このバーには確かに歴史がある。

カウンターにはタンクトップのマッチョが離れて2人。おしゃれだけど、線の細すぎる男性が1人。バーテンダー以外、誰も私に目すら向けない。彼らは静かに飲んでいる。

さておき私も早速ビールをオーダーする。Lagunitas IPAだ。Langunitasと言うビールは比較的どこのレストランにも置いてある。

味は王道ながらも苦みがあって、かけつけ一杯にちょうどいい。更にハッピーアワーで、安い。通常7~8ドルのものが4~5ドルになる。

※店によっては、ハッピーアワーの対象ビールと非対象ビールもあるので、必ず確認を。

昔のハリウッド映画のスター? この写真その時からあるの?

店内の写真を撮っていると、「いい写真撮れた?」と店の人が話しかけてくれた。バーテンダーではない。オーナーだろうか?

「はい。あまりにも1つ1つの写真に歴史があって。私のようにNYに来る人に知って貰いたくて。」と答える。

すると「ここは古いからねえ。1850年代からあるんだよ」「そうすごく古い」「古いねえ」などと周りの人も口々に答え始めた。

彼らはカウンターの右端に座っている。私は左端だ。私の側には誰も座ってこない。入った時から他の客との間に薄々距離感を感じていたのだが、そうではない?!

嬉しくなったのもつかの間、話終わると皆そっぽを向いてしまう。くっ。少し寂しくもあるが、でも来たばかりの私の発言に答えてくれたのだ。私は写真を撮り続ける。

ふと気が付くとバーテンダーとオーナーが撮りやすいように少しかがんでくれていた。優しい!

NYらしい空間に身をゆだね、味わう

ゲイバーだからか、今日は客も男性しかいなかった。

NYに来たならマンハッタンのエンパイヤステートビルを巡るのもいい。でもそれはみんなが知っている事。

酒好きならばこういうバーに来るのも1つの思い出となる。素晴らしく良い。NYらしさを感じさせてくれ、ビールの味わいに浸らせてくれる。

壁の新聞の切り抜きを見ていると、アメリカの古い映画を観ているような感覚に陥った。そしてグラスが空になる。

写真に写っている人たちがゲイなのかそうでないのか? 聞きたいが、何と無くまだ失礼だと思い、聞くのをためらってしまった。

2杯目はブルームーン。苦みのないビールであり、ほのかに甘く、女性におすすめである。飲みながら、そっと1ドルをカウンターに置く。

暫くするとバーテンダーが気がつき、私にサンキューといってウィンクを。グレーヘアーのダスティンホフマンに良く似た彼だ、店の雰囲気ともマッチしており、非常にセクシーである。残念なことに。

小腹が空いたので、チキンウィングをオーダーする。「食事は僕じゃないよ。彼に言って、彼にお金払ってね」と言われる。

振り向くと食事担当の小さいキッチンが後ろに。なんと! 食事と酒が別会計だ。渡す人が異なるというのも面白い。食事担当の彼?はかなり大きい男性であり、マッチョではないが、タンクトップにエプロンである。

揚げたてのチキン。ソースは沢山あるようだった。首をかしげながらどれにしようかと選んでいると、彼が説明してくれる。「これは、マスタード。これはバーベキュー。あ、ブルーチーズのレンチもあるよ。」

私はレンチが好きなのである。レンチとはこちらではポピュラーな、チキンと良く合うフレンチドレッシングとマヨネーズとタルタルソースをブレンドしたような味のソースである。

これにスパイスを加えたり、チーズを加えたりしてその店ごとに味が違う。

「レンチで!」ぽんっと出てきた。

チキンはアツアツ。それもその通りである。今私の後ろの席で、作ったのだから。ブルーチーズのレンチと良く合う。のど越しに通るジューシーなチキン。先ほど頼んだビールは甘みのあるビールである。マッチする。

かけつけ2杯を結構なスピードで飲んだせいか、今日は酔いのまわりが早いようだ。※アメリカのビールはアルコール度数が高いのでゆっくり飲むのをお勧めする。

バーを堪能した私はそっと店を出る。彼らもまた静まり返って飲んでいるからだ。その場所に来た人だけが味わえる、表現しがたい阿吽の呼吸。それがバーである。

Julius
159 West 10th Street, New York, NY 10014
公式HPはこちら

この記事を書いた人

アルカリ

アルカリさすらいの呑人

面白いNYのバーシーンを紹介していきます。

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