アルコールを原液で飲み、意識を失う…ボリビアの田舎をむしばむ負の連鎖
ボリビア

こんにちは! ボリビア在住のZICです。

ボリビアに滞在していると生活のいろいろな面でカルチャーショックや文化の違いを感じることがあります。もちろん、ボリビア人の陽気さと人の良さに、日本人として学ぶことも多いです。

しかし、こちらに来て特に衝撃を受けたのは一部のボリビア人ですが、そのお酒の飲み方。日本人の私たちにとっては考えられない方法でのボリビア人のお酒のたしなみ方。また、それが特にボリビアの田舎の方では町の発展にまでかかわる問題にもなっています。そんなボリビア人のアルコール事情についてご紹介します。

浴びるほど飲むのが主流? 町中でビールを飲むのはご注意を


休日や祝祭日になると、ボリビア人はお酒、特にビールを飲みたがります。その点は日本人も同じです。しかし、その飲み方はボリビアと日本で方法が異なります。

日本人は初めにビールを飲んで、そのあとお酒の種類を変えながら、食事と談笑を楽しみます。いわゆるノミュニケーションです。泥酔するまで飲む人もいるでしょうが、ほろ酔い気分で家に帰り良いお酒を楽しむのが一般的。

ボリビアの町のお酒屋さんではいつも大量のビールが仕入れられています。そして、その在庫がなくなるくらい人々はビールを買いに来ます。

特に田舎では休日には親戚一同が集まったり、仲間内で集まったりしてビールを飲みますが、本当に浴びるようにビールを飲みます。何かお酒のアテと楽しむのではなくただひたすらビールを何リットルも飲み続けます。浴びるように飲んで、意識がなくなるまで酔っ払う事が、娯楽の少ないボリビアの田舎では一つの楽しみになります。

そうした極度に泥酔した人の事をこちらではボラッチョ(酔っ払いの意)と呼びます。田舎町ではこのボラッチョが多く、町でビールを買う事、町中でビールを飲んでいるとボラッチョに間違われることもあるので注意が必要です。

酔っ払うために、アルコールの原液を飲む人々


大量のビールを飲んでボラッチョになった人は町の中で崩れるように倒れていたり、ゾンビの様に歩いて町の人に絡んでいることもあり、祝日には街歩きには注意が必要。

そして、ビールを買うお金をない人で酔っ払いたい人は、なんとアルコールの原液に少し水やスプライトなどを混ぜて一気に飲む人もいます。時々、町にアルコールの原液、いわゆる消毒液の空きボトルが落ちていることがありますが、これは怪我をして使用したものではなく、ボラッチョが飲んだ跡です。アルコールほぼ100%の飲み物を飲んで、一気に意識を失うのがボリビアの一部の人々の娯楽となっており、社会問題の一つとも言えるかもしれません。

田舎町の発展を阻むボラッチョの存在


都市部にもこのアルコールの問題を抱える人は居ますが、それでもきちんと仕事をして家族を養っている人もいます。しかし、ボリビアの田舎町ではこのボラッチョの問題は深刻です。平日の朝からビールもしくはアルコールをたしなみ、泥酔して道で寝ている人を見かけることがあります。

仕事、そして人口の少ない閉ざされた空間となるボリビアの田舎町では娯楽が本当に少なく、このアルコールの問題を抱える男性は多いです。家族を持ちながら仕事もせず飲んだくれている男性も多いです。女性や子供たちが働き支えるという悲しい家族もいます。

若く有望な田舎町の若者たちは夢を見て都市部へと出てゆきます。そして、ボラッチョばかりが田舎に残るという負の連鎖があります。寂れて、活気のない田舎町の様子を見ると、本来は町を支えて働くべき男性がアルコールに飲まれて動けないという状況も関係しています。

ボリビアは途上国でまだまだ男尊女卑の世界です。女性が家族を支えるために一生懸命働き、男性は飲み歩いているという光景もよく目にします。田舎町では特によく見られます。男尊女卑とアルコールとの向き合い方、これらを改めなければボリビアの田舎町のこれからの発展は難しいような気がします。

魅力的な観光スポットを有していてもその町が発展しないのはそうした原因もあります。ボリビアの田舎町においてこの根深い問題が少しづつ解決してゆくことを願わずにはいられません。

この記事を書いた人

ZIC

ZIC

南米ボリビア在住。ウユニ塩湖以外にも見どころはたくさんあり、現地から見つめた旅の情報を楽しくお伝えできればと思います。また南米各地の魅力あふれる情報もお伝えしたいと思います。

    チャンネル

    チャンネルをもっと見る