日本有数の湧出量と泉質を誇る草津温泉。湯畑を中心に賑わう温泉街から少し離れた高台に、2026年6月、星野リゾートの温泉旅館ブランド「界」では群馬県初となる「界 草津」がオープンしました。実はこちらの宿、温泉街とトンネルでつながっているのが特徴。せっかく草津まで来たのだから、温泉だけでなく、食や文化にも触れながらゆっくり過ごしたい。そんな人にぴったりの宿です。さらに、1泊よりも2泊3日の滞在がおすすめ。今回は実際に2泊して、客室や温泉、食事はもちろん、館内での過ごし方や温泉街の散策まで体験してきました。2泊してみてわかった魅力を紹介します。
星野リゾートの温泉旅館ブランド「界」

「界」は、星野リゾートが全国の温泉地に展開する温泉旅館ブランドです。コンセプトは「王道なのに、あたらしい。」。
ただ温泉に入ってのんびりするだけではなく、その土地ならではの文化や食に触れられるのが「界」の楽しみ方。地域の伝統工芸や郷土文化を取り入れた「ご当地部屋」や、土地の歴史や芸能を体験できる「ご当地楽」、その土地ならではの食材を使った会席料理など、宿にいながらその土地の魅力を楽しめます。
昔ながらの温泉旅館の良さを残しながら、現代の旅に合わせた過ごしやすさも取り入れています。温泉でゆっくり体を休めながら、その土地の文化にも触れられる現代にあった湯治体験を楽しめるのも「界」ならではの過ごし方。
トンネルの先は温泉街!「界 草津」とは?

「界 草津」は、草津温泉の高台に建つ温泉旅館。木立に囲まれた中庭を中心に、宿泊棟や湯小屋、暖炉ラウンジなどが中庭を囲むように配置されています。
面白いのが、宿と温泉街が専用のトンネルでつながっていること! 宿を出てトンネルを抜けると、そこはもう湯畑周辺の温泉街なんです。宿で静かに過ごしたあと、気軽に温泉街へ出かけられるのも、この宿ならでは。
館内では、群馬の文化に触れられる「ご当地楽」の「シルクを紡ぐ上州座繰り」を体験。さらに、温泉街を歩くときには「界 草津まちめぐりセット」を使って、草津の街を自分なりに巡ることもできます。

宿で過ごす時間も、温泉街へ出かける時間も、それぞれ違った楽しみ方が用意されているのが「界 草津」。だからこそ、1泊で慌ただしく過ごすより、2泊してじっくり味わいたくなる宿なのです。それでは、滞在の様子を紹介していきましょう。
露天風呂つきの客室へ

群馬は、かつて養蚕や製糸業で栄えた土地。そんな群馬の歴史や文化を感じさせるのが、館内のあちらこちらで見かける世界的なテキスタイルデザイナー・須藤玲子氏が手掛けた布のアートです。客室にも取り入れられていて、落ち着いた空間の中で印象的な存在感を放っています。
今回は露天風呂付きの客室に宿泊しました。
客室内で目を引いたのが壁を飾るシルクアート。光沢のある絹糸で湯けむりを表現した繊細なドットと草津の自然が、モダンな客室にやわらかな雰囲気を添えています。

大きな窓の外に広がるのは、敷地内の木立。テラスのイスに座って眺めているだけでも、なんだか贅沢な気分になります。しかも、露天風呂からもこの景色が見られるなんて!
客室には、界オリジナルの作務衣と、風呂敷に包まれたアメニティも用意されています。この風呂敷は施設ごとに色が異なるそうで、滞在中は小物入れとして使えるほか、持ち帰って旅の思い出にできるのもうれしいところ。
まずは作務衣に着替えて、お部屋にあった「蒸し生姜湯」とお付き菓子でひと休み。移動の疲れを癒やしたら、いよいよ大浴場へ向かいます。
大浴場へ。2つの源泉を入り比べ

客室でひと息ついたら、中庭を抜けて湯小屋へ。大浴場は独立した建物になっていて、木立の間を歩いて向かいます。この短いアプローチも、これから温泉に入るぞ! という気分をちょっと盛り上げてくれます。
大浴場は、天井が高く開放感のある内風呂と、自然を間近に感じられる露天風呂。草津温泉といえば、強い酸性のお湯が特徴。こちらでは「万代鉱源泉」と「西の河原源泉」の2つの源泉を引いています。

内風呂にはぬる湯と熱めの浴槽があり、好みの温度のお湯が楽しめます。さらに、源泉もそれぞれ異なるので、入り比べてみるのもいいですね。

露天風呂は万代鉱源泉。木立に囲まれた静かな空間で、外の空気を感じながらゆっくり温泉につかれます。
実際に湯船に入ってみると、草津らしい酸性のお湯ならではのピリッとした感覚。熱めのお湯に入ったあとは、体がぽかぽかして、しばらくその温かさが残っていました。
ドリンクとアイスで涼む「暖炉ラウンジ」へ

湯上がりには、湯小屋棟に隣接する「暖炉ラウンジ」へ。
ここには冷たいお茶やご当地ドリンク、アイスキャンディーなどが用意されていて、自由にいただけます。温泉で温まった体に、冷たいドリンクやアイスがちょうどいい!しかも、24時間利用可能!

ちょうど15時半からは、宿の湯守りによる「温泉文化いろは」が始まりました。
飛び出す絵本を使ったり、実際に草津のお湯に銅板を浸してみたりしながら、草津温泉の歴史や特徴的な泉質、温泉の入り方などをわかりやすく教えてくれます。こういう話を聞いてから温泉に入ると、草津の湯をより身近に感じられそうです。
ラウンジには温泉や草津の文化・歴史に関する本もずらり。暖炉のそばでドリンクを飲みながら、気になる本を手に取ってみるのもよさそうです。
上州の恵みを味わう「上州豊伝会席 」
1日目の夕食は、館内の食事処でいただきました。プライベート感がしっかり保たれた半個室です。

席に着いて最初に運ばれてきたのは、草津らしさを感じる先付「花豆味噌とイノシシのリエット 湯もみ見立て」。草津名物の「湯もみ」のように、湯もみ板で混ぜながらいただきます。濃厚な花豆味噌にイノシシ肉の旨みが合わさり、これは日本酒が進んじゃいます。

続いて登場したのは、華やかな「宝楽盛り」。群馬県民にはおなじみの「上州かるた」が描かれた器に、八寸やお造り、酢の物などが盛り付けられています。お造りには魚だけでなく、群馬名産のこんにゃくも。こういうところにご当地らしさが感じられて楽しいですね。

メインは、熱々の小鍋でいただく「上州常夜鍋」。鍋の中には、なんと骨付きの鶏モモ肉が丸ごと1本! さらに厚切りの豚肉とほうれん草も入っています。群馬県は鶏肉、豚肉、ほうれん草の生産が盛んなのだとか。
よ~く煮込まれた鶏肉は、箸を入れるとホロホロ。分厚い豚肉も食べ応えがあり、具材から出た旨みたっぷりのスープがまたおいしい。薬味には「七味」と「梅胡麻」が用意されていて、味を変えながら楽しめます。
そして最後は、このスープで「水沢うどん」をいただきます。具材の旨みが溶け込んだスープに、つるっとした水沢うどん。これは最後までしっかり飲み干したくなります。
甘味は「繭玉ムース」。群馬の養蚕文化にちなんだ繭玉をイメージしたムースの中には、地元名産の花豆の餡が入っています。
1日目から、草津や群馬らしさを感じられる料理が次々と登場。お腹いっぱいになりながら、最後までおいしくいただきました。

お部屋に戻ってからは、露天風呂でもうひと風呂。草津のパンチのある温泉に入った後は、こちらのお湯でゆっくり体を休めてから、ベッドへ。
2日目はトンネルを抜けて草津のまちめぐりへ

朝6時半から暖炉ラウンジのテラスで行われる「草津白根山体操」で体を動かし、すっきり目が覚めたところで朝ご飯へ。朝食は和食か洋食から選べるので、私は和食にしました。
「さば焼き漬け」や「下仁田納豆」、「ゆば掛け豆腐」、群馬の郷土料理「こしね汁」など、朝からおいしくてヘルシーな料理が並びます。朝からしっかり食べて、2日目も元気にスタートです。
この日は「界 草津まちめぐりセット」を持って、草津の温泉街へ。

セットには、「西の河原露天風呂」「大滝乃湯」「御座之湯」の3カ所を巡る「ちょいな三湯めぐり手形」も入っています。まずはその中から「大滝乃湯」へ行ってみました。温度が違う浴槽が並ぶ「合わせ湯」。一番熱いお湯は46度くらいでしょか。ガツンとパワーのあるお湯でした。

さらに「地蔵カフェ 月の貌」のドリンク券もあったので、ここでひと休み。
セットに入っている地図を片手に温泉街を歩きながら、温泉まんじゅうを食べたり、草津プリンを食べたり、お酒の試飲をしたり…。
気づけば、ほとんど食べたり飲んだり(笑)。でも、おいしいお店をはずさずに出かけられるのも、まちめぐりの地図のおかげ!
宿に戻ってからは、ご当地楽の「シルクを紡ぐ上州座繰り」に参加。繭から糸を挽き 、かわいいタッセルを作りキーホルダーにしました。宿泊者なら無料で参加できるプログラムで、旅の記念にもぴったり。
使われている糸は、草津の植物「コブナグサ」で染めたもの。季節によって使う植物が変わるため、時期によって糸の色も変わるそうです。
夕食はトンネルの先の「蕎麦割烹 SAI」へ

夕ご飯は、トンネルを抜けた先にある「蕎麦割烹 SAI」へ。ちなみに「蕎麦割烹 SAI」は外来利用も可能。ランチはもちろん、ディナーもアラカルトなら宿泊者以外でも利用できます。こだわりの十割蕎麦や一品料理を気軽に楽しめます。
この日は宿泊者限定の「地粉生粉打ち蕎麦会席 」をいただきました。感動したのが「からすみ蕎麦」。濃厚なからすみの塩気と風味豊かな蕎麦が、思った以上によく合う! 続いて、とうもろこしの甘みを生かした餡がたっぷりかかった出汁巻き玉子に、脂ののったサーモンの香味お造りなど。この日もお酒が進んじゃいました。

メインは「和牛サーロインのしゃぶしゃぶ」と「鴨と葱の焼しゃぶ」から選べます。
「和牛サーロインのしゃぶしゃぶ」はちょっと面白くて、なんと昆布茶を入れた蕎麦湯にお肉をくぐらせていただくんです。とろみのある蕎麦湯がサーロインを包み込み、脂の甘みもしっかり感じられます。
「鴨と葱の焼しゃぶ」は、香ばしく焼いた鴨肉を蕎麦屋の「かえし」につけていただくスタイル。鴨の脂と甘辛いかえし、葱の組み合わせもおいしそう!

最後のお蕎麦は、ざるかかけを選べます。蕎麦屋さんならではの趣向が随所にあり、2日目の夜もおいしくいただきました。
デザートは、草津ならではの素材を使ったスイーツ。「温泉卵プリン」「ミルクアイスクリーム 花豆添え」「黒ゴマ和三盆のわらび餅」から選びます。どれもおいしそうで、これは選ぶのに時間がかかりました。でも、どれを選んでも間違いはありません(笑)。「ミルクアイスクリーム 花豆添え」の花豆はラム酒がきいてて大人の味ですよ。
この日は1万歩以上歩いていたので、最後はもちろん温泉へ。体を温めて、2日目は早めに就寝です。
チェックアウトまで「界 草津」を満喫

最終日は、朝起きてすぐ昨日の「ちょいな三湯めぐり手形」を持って「西の河原露天風呂」へ。
宿からトンネルを抜けると、そこはもう西の河原公園。7時の営業開始に合わせて向かったところ、なんと2番乗りでした! 広々とした露天風呂を、朝からゆったり楽しめました。
宿に戻って朝ご飯。この日は洋食をセレクト。

メインは、ロールキャベツやハム、はんぺんなどが入った「おでんポトフ」。林檎ジャムは甘さ控えめで、林檎そのものの味が楽しめました。

お部屋に戻ってチェックアウトの11時まで少し時間があったので、歩いて約4分の天狗山スキー場へ。
もちろん今の時期はスキーはできないので、今回は「天狗山ロープウェイ」に乗って展望テラスへ。草津の街を上から眺めることができました。ジップラインやブランコなどのアクティビティまで楽しんでこれちゃいました。
そして帰りのバスに乗る前に、最後の一湯へ。「御座之湯」に立ち寄り、これで「ちょいな三湯めぐり手形」もコンプリート!
2泊3日でがっつり草津を満喫して、帰路につきました。
●界 草津
群馬県吾妻郡草津町草津 白根464-690




